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11月に入り、朝の冷え込みが一段と厳しくなってきました。始業前の現場に着くと、まだ薄暗いなかで、すでに道具を広げている職人さんがいる。そんな光景はこの季節ならではかもしれません。夏でも早いあの人が、冬はさらに早く来ている気がする。
今回は、冬の現場の「一番乗り職人」の謎を、季節の目線でひもといてみます。
冬に早く現場入りする職人の多くは、寒さと暗さによるロスや危険を、始業前に取り除いておきたいと考えています。
冬の朝は、夏と同じ段取りでは仕事が回りません。その差を埋めるための時間が、あの「一番乗り」なのです。
※画像はイメージです
1つ目は足元と足場の確認です。冬の朝は、足場の踏板や鉄骨、資材のシートに霜が降りたり、水たまりが凍ったりしていることがあります。明るくなる前に滑りやすい箇所を見つけ、霜を払ったり砂をまいたりしておくことで、始業後の転倒を防ぎます。
2つ目は車と道具を温める時間です。冷え切った重機や油圧機器は動きが鈍く、充電式工具のバッテリーも低温では本来の力を発揮しにくくなります。バッテリーを暖かい場所に置いておく、機械の暖機運転をしておくなど、地味ですが効く準備です。
3つ目は体を慣らす時間です。暖かい車内から急に寒い現場に出ると、体がこわばったまま作業に入ることになります。軽く歩き回ったり、温かい飲み物で体を温めたりしながら、ゆっくり仕事モードに切り替えているのです。
冬の朝の危うさは数字にも表れています。たとえば東京の日の出は、12月下旬から1月上旬にかけて6時45分〜50分ごろと1年で最も遅くなります。東北や日本海側ではさらに暗い朝が続き、8時始業の現場では、朝礼の時点でまだ光が弱いこともあります。
また、厚生労働省の統計では、建設業の死亡災害の原因として墜落・転落が最も多い状態が続いています。凍結や霜で足元が滑りやすい冬は、普段以上に注意が必要です。さらに、暖かい場所と寒い屋外を行き来することによるヒートショックにも、中高年の職人ほど気をつけたいところです。
12月から2月にかけては、工期に追われる繁忙期と寒さのピークが重なります。急ぎの現場ほど朝の確認が省かれがちですが、凍結による転倒や機械トラブルが起きれば、かえって工程が遅れてしまいます。
もう一つ気をつけたいのが、一番乗りの職人に準備を任せきりにすることです。会社が指示していなくても、準備が事実上義務になっていれば労働時間とみなされる可能性があります。
2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制(時間外労働の上限規制とは:残業時間に原則として月45時間・年360時間などの上限を設ける制度)が適用されているため、早出の扱いには注意が必要です。
※画像はイメージです
まずは凍結しやすい場所を前日のうちに把握しておきましょう。日陰になる通路や北側の足場など、「毎朝凍る場所」を共有しておくだけで、朝の確認がぐっと楽になります。
次に、始業直後の10分を冬の点検タイムとして正式に設けるのもおすすめです。KY活動(KY活動とは:作業前に危険を予測し対策を話し合う安全活動)に霜・凍結のチェックや工具の動作確認を加えれば、一番乗り職人の知恵を全員で共有でき、早出に頼らずに済みます。
防寒対策も大切です。重ね着で体温を調整できる服装を基本にし、休憩所に暖を取れる場所を用意するなど、寒暖差を小さくする工夫を現場全体で進めましょう。
冬の朝に誰よりも早く現場へ来る職人は、寒さと暗さがもたらす危険を誰よりもよく知っている人です。その知恵を個人の頑張りで終わらせず、現場のルールとして取り入れることで、冬の現場はもっと安全で働きやすくなります。本格的な寒さが来る前に、朝の段取りを見直してみてください。
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【出典】
・「国立天文台 天文情報センター 暦計算室」(国立天文台)(https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/)
・「令和7年の労働災害発生状況を公表」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73382.html)
・「建設業の時間外労働の上限規制に関するQ&A」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/001115877.pdf)
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