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建設現場では、工事用仮設電源や重機の動力源として従来の液系リチウムイオン電池が広く使われてきた。しかし近年、バッテリーの発火・熱暴走による火災事故が国内外で相次いでおり、現場の安全管理担当者にとって頭の痛い問題となっている。そうした中、次世代電池技術「固体リチウムイオン電池」が建設業界にも本格的に波及しようとしている。
群馬県前橋市を拠点とする大栄産業株式会社が、2026年7月、中国・北京の次世代電池メーカーであるWeLion New Energy Technology社およびgf.Z株式会社との戦略的業務提携を締結した。これを受け、同社は日本市場における固体リチウムイオン電池の普及を本格化させる。以下に、同社プレスリリースの核心部分を引用する。
『大栄産業株式会社は、この次世代エネルギー技術を日本国内へ普及させ、安全で持続可能な社会インフラの構築に取り組んでまいります。今回の提携では、固体リチウムイオンセルの日本展開・日本国内での共同アッセンブリ・日本製固体蓄電池の製造販売・固体UPSの製造販売・系統用蓄電池事業・災害対応型蓄電システム「Heart Shelter」プロジェクト(商標登録出願中)について協力体制を構築することで合意しました。さらに、日本国内でのセル製造工場設置についても共同検討を開始し、自然災害リスクが比較的低い地域を候補地とした場所を選択中です。』
引用元:大栄産業株式会社プレスリリース(PR TIMES掲載)
液系リチウムイオン電池が抱える最大の課題は「熱暴走」と「発火リスク」である。電解液に可燃性の有機溶媒を使用しているため、過充電・過放電・物理的衝撃などをきっかけに発火する危険性がある。建設現場のように振動・粉塵・高温が日常的に発生する環境では、このリスクは特に深刻だ。
固体電池は電解質を固体材料に置き換えることで、このリスクを根本から低減する。WeLion社が開発するゼロファイヤー固体電池は、原位置固化技術や固体電解質技術など6つのコア技術を用いることで、高いエネルギー密度と安全性を両立している。熱暴走が起きにくいという特性は、現場での火災リスクを大幅に下げることに直結する。
引用元:大栄産業株式会社プレスリリース(PR TIMES掲載)
大栄産業が提供するBCP対応UPS(無停電電源装置)は、介護・医療・保育施設・マンション・物流・ITなど幅広い施設向けに展開されているが、これは建設業者にとっても見逃せないソリューションだ。
例えば、工事現場に設置した仮設事務所や管理システムが停電で機能停止すれば、工程管理や安全確認に支障をきたす。固体電池搭載のUPSがあれば、停電時でも安定した電力供給を確保でき、工事の継続性と安全管理の維持が可能となる。さらに、同社が掲げる「Heart Shelter」構想では、災害時の避難所インフラとして固体蓄電システムを活用するプロジェクトも進行中であり、地域の防災拠点を担う建設会社にとって新たな提案価値を持つ可能性がある。
固体電池が建設業界に与えるもう一つの大きなインパクトが、重機・建設機械の電動化だ。現在、国内外のメーカーが電動ショベルや電動クレーンの開発・市場投入を進めている。しかし普及の壁となっているのが、液系電池の安全性とエネルギー密度の問題である。
固体電池は高い出力と耐久性を持ち、EVトラックや電動建設機械への適用が期待されている。大栄産業は「業界の初を連発する圧倒的な研究開発力で、あらゆる産業ニーズに答える多様なセル形状で、EV建設機械・EVトラックへ高い出力と耐久性に適用する」と明言している。電動化が進めば、燃料コストや騒音問題、排ガス規制への対応といった建設業者が直面する複数の課題を一度に解決できる可能性がある。
固体電池はまだ普及初期の段階にあるが、だからこそ早期に情報収集を始めることに意味がある。具体的には以下の点を検討しておくと良い。
現場で使用している蓄電池・UPSの発火リスクを改めて確認し、リプレース計画を立てる
BCP計画の中に固体電池搭載の無停電電源装置の導入を位置づける
電動建設機械の導入タイムラインを把握し、充電インフラ整備の検討を開始する
系統用蓄電池事業や再生可能エネルギーとの連携を視野に入れた設備投資を検討する
また、大栄産業は使用済みリチウムイオン電池の回収・再資源化リサイクルスキームの構築も進めており、廃棄バッテリーの処理に悩む建設業者にとっても関係性を持つ価値がある。環境省が制度化する広域認定制度の取得に向けた動きも進行中であり、法規制への対応という観点でも注目に値する。
固体リチウムイオン電池は、建設現場の安全性向上・BCP強化・重機電動化・環境対応という複数の課題を同時に解決しうる、まさに「ゲームチェンジャー」技術である。大栄産業とWeLion社の今回の提携は、その普及を日本国内で加速させる重要な起点となるだろう。中小建設業者こそ、この技術の動向を早期に把握し、現場の安全とコスト競争力の強化につなげる準備を今から始めてほしい。
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