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宮城県が運営する水道用水供給事業と工業用水道事業で、管路の更新に向けた動きが具体的になってきました。県の監査委員が令和8年9月10日付で知事に提出した「令和7年度宮城県公営企業会計決算審査意見書」では、AIを活用した評価手法で管路の優先順位を決め、投資額を平準化しながら長期的な管路更新計画をつくる作業が進んでいることが示されています。
県内で管工事や土木工事を手がける会社にとっては、今後の発注がどう動くかを知る手がかりになります。この記事では、意見書から読み取れる事実を整理し、地元の建設会社がいまから備えておきたいことを考えます。
結論からお伝えすると、宮城県企業局は管路を「古いものから順に替える」のではなく、「傷み具合とリスクを見極めて優先度の高いものから替える」方向へ切り替えようとしています。
意見書の「前年度の意見に対する措置状況」には、県が示した取組計画として、環境ビッグデータや過去の漏水データを基にAIで劣化を予測し、地盤情報を基に地震被害を予測して、管路の耐用年数や耐震性を評価するとあります。さらに将来の水量を踏まえ、ダウンサイジング(ダウンサイジングとは:需要に合わせて管の口径や施設の規模を小さくし、建設・維持費を抑えること)も考えた新たな計画を策定するとしています。
取組の結果としては、AIを活用した余寿命算定による管路ごとの耐用年数算定を行い、長期的な老朽化対応での投資額の平準化が可能になったこと、そして耐震対策を優先的に実施するなどの基本方針を取りまとめたことが記されています。
※画像はイメージです
なぜ計画の見直しが急がれるのでしょうか。前年度の意見書で監査委員は、送水管路の大半が法定耐用年数40年を超過していると指摘しています。法定耐用年数(法定耐用年数とは:会計上の減価償却の基準となる年数で、実際に使える年数とは必ずしも一致しないもの)を過ぎた管が多いと、更新の時期と費用が一度に集中するおそれがあります。
そこで監査委員は、令和6年度から実施しているAIを活用した劣化予測に基づき、優先度や予算の平準化を考えた管路更新計画を早く策定するよう求めました。県議会の建設企業委員会でも、令和8年3月16日の報告事項に企業局から「上工水道管路更新計画について」が挙げられています。
意見書に記載された両事業の概要を整理すると、次のとおりです。
事業 |
構成 |
令和7年度の主な数字 |
|---|---|---|
水道用水供給事業 |
大崎広域水道(10市町村)、仙南・仙塩広域水道(17市町) |
年間総給水量9,351万4,655立方メートル、給水収益78億2,718万円、純損失1,470万円 |
工業用水道事業 |
仙塩、仙台圏、仙台北部の3事業 |
年間総給水量3,417万2,939立方メートル、給水収益10億1,561万円、純損失1億7,478万円 |
水道用水供給事業では、経常収支比率が100.2%から99.9%へ、料金回収率が97.0%から92.6%へ低下しました。工業用水道事業では、3事業合計の1日平均給水量が9万3,624立方メートルで、供給能力25万8,500立方メートルの36.2%にとどまっています。収益に余裕がない中で大規模な更新を進めるには、限られた予算を本当に必要な場所へ配分する工夫が欠かせません。AIによる優先度付けとダウンサイジングは、まさにそのための手段といえます。
なお、水管橋(水管橋とは:川や谷を渡るために水道管を橋のように架けた構造物)の点検も進んでいます。令和7年度は水道用水供給事業で17橋、工業用水道事業で7橋を点検し、工業用水道は計画していた箇所すべての点検が完了しました。水道用水供給事業は令和8年度の完了を目指しています。
今年度の意見書で監査委員は、今後とも管路更新計画を踏まえた管路の更新、施設の耐震化、伸縮可とう管の補強、水管橋の修繕・改築などを計画的に実施し、災害に強い水道施設の整備に努めるよう求めています。伸縮可とう管(伸縮可とう管とは:地震や地盤沈下による管のずれや伸び縮みを吸収する継手部材)の補強も含め、工種は多岐にわたります。
投資額の平準化が進めば、更新工事が特定の年に集中しにくくなります。一方で、優先度の判断にAIや地盤情報が使われるため、どの路線から工事が始まるかは「古さ」だけでは読めなくなります。耐震対策を優先する方針が示されている点も押さえておきたいところです。
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1つ目は、県議会の委員会報告や監査資料を定期的に確認することです。今回の意見書のように、計画の方向性は公開資料から少しずつ読み取れます。
2つ目は、耐震化や水管橋の修繕など、優先されやすい工種の実績と技術者を整理しておくことです。
3つ目は、平準化された発注に合わせて人員と協力会社を確保しておくことです。工事が毎年一定量続く形になれば、単発の繁忙に対応するより、継続的に動ける体制づくりが重要になります。
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宮城県の上工水道では、AIで管路ごとの寿命を見極め、投資を平準化しながら耐震対策を優先する更新計画づくりが進んでいます。
公開資料で動きを追い、優先度の高い工種と体制を早めに整えておくことが、地域のインフラを支える受注の備えになります。
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出典:令和7年度宮城県公営企業会計決算審査意見書(宮城県監査委員)(https://www.pref.miyagi.jp/documents/61506/20260930-4.pdf)をもとに作成
出典:建設企業委員会の活動状況(宮城県議会)(https://www.pref.miyagi.jp/site/kengikai/kensetsu-katsudou.html)をもとに作成
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