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建設業界の人手不足は年々深刻度を増している。高齢化による技能労働者の離脱、若手の入職率低下、そして災害復旧やインフラ維持管理の増大——これらが重なり合い、現場の負担は限界に近づいている。そうした状況のなか、建設用3Dプリンタというテクノロジーが、業界の構造的課題を解決する現実的な手段として注目を集めるようになった。今回は、国産建設用3Dプリンタを開発・展開する株式会社Polyuseの最新動向を取り上げ、中小建設業者がこの技術の波をどう受け止めるべきかを考える。
株式会社Polyuseは2025年8月、みずほ銀行および商工組合中央金庫からデットによる11億円の資金調達を完了した。同社は2025年12月にシリーズBラウンドで約27億円のエクイティ調達を済ませており、今回の調達により累計調達額は約50億円に達した。以下、同社のプレスリリースから調達の背景と製品概要を引用する。
『建設業界では、人手不足や技能継承の課題が深刻化し、災害復旧やインフラの維持管理を持続的に支えていくことが難しくなっています。当社は、この社会課題を解決するため、建設用3Dプリンタを起点に既存の施工方法を進化させ、新しいインフラ基盤の構築に挑戦しています。2022年1月には国内初となる国土交通省管轄工事での活用を実現し、現在までに公共事業を中心に累計300件を超える施工実績を積み重ねてきました。』
引用元:株式会社Polyuse プレスリリース(PR TIMES掲載)
国内の建設業就業者数はピーク時(1997年)の約685万人から、近年は約500万人前後まで減少が続いている。加えて、60歳以上の就業者が全体の約3割を占めるとされ、今後10年で大規模な離脱が予測される。こうした構造的課題に対し、型枠工を中心とした従来工法の「人に依存する施工」から脱却する手段として、建設用3Dプリンタへの関心が高まっている。
建設用3Dプリンタは、3Dデータをもとに専用モルタルを自動積層し、コンクリート構造物や型枠を造形する技術である。従来工法では多くの人手と時間を要した型枠の製作・組立・脱型の工程を大幅に削減できる点が、人手不足に悩む現場から高く評価されている。国内ではPolyuseが先行しており、累計施工件数は公共工事を中心に300件を超える実績を持つ。
Polyuseの主力製品「Polyuse One」は、国内唯一の国産量産型建設用3Dプリンタとして開発されたものである。重量750kgとコンパクトな設計でキャスター移動が可能であり、組立時間はわずか10分という機動性を持つ。造形サイズは幅3,000mm・奥行き2,500mm・高さ1,900mmで、現場規模の構造物を対応範囲としている。
同製品の最大の特徴は、施工データをAIが継続的に学習する「フィジカルAI」への進化を見据えている点にある。現場ごとに蓄積される施工データが学習データとして活用され、経験を重ねるほど精度と自律性が向上する設計思想は、技能継承問題へのテクノロジーによる回答といえる。
また、複雑な形状の構造物も高精度で造形できるため、従来は職人の高度な技能に依存していた工程の一部を機械に代替させることが可能となる。廃材や余剰資材の削減にも寄与することから、環境配慮の観点からも評価されている。
今回の資金調達は、Polyuseが単なるスタートアップの枠を超え、銀行融資という形で社会的信用を獲得しつつあることを示している。みずほ銀行・商工中金という大手金融機関が無担保・無保証での融資に踏み切ったことは、この技術が現場で実際に機能していると評価されている証左でもある。
中小建設業者にとって直接の導入コストや操作習得の課題はあるものの、今後Polyuseが目指す「全国どこでも誰もがこの技術を活用できる施工プラットフォーム」が実現すれば、大手ゼネコンだけでなく地方・中小の建設業者にも利用機会が広がる可能性がある。パートナー企業との共創モデルを推進していることからも、協力会社として関与できる入口が生まれることも期待される。
まずは業界動向としてPolyuseの取り組みを把握しておくこと、そして公共工事への活用実績が増えるにつれ、自社の工事案件に近い施工事例が現れる可能性を念頭に置いておくことが、中小建設業者の現実的な対応といえる。
建設業の人手不足と技能継承の問題は、個社の努力だけで解決できる段階をすでに超えている。Polyuseの建設用3Dプリンタ「Polyuse One」とその大規模な資金調達は、テクノロジーによる産業変革が確実に進んでいることを示している。中小建設業者こそ、こうした技術トレンドを早期に把握し、自社の経営・現場戦略に取り込む視点を持つことが、生き残りと成長のカギになるだろう。
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