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三重県鳥羽市が、鳥羽駅前及び佐田浜地区の再整備に向けたサウンディング型市場調査(サウンディング型市場調査とは:事業の公募前に、行政が民間事業者と直接対話して事業アイデアや参加条件を聞き取る調査)の結果を、令和8年9月30日に公表しました。
参加したのは計30グループ。対話から見えてきたのは、「民間だけの投資では成り立たない」という厳しい現実と、「都市型ホテルには事業的な優位性がある」という前向きな評価の両方です。今後の公募の形を読み解くヒントが詰まっています。
結果を受け、市は次の4点の方向性を示しました。
1.初期投資等の公費負担:参入障壁を下げるため、基盤整備や施設建築で一定の公費負担を行なう
2.公益的施設の維持管理:津波避難機能や広場、歩行者デッキなどは市が一定の維持管理負担を担う
3.多様な資金調達とリスク分担:官民のリスク分担の境界線を見極め、補助金・交付金の活用やリース方式などを検討する
4.推進体制の構築:結果を「鳥羽駅周辺エリアプラットフォーム」に還元し、まちづくり会社の組成を含めた調整を進め、公募条件の整理へつなげる
民間任せの独立採算ではなく、公共が一定の負担をして民間の力を生かす方向といえます。
※画像はイメージです
結果の総論では、全体開発はもちろん、単一ブロックやテナント単位であっても、民間単独の投資で回収できる見込みは現状ないとされました。
事業手法についての意見も具体的です。躯体・外装を公共が、内装などを民間が負担する形での「一定の初期投資等の公費負担」が不可欠とされ、建設物価や人件費が高騰するなかでの完全な民間独立採算は、公募参加を見送る決定的な理由になるとの声が出ました。
また、土地賃料が最大のネックになりやすいとして土地の無償・減免貸付が提案されたほか、民間が建設して市がリース料を支払う「リース方式」も挙がっています。
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民間事業者の主な意見と鳥羽市の今後の方針 |
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テーマ |
民間事業者の主な意見 |
市の方針 |
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初期投資 |
躯体・外装を公共、内装等を民間が負担する公費負担が不可欠。完全な独立採算は公募参加見送りの決定的理由になる |
参入障壁を下げるため、基盤整備や施設建築で一定の公費負担を行う |
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公益施設の維持管理 |
津波避難機能や広場などは公共が一定の負担を担うべき |
津波避難機能や広場、歩行者デッキなどは市が一定の維持管理負担を担う |
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資金調達・リスク分担 |
土地賃料が最大のネックで、無償・減免貸付を提案。民間が建設し市がリース料を払う「リース方式」も提案 |
官民のリスク分担の境界線を見極め、補助金・交付金の活用やリース方式などを検討する |
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推進体制 |
行政トップによるビジョンの明確化、若手主体の「まちづくり会社」、プロジェクトマネージャーの配置 |
結果を「鳥羽駅周辺エリアプラットフォーム」に還元し、まちづくり会社の組成を含めて調整、公募条件の整理へ |
出典:鳥羽市ウェブサイト(https://www.city.toba.mie.jp/gyosei_joho/seisaku_keikaku/8714.html)をもとに作成
対話は令和8年5月14日から8月28日まで行なわれ、参加者の内訳は次のとおりです。
・総合建設・不動産・住宅開発:12グループ
・サービス・空間プロデュース:9グループ
・金融・プラットフォーム・公益:6グループ
・駐車場開発・運営:3グループ
(合計30グループ、延べ対話数41回)
宿泊施設については、既存の宿泊事業者との競合を避けるため、食事は街中の飲食店を利用してもらう「宿泊特化型ビジネスホテル」や「長期滞在型ブティックホテル」が適しているとの意見が出ました。都市型ホテルは、持続的な収益性と周辺飲食店への経済波及効果の点で、一定の事業的優位性があると整理されています。ナイトタイムエコノミー(ナイトタイムエコノミーとは:夜間の飲食・娯楽などの経済活動)の必要性も強調されました。
建設工事に直結しそうなのが駐車場と防災の提案です。佐田浜第3駐車場周辺での自走式立体駐車場(4~5階建て等)が有効とされ、立体駐車場を垂直避難施設(垂直避難とは:津波などの際に高い建物の上階へ逃げること)として活用することや、防災備蓄倉庫・避難ルートの設置が推奨されました。
一方、佐田浜西ブロックへのパークPFI(パークPFIとは:公園内に民間の収益施設を設け、その収益で公園整備を支える制度)導入は、民間投資が困難との指摘が多くありました。
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宿泊・駐車場・防災に関する民間事業者の主な提案 |
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分野 |
主な提案・意見 |
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宿泊施設 |
・食事は街中の飲食店を利用する「宿泊特化型ビジネスホテル」「長期滞在型ブティックホテル」が適している |
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駐車場 |
・第3駐車場周辺での自走式立体駐車場(4~5階建て等)が有効 |
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防災 |
・立体駐車場の垂直避難施設化 |
出典:鳥羽市ウェブサイト(https://www.city.toba.mie.jp/gyosei_joho/seisaku_keikaku/8714.html)をもとに作成
鳥羽市は「鳥羽駅周辺エリア2040将来ビジョン」を策定し、2033年の伊勢神宮式年遷宮を一つの節目として「まちづくり基本計画」の策定を進めています。対象エリアは約15haで、市の実施要領では、佐田浜東ブロックに観光水産市場や集約立体駐車場などを想定し、DBO方式(DBO方式とは:設計・建設・運営を一括して民間に任せ、資金は公共が調達する手法)による一体整備や「道の駅」としての一体運用が対話テーマとされていました。
今回の結果を踏まえ、市は事業実現に直結する公募条件の整理・策定へ進む方針です。公募の具体的な時期は、現時点の公表資料には示されていません。
公表資料からは、立体駐車場、防災機能を備えた施設、歩行者デッキ、宿泊施設など、建設のノウハウが求められる要素が多いことが読み取れます。また、官民連携事業は設計・建設・運営を組み合わせたグループでの参加が想定されるため、地元企業として参画を考えるなら、協力会社や異業種とのつながりを早めにつくっておくことが重要です。
公募条件が固まる前に市の公表資料に目を通し、自社が担える役割を整理しておくとよいでしょう。
鳥羽駅前の再整備は、「民間だけでは難しい」という現実を共有したうえで、公共が一定の負担を担う官民連携へと進もうとしています。都市型ホテルや立体駐車場など具体的な機能のイメージも見え始めており、今後示される公募条件に注目です。
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出典:鳥羽駅前及び佐田浜地区再整備に関するサウンディング型市場調査 対話結果の公表について/結果概要/実施要領(鳥羽市)(https://www.city.toba.mie.jp/gyosei_joho/seisaku_keikaku/8714.html)をもとに作成
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