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秋から冬にかけては、台風の接近だけでなく、発達した低気圧や季節風によって現場で強い風が吹くことがあります。足場工事では、朝の段階で問題がなくても、作業中に風が強まり、作業員が足場上でバランスを崩したり、資材が飛散したりする危険があります。
「少し風が強いけれど、予定どおり作業を進めたい」「もうすぐ作業が終わるから続けよう」。こうした判断が、重大な事故につながる可能性もあります。
特に少人数で現場を回す中小建設会社では、工期や人員配置への影響も気になるところです。しかし、作業を続けられるかどうかは、工程の都合ではなく、安全を確保できるかを基準に判断する必要があります。
足場上では、風にあおられて身体のバランスを崩すだけでなく、手に持った資材が風を受けて動き、転落や接触事故につながる危険があります。さらに、足場に取り付けられたシート類が風を受けると、足場に大きな力が加わるおそれもあります。
厚生労働省の「労働安全衛生規則」第564条では、つり足場、張出し足場、高さ2メートル以上の足場の組立て・解体・変更作業について、強風、大雨、大雪などの悪天候により作業の実施に危険が予想される場合、作業を中止することが定められています。また、同規則第522条では、高さ2メートル以上の箇所での作業についても、悪天候によって危険が予想される場合に作業を行なわせてはならないとしています。
重要なのは、風速の数字だけで作業の可否を決めないことです。風の強さに加え、風向き、突風の発生、足場の高さ、周囲の建物、作業内容などによって危険性は変わります。現場の状況から危険が予想される場合は、作業を中止する判断が必要です。
※画像はイメージです
強風時の判断では、風速も重要な情報です。厚生労働省の職場のあんぜんサイトに掲載された災害事例では、平均風速が毎秒10メートル以上の場合に高所作業を中止し、シートなどを取り外す対策が示されています。
ただし、毎秒10メートルという数値を、あらゆる足場作業に共通する一律の法定中止基準と理解するのは適切ではありません。作業内容や現場条件に応じた判断が必要です。現場独自の中止基準を定めている場合は、その基準を作業員全員に周知しておきましょう。
また、気象情報で平均風速を確認できても、現場では瞬間的に強い風が吹くことがあります。朝礼時に天気予報を確認するだけでなく、作業中も風の変化を把握し、危険が高まった段階で速やかに判断できる体制が大切です。
強風によって作業を中止した際は、作業員を安全な場所へ退避させることを優先します。風が強い中で無理にシートを外したり、資材を片付けたりすると、その作業自体が危険になる場合があります。シートの取り外しなどは、風の状況や作業の安全性を確認し、適切な手順で行なう必要があります。
安全を確保できる状況になったら、資材や工具の飛散防止、足場の状態を確認します。特に注意したいのは、次の項目です。
・壁つなぎや固定部分:足場と建物をつなぐ部材に緩みや外れがないか確認する。
・筋かいや支柱:変形、損傷、接合部の異常がないか確認する。
・作業床や手すり:ずれや外れ、破損などがないか確認する。
・シートや養生材:破れや外れ、固定部分の異常がないか確認する。
・資材や工具:落下・飛散のおそれがあるものが残っていないか確認する。
これらは現場で確認したい主な項目です。実際の点検では、足場の種類や構造、現場の状況に応じて必要な箇所を確認してください。異常を見つけた場合は、補修などの必要な措置を講じるまで作業を再開してはいけません。
強風が収まったからといって、すぐに作業を再開できるとは限りません。労働安全衛生規則第567条では、強風などの悪天候の後に足場で作業を行なう場合、作業開始前に点検し、異常があれば直ちに補修することが定められています。
点検は、足場の状態を適切に確認できる知識を持つ担当者が行ない、必要な補修が完了したことを確認します。作業を再開する際には、現場監督や職長が点検結果と作業再開の判断を作業員に伝え、全員が状況を理解してから作業に入ることが重要です。
また、元請けと協力会社が同じ現場で作業する場合は、中止の判断や再開の連絡が一部の作業員にしか伝わらない事態を防ぐ必要があります。口頭だけで済ませず、連絡手段や報告先を決めておけば、伝達漏れを減らせます。
日頃から、強風時の中止基準、退避場所、連絡責任者、再開前の点検担当者を決めておきましょう。悪天候による中止を想定した手順を整えておくことが、現場全体の安全管理につながります。
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足場工事で強風が吹いた場合、工期を優先して作業を続けるのではなく、現場の状況から危険が予想されるかを基準に判断することが重要です。風速の確認に加え、資材の飛散防止、足場の点検、作業再開前の情報共有まで、一連の対応をあらかじめ決めておきましょう。
安全に作業できる条件が整っていることを確認してから再開するという基本を、現場全員で徹底することが事故防止につながります。
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出典:
・「労働安全衛生規則」第564条・第567条 (厚生労働省)
(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74003000&dataType=0&pageNo=10)
・「職場のあんぜんサイト」労働災害事例(厚生労働省)
( https://anzeninfo.mhlw.go.jp/jirei/sai_000440.html)
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