👷「人が足りない」という悩みは、実は建設会社だけでなく発注者である自治体側も同じです。国土交通省は令和8年7月28日、「社会資本整備審議会・交通政策審議会技術分科会技術部会 インフラマネジメント戦略小委員会」の第4回会合を開き、今後のインフラマネジメントのあり方に関する方向性案を提示しました。
この中で明確に打ち出されたのが「担い手に光を当てたインフラマネジメント産業の構築」という方針です。処遇改善や働き方改革、担い手確保のための環境整備など、建設業界の採用・教育に直結するテーマが並んでいます。
自治体職員の人材不足はここまで深刻
📉国交省が令和8年4月22日から6月12日にかけて都道府県・政令市・市区町村を対象に実施したアンケート調査(回答率71.4%、母数1,788)では、維持管理・更新業務を担当する自治体職員数の推移に大きな変化は見られず、依然として厳しい状況が続いていることが明らかになりました。
特に町村では、技術系職員数が0人という状況が改善しつつあるものの、まだまだ余裕がある状態とはいえません。さらに「研修制度の活用」や「技術的知見の継承(OJT)」に取り組む機関・部署は増えているものの、町村では約5割以上が人材育成や推進体制の整備に関する取り組みを実施できていないというデータもあります。
行政側の人材・教育体制の弱さは、そのまま発注業務のボトルネックにつながっています。

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/002013868.pdf)
民間への期待は「人材派遣」「受注側の人材確保」に集中
🤝複数の自治体が連携してインフラを維持する「群マネ(地域インフラ群再生戦略マネジメント)」についても、実施・検討している機関・部署はわずか1割程度にとどまっています。町村からは国への要望として「メリット・インセンティブの明確化」や「人材派遣」を求める声が多く挙がりました。
また、複数業務をまとめて発注する「包括的民間委託」を実施している機関・部署も約1割にとどまり、町村ではその割合がさらに低いのが実情です。課題としては、発注側だけでなく受注側(建設会社側)の人材不足も指摘されています。
つまり、行政と建設業界の双方が人材を確保・育成できるかどうかが、インフラ維持の未来を左右するテーマになっているのです。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/002013868.pdf)
国交省が打ち出す「担い手に光を当てる」具体策
💡こうした状況を踏まえ、国交省の方向性案には「担い手に光を当てたインフラマネジメント産業の構築」に向けた具体策が盛り込まれました。
処遇改善や働き方改革の推進、インフラメンテナンス大賞等の表彰制度の推進、地域の実情に応じて維持管理を合理的に受注できる入札・契約制度の検討、そしてインフラマネジメント産業の「業界力」向上を図るための仕組みの検討です。
あわせて、群マネを推進するための専門家の活用体制整備や、実勢単価に合わせた予算確保、補助金・交付金等の財政支援の充実も明記されており、担い手の処遇や教育環境を下支えする方向性が示されています。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/002013869.pdf)
中小建設会社が今からできる採用・教育の一手
✅こうした国の方針を踏まえると、中小建設会社が取り組むべきことは大きく2つです。
1つ目は、処遇改善や働き方改革を自社でも早めに進めておくこと。表彰制度や補助金・交付金の対象になり得る取り組みを重ねておくことは、採用の場でのアピール材料にもなります。
2つ目は、OJTなど社内での技術的知見の継承の仕組みを整えておくことです。行政側の技術者不足が続く中、包括的民間委託や群マネの広がりにより、維持管理分野を「教育しながら受注できる会社」への期待はさらに高まりそうです。👉
自治体の発注情報や研修関連の補助施策にも、日頃からアンテナを張っておきましょう。
🎯まとめ
国交省が示した方向性案はまだ検討段階ですが、行政・建設業界を問わず「人を育て、確保できる体制づくり」が今後のインフラ維持の土台になることは間違いありません。
採用・教育への投資を早めに進めておくことが、これからの受注競争を勝ち抜くカギになりそうです。
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサービス『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。
出典:「今後のインフラのマネジメントのあり方に関する方向性(案)について」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/002013869.pdf)をもとに作成
出典:「アンケート調査の結果について」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/002013868.pdf)をもとに作成
➡関連記事:書類地獄はもう終わり?新潟県「スリム化ナビ」に学ぶ現場改善術
➡関連記事:職長任せにしない!現場リーダーを育てる会社づくりが人材定着と現場力を変える
➡関連記事:土木会社が母校の工業高校サッカー部へ「現場発のセルフケア」を贈る。スキンケアを通して自分を整える職人の知恵に、高校生から共感の声











