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建設業では「忙しいから残業は仕方ない」という考え方が今でも根強く残っています。特に中小建設会社では、現場対応や書類作成、見積業務などが重なり、気付けば毎日残業が発生しているケースも少なくありません。 しかし、その残業は本当に利益につながっているのでしょうか。
実は、売上が増えているにもかかわらず利益が伸びない会社の中には、残業代の増加が利益を圧迫しているケースが多く見られます。残業は従業員にとって収入増になる一方で、会社にとっては人件費の上昇要因です。今回は建設会社を例に、残業代が利益に与える影響を具体的な数字で考えてみます。
会社経営では売上ばかりに注目しがちですが、本当に重要なのは利益です。
例えば現場監督の月給が30万円の場合、時間単価はおおよそ1,800円前後になります。法定時間外労働の割増率25%を加えると、残業時の人件費は1時間あたり約2,250円になります。
一見すると大きな金額ではないように感じますが、これが積み重なると状況は変わります。 社員10人が毎日1時間残業した場合を考えてみましょう。 1時間あたり2,250円×10人=22,500円 22,500円×20営業日=45万円 年間では540万円になります。
つまり、毎日1時間の残業が続くだけで、年間500万円以上の利益が失われている計算になります。
もちろん、すべての残業が悪いわけではありません。工期対応や緊急工事など、必要な残業もあります。 問題なのは利益を生まない残業です。
建設現場では次のようなケースが頻繁に発生しています。
・職人からの報告待ちで事務作業が進まない
・写真整理を現場終了後にまとめて行なう
・工程表の修正を何度もやり直す
・紙資料の転記作業に時間がかかる
・協力会社との連絡が電話中心で履歴が残らない
これらは現場作業ではなく、業務の進め方によって発生している時間です。 もし1日30分でも削減できれば、先ほどの例では年間270万円以上のコスト削減につながります。
残業による影響は人件費だけではありません。
長時間労働が続くと集中力が低下し、施工ミスや確認漏れが発生しやすくなります。手戻り工事が発生すれば材料費や人件費が追加で必要になります。 さらに若手社員の離職リスクも高まります。
近年は働き方を重視して就職先を選ぶ人が増えており、「毎日遅くまで残業する会社」という印象は採用活動にも不利に働きます。 採用コストが上昇し、人材不足が深刻化すれば、既存社員への負担がさらに増えるという悪循環に陥ります。
建設業でも時間外労働の上限規制が適用され、労務管理への注目が高まっています。 これまでは「忙しい時期だから仕方ない」で済んでいた長時間労働も、今後は適切な管理が求められます。
特に中小企業では、人手不足を残業で補う経営から、生産性を高める経営への転換が重要です。 現場写真管理のデジタル化、工程共有のオンライン化、勤怠管理システムの導入など、比較的小さな改善でも残業削減効果は期待できます。
また、残業時間そのものを管理するだけでなく、「なぜ残業が発生しているのか」を分析することが重要です。
※画像はイメージです
経営者や管理職は毎月次の数字を確認してみてください。
・総残業時間
・残業代総額
・社員一人あたりの残業時間
・現場別の残業時間
・売上に対する人件費率
数字で把握すると、どの現場や部署で改善余地があるのかが見えてきます。
残業削減は単なるコストカットではありません。社員の負担軽減、安全性向上、人材定着、生産性向上にもつながる経営改善策です。
利益を増やすために新規受注を追いかけることも重要ですが、まずは社内で発生している見えないコストを減らすことが利益改善への近道になる場合もあります。
## まとめ
建設業では残業が当たり前になりがちですが、毎日の積み重ねは年間数百万円規模の利益流出につながる可能性があります。本当に必要な残業と不要な残業を区別し、業務改善や労務管理の見直しを進めることで、利益と働きやすさの両立が実現できます。
まずは自社の残業代総額を計算し、その数字を経営改善の出発点にしてみてはいかがでしょうか。
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