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さいたま市の東部、浦和美園駅と岩槻駅のあいだに、新しい駅とまちを一体でつくる計画が具体化の段階に入りました。結論から言うと、地下鉄7号線(埼玉高速鉄道線)の延伸で設置される中間駅の周辺、約120haを土地区画整理事業で整備する方向で、市は令和8年10月に事業区域の複数案を地元に示しました。
長期にわたる大規模事業であり、地域の建設会社にとっても今から動向を追っておきたい案件です。
背景にあるのは鉄道延伸の前進です。市の資料によると、埼玉県とさいたま市は令和8年3月31日、都市鉄道等利便増進法(都市鉄道等利便増進法とは:既存の鉄道ネットワークを活用して速達性などを高める事業を、国・自治体・事業者が分担して進めるための法律)に基づき、営業主体の埼玉高速鉄道株式会社と整備主体の鉄道・運輸機構に対して、延伸に関する速達性向上事業の実施を要請しました。
令和7年度の事業性算定では、費用便益比(B/C)が1.2、累積資金収支が黒字に転じるまでの収支採算性が27年とされています。同法の適用の目安は「B/Cが1.0超、収支採算性30年以内」であり、いずれも目安を満たす結果です。
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地下鉄7号線延伸の事業性(令和7年度算定) |
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指標 |
算定結果 |
法適用の目安 |
|---|---|---|
費用便益比(B/C) |
1.2 |
1.0超 |
収支採算性(累積資金収支の黒字転換) |
27年 |
30年以内 |
出典:さいたま市ウェブサイト(https://www.city.saitama.lg.jp/001/010/018/008/001/p095550.html)の資料をもとに作成
令和7年度に改定された「地下鉄7号線中間駅まちづくり方針」では、対象面積約120ha、目標定住人口約10,000人が掲げられています。現在の地区は市街化調整区域(市街化調整区域とは:市街化を抑える区域として、原則として開発や建築が制限されている区域)で、令和2年度時点の土地利用は農地35%、山林等15%と、自然的な利用がおよそ半分を占めています。
まちづくりのコンセプトは「みどりと未来にこころ浮き立つ、人を育てる100年続くまちづくり」です。施策としては、駅まち空間の形成、住民に選ばれるコンパクトなまちの形成、企業に選ばれる産業エリアの創出、環境と共生し新技術を活用したまちづくりの4本柱が示されました。重点戦略には「環境・グリーンインフラ」「Well-being」「GX・DX・民間企業との連携」が位置づけられ、既存の樹林地を生かした公園配置や、公園と隣接させた調整池の整備なども方向性として挙げられています。
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中間駅周辺地区の基本データ |
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対象面積 |
約120ha |
|---|---|
目標定住人口 |
約10,000人 |
現在の区域区分 |
市街化調整区域 |
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現況土地利用 |
農地 35%/山林等 15%/住宅地 25%/工業等 10%/その他 15% |
地形・地盤 |
東西の河川エリアに挟まれた比較的なだらかな台地。主にローム層 |
出典:さいたま市ウェブサイト(https://www.city.saitama.lg.jp/001/010/018/008/001/p095550.html)の資料をもとに作成
区域設定の基本は、駅から徒歩10分程度(半径約800m)の範囲です。中間駅の位置は、目白大学さいたま岩槻キャンパスの北側を適地としていますが、鉄道線形や駅位置はまだ検討中で、決定したものではありません。区域界は原則として道路や河川などの明確な地形・地物で区切るとされています。
今回示された複数案のうち、区域案Aは、すでに都市的土地利用が進んでいる西側の一部ブロックを区域に含めない案です。一方の区域案Bは、そのブロックを区域に含めたうえで、全体面積が約120haを大きく超えないよう、北側の区域界を駅寄りの道路に設定する案です。
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土地区画整理事業の区域案A・Bの比較 |
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項目 |
区域案A |
区域案B |
|---|---|---|
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西側 |
産業廃棄物処理施設、農林水産省の研究施設、市営住宅など、既に都市的土地利用が進んでいる区域は含めない |
区域案Aで除いたブロックを区域に含める |
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北側 |
町界(浮谷)の飛地を解消するため、一部で駅から半径約800mを超えて区域界を設定 |
面積が約120haを大きく超えないよう、区域案Aより駅側の道路を区域界に設定 |
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共通の考え方 |
駅から徒歩10分程度(半径約800m)を基本に、おおむね120ha程度。区域界は原則として道路・河川などの明確な地形・地物で設定 |
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出典:さいたま市ウェブサイト(https://www.city.saitama.lg.jp/001/010/018/008/001/p095550.html)の資料をもとに作成
市が示した今後の予定では、令和8年度に区域設定の基本方針と複数案の提示を行ない、環境影響評価(環境影響評価とは:大規模事業が環境に与える影響を事前に調査・予測・評価する手続き)の配慮書(配慮書とは:計画の早い段階で、複数案ごとに環境面で配慮すべき事項を検討した文書)に進む流れです。その後、方法書・準備書の手続き、測量・地質調査、土地区画整理事業の設計を経て、令和11年度以降に都市計画決定と事業認可を目指すとしています(いずれも現段階の想定)。
注目したいのは、鉄道延伸事業と区画整理事業を同時期に整備着手するという目標です。さらに駅周辺の商業施設エリアや高層住宅エリアなどを「先行整備エリア」とし、中間駅の開業時にまちびらきを行ない、開業後おおむね15年で計画人口への到達を目指すとしています。造成、インフラ整備、建物移転、商業・住宅・産業施設の建設と、段階的に工事が続くことが想定されます。
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今後の予定(現段階の想定) |
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時期の目安 |
主な内容 |
|---|---|
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令和8年度 |
施行地区の設定(区域設定の基本方針 → 複数案の提示 → 区域案の設定)、環境影響評価の配慮書 |
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令和9〜10年度 |
土地区画整理事業の設計(測量・地質調査、土地利用・営農意向調査)、環境影響評価(方法書 → 現地調査 → 準備書)、都市計画手続き |
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令和11年度〜 |
都市計画決定、土地区画整理事業認可 |
※市の資料では「現段階の想定であり、変更になることがあります」とされています。
出典:さいたま市ウェブサイト(https://www.city.saitama.lg.jp/001/010/018/008/001/p095550.html)の資料をもとに作成
事業は現在、全7段階のうち最初の「構想・方針策定」の段階にあり、地権者との合意形成が進められています。工事の本格化はまだ先ですが、だからこそ市の説明会資料や環境影響評価の公表情報を定期的に確認し、区域の決定や都市計画手続きの時期を把握しておくことが大切です。
また、区画整理と鉄道工事が並行する大型案件では、土木・造成から建築、設備まで幅広い工種が必要になります。自社の得意分野を整理し、協力会社とのつながりを今のうちに広げておくことが、将来の受注機会への備えになるでしょう。
さいたま市の中間駅周辺では、約120ha・定住人口約1万人を目標とする新しいまちづくりが、区域案の提示という具体的な一歩を踏み出しました。
完成までは長い道のりですが、早めに情報を追いかけた会社ほど、参入のチャンスをつかみやすくなります。
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出典:地下鉄7号線中間駅周辺まちづくり(さいたま市)(https://www.city.saitama.lg.jp/001/010/018/008/001/p095550.html)をもとに作成
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