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「防水屋さんって、雨漏りしたら呼ばれる人でしょ?」――現場でこんな声を聞いたことはありませんか。実は防水工事の本当の役割は、雨漏りが起きる前に建物を水から守り、建物そのものの寿命を延ばすことにあります。
結論からいえば、防水工事は「直す仕事」ではなく「守る仕事」です。その価値を施主にきちんと伝えられる会社ほど、安定した受注につながりやすいのです。
水は建物にとって最大の敵のひとつです。コンクリートにしみ込んだ雨水は内部の鉄筋を錆びさせます。錆びて膨らんだ鉄筋はコンクリートを内側から押し割り、爆裂(爆裂とは:鉄筋の腐食膨張によってコンクリートが剥がれ落ちる現象)を引き起こします。木造住宅でも、柱や土台が湿気を含むと腐朽やシロアリ被害の原因になります。
室内に水がポタポタ落ちてくる段階は、すでに被害がかなり進んだサインです。つまり雨漏り修理は「最後の手段」です。本来の防水工事は、構造体に水を届かせないための建物の保険のような存在なのです。
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防水というと屋上を思い浮かべがちですが、対象は幅広いです。ベランダやバルコニー、外壁の目地、窓まわり、浴室などの水まわり、さらには地下室や地下ピットまで含まれます。外壁のすき間を埋めるシーリング(シーリングとは:建材のつなぎ目に充填して水や空気の侵入を防ぐ弾力性のある材料)の打ち替えも、立派な防水の仕事です。
工法も用途に応じてさまざまです。代表的なものとして、まず液状の材料を塗り重ねて継ぎ目のない膜をつくるウレタン塗膜防水があります。ほかに、塩ビやゴムのシートを貼るシート防水、軽くて硬いFRP防水(FRP防水とは:ガラス繊維で強化したプラスチックで防水層をつくる工法)、歴史が長く信頼性の高いアスファルト防水があります。
下地の状態や建物の使い方を見て最適な工法を選ぶ判断力こそ、防水職人の腕の見せどころです。
防水工事は専門分野としてしっかり位置づけられています。建設業許可(建設業許可とは:一定規模以上の工事を請け負うために必要な国や都道府県の許可)の29業種の中にも、独立した「防水工事業」があります。また、職人の技能を証明する国家検定として防水施工技能士(1級・2級)も設けられています。
需要面で注目したいのが、マンションの大規模修繕です。国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは、大規模修繕工事の周期の目安を12〜15年程度としています。その中心となる工事のひとつが、屋上や外壁の防水改修です。
一般に防水層の耐用年数は、工法によっておおむね10〜20年程度とされ、定期的な更新が欠かせません。高度経済成長期以降に建てられた建物が次々と改修時期を迎えています。そうした中で、防水の仕事がなくなることは考えにくいでしょう。
近年は線状降水帯やゲリラ豪雨など、短時間に激しい雨が降るケースが増えています。これまで問題がなかった建物でも、排水口(ドレン)の詰まりや防水層の劣化が一気に表面化することがあります。今後は、「壊れてから直す」から「壊れる前に守る」への意識転換が、施主側にも業者側にもますます求められるはずです。
一方で、職人の高齢化と人手不足は防水業界でも深刻です。需要があるのに対応できる職人が足りません。そのため、せっかくの依頼を断らざるを得ないという声も聞かれます。
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まずおすすめしたいのが、定期点検の提案です。
工事完了時に「○年後に点検にうかがいます」と伝えておくだけで、施主との関係が続きます。それが次の改修工事の相談につながりやすくなります。点検時には写真を撮り、ひび割れや膨れ、ドレンまわりの状態を見える形で報告しましょう。それだけで信頼度がぐっと高まります。
特にこれからの季節は、提案のチャンスです。秋は屋上やベランダに落ち葉がたまり、ドレン(ドレンとは:屋上やベランダの雨水を排水管へ流す排水口)が詰まりやすくなります。水があふれると、防水層の立ち上がり部分から浸水する原因になります。
また冬場は気温が低く、ウレタン防水材などは硬化に時間がかかるうえ、霜や結露で下地が湿ると密着不良につながります。本格的な寒さが来る前に点検・清掃を済ませておくよう施主に声をかければ、喜ばれるうえに春以降の改修工事の相談にもつながりやすくなります。
次に、若手への技能継承です。防水施工技能士の取得を会社として支援すれば、本人の自信になるだけでなく、元請や施主へのアピール材料にもなります。
そして、自社だけで抱えきれない案件に備えておくことも大切です。信頼できる協力会社と連携して受けられる体制をつくっておくことが、機会損失を防ぐカギになります。
防水工事は、雨漏りを直すだけの仕事ではありません。見えないところで建物の寿命を支える「守りのプロ」の仕事です。その価値を自信を持って伝え、点検や提案を通じて施主と長く付き合っていきましょう。それが、これからの防水業者の大きな強みになるはずです。
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参考:「長期修繕計画作成ガイドライン」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html)
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