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下水道管路の点検・調査や管路工事の現場では、これから管内に入る機会が増えていくかもしれません。
令和8年10月5日付で、下水道管路マネジメントの技術基準等に関する有識者検討会の最終とりまとめが国土交通省のウェブサイトに掲載されました。この中では、点検頻度の強化とあわせて、管内作業の安全確保の徹底が強く打ち出されています。現場で改めて押さえておきたいポイントを整理します。
令和7年8月2日、埼玉県行田市で全国特別重点調査(全国特別重点調査とは:管径2m以上かつ布設後30年以上経過した下水道管を対象に、自治体が実施した重点的な点検調査)の作業中に、作業従事者4名が亡くなる事故が発生しました。
とりまとめによると、詳細な事故原因は調査中です。ただ、亡くなった作業従事者は入孔時に安全帯を装備しておらず、現場にエアラインマスク(エアラインマスクとは:ホースで外部から清浄な空気を送り込む呼吸用保護具)も用意されていなかったなどとされています。下水道管内には、硫化水素など下水道特有の危険が潜んでいます。
※画像はイメージです
とりまとめは、作業安全の確保をインフラマネジメントの「基本中の基本」と位置づけています。そのうえで、発注者と受注者が一体となって危険について共通の意識を持つべきだとしています。
秋田県男鹿市の事故を受けて県が設けた安全対策検討委員会の改善策も紹介されています。
発注者は、法令遵守の徹底、リスクアセスメント(リスクアセスメントとは:作業に潜む危険を洗い出して評価し、対策を決める手法)の実施、監督・確認の仕組みづくりを基本方針とします。
受注者は、再委託先も含めた関係者全体で安全衛生体制を構築し、作業者一人ひとりへの教育を徹底することが求められています。
とりまとめでは、酸素欠乏症や硫化水素中毒を防ぐために「特に留意する事項(案)」として、次の点を挙げています。
・作業開始前、作業中、再入孔の前に、原則として垂直・水平方向にそれぞれ3点以上の測定点を設けて測る
・下水や汚泥が堆積している場合は、外部から攪拌して硫化水素を空気中に放出してから濃度を測る
・外部から攪拌できない場合は、測定結果が基準値以下でも適切な呼吸用保護具を着用して入孔する
・酸素濃度18%以上、かつ硫化水素濃度10ppm以下を保つよう常時換気する
・作業中は常時、警報付き測定器具でガス検知を行ない、異常時はすぐ退避できる体制を整える
・墜落のおそれがあるときは、高さ2m以内でも墜落制止用器具を使う
特に「測定値が基準以下でも、攪拌できなければ保護具を着ける」という考え方は、慣れた現場ほど見落としがちです。朝礼やKY活動で共有しておくと効果的です。
とりまとめでは、事故時の社会的影響が大きい大口径管路等を「重要管路」と位置づけています。重要管路の点検頻度は次のとおりです。
・化学・力学・地盤的弱点が重なる箇所など:3年に1回以上
・化学的・力学的・地盤的な弱点箇所:5年に1回以上
・それ以外:10年に1回以上
健全度Ⅲと診断された箇所は、例えば3年に1回から1年に1回へと、点検をさらに高頻度化します。
方法も、人やテレビカメラ等による点検に管厚測定等の定量点検を加えます。重要管路以外の管路でも、化学的弱点箇所は5年に1回以上の目視点検が求められます。点検が増えれば、管内に入る作業の回数も増えることになります。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_001028.html)
とりまとめは、人が管路に入らなくても精度の高い点検ができる「管内No Entry」を将来の目標に掲げています。そのために、無人化・省力化やDXに向けた技術の高度化・実用化を進めるべきだとしています。
過酷な環境で人が作業する場合の経費の考え方も含め、点検の積算基準を見直すべきとしている点も見逃せません。
点検の機会が増えるほど、管内作業のリスクに向き合う回数も増えます。測定・換気・保護具・墜落防止という基本を、現場全員で一つずつ確認する習慣が命を守ります。
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出典:下水道管路マネジメントのための技術基準等検討会(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_001028.html)をもとに作成
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