記事を読み込み中です
11月に入り、東北や北海道、北陸の現場では朝の冷え込みが一段と厳しくなってきた。この時期から増え始めるのが、仮設トイレに関するトラブルである。トイレは工程表に載らない設備だが、使えなくなれば作業員の不満が一気に高まり、作業の中断や離職のきっかけにもなりかねない。
本記事では、冬場の仮設トイレで起きがちな失敗とその原因を整理し、管理のポイントを解説する。
冬の現場でよく起きるのが、次のようなケースだ。
氷点下まで冷え込んだ翌朝、簡易水洗式(簡易水洗式とは:少量の水で便器を洗い流し、下部のタンクに汚物をためる方式)の仮設トイレで洗浄水が凍り、ペダルを踏んでも水が出ない。手洗い用の水も凍結し、作業員が始業前に近くの店舗まで車で移動せざるを得なくなる。
また、日没が早まることで夕方の利用時に室内や足元が暗くなり、段差や凍った地面で転倒する危険も高まる。便座が冷え切っていることへの不満も、冬場に特に多く聞かれる声である。いずれも現場の快適性と安全性に直結する問題だ。
※画像はイメージです
原因は大きく三つある。
一つ目は水の扱いである。洗浄水タンクや配管、手洗い器に水が残ったまま夜間を迎えると、気温が0度を下回った時点で凍結が始まる。
二つ目は設置場所である。日陰や北風が直接当たる場所、資材置き場の奥などは冷え込みが厳しく、凍結しやすい。
三つ目は点検の後回しだ。夏場と同じ清掃頻度や点検手順のまま冬を迎え、トラブルが起きてから対応するケースが少なくない。
国土交通省は、2016年10月1日以降に入札手続きを開始する土木工事から、快適トイレ(快適トイレとは:洋式便座や施錠機能などの標準仕様を満たし、女性も使いやすい建設現場用トイレ)を原則化している。標準仕様では、洋式便座、水洗機能、臭いの逆流防止、容易に開かない施錠、照明設備などが必須とされ、推奨項目には「室内温度の調整が可能な設備」が挙げられている。
推奨項目は必須ではないが、冬の現場環境を考えるうえで参考になる。設置費用の計上上限は発注者ごとに定められているため、公共工事では特記仕様書(特記仕様書とは:工事ごとの個別条件を定めた発注者の書類)を確認しておきたい。国交省は自治体工事や民間工事、小規模現場にも快適なトイレ環境を広げる方針を示し、工夫事例集も公開している。
出典:「~建設現場の環境をより快適に~『快適トイレ』の事例集」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/common/001146979.pdf)
「建設現場における『快適に利用できるトイレ』に関する事例集」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001873278.pdf)
設置段階では、日当たりがよく北風を避けられる場所を選び、出入口の前を砂利敷きや敷き鉄板で平らにしておく。積雪地域では除雪の動線を考えて出入口の向きを決めることも重要だ。レンタル会社によっては寒冷地仕様や凍結防止ヒーター付きの機種を扱っているため、契約時に冬季対応の可否を確認するとよい。電源を確保できれば、暖房便座や照明も導入しやすくなる。
日常管理では、終業時に手洗い器や配管の水抜きを行なう。簡易水洗式の場合は、洗浄水に不凍液を混ぜる方法もある。ただし不凍液の種類や使用量は機種ごとに異なるため、必ずレンタル会社やメーカーの指示に従うこと。また、燃焼式のストーブを狭い室内に持ち込むと一酸化炭素中毒の危険があるため、暖房器具は電気式に限定すべきである。
点検段階では、寒波の予報が出た日の前後を重点確認日とし、凍結の有無、照明、トイレットペーパーなどの在庫をチェックする。汲み取り業者とは年末年始の休業期間を事前に共有し、タンクが満杯にならないよう回収日を調整しておく。担当者を決めてチェック表に記録を残せば、抜け漏れを防げる。
※画像はイメージです
仮設トイレの冬トラブルの多くは、寒さが本格化する前の準備で防ぐことができる。水抜きや設置場所の見直し、点検ルールの整備は、大きな費用をかけずに始められる対策だ。
トイレ環境の改善は作業員の健康を守るだけでなく、人材の定着や企業イメージの向上にもつながる。冬本番を迎える前に、自社の現場のトイレを一度見直してほしい。
寒冷期の現場を安定して回すための協力会社探しや人手確保には、無料の建設業向けマッチングサービス『建設円陣』へのご登録から始めてみませんか(緑のバナーをクリック)。
➡関連記事:秋冬の現場作業で手が動かない前に知っておきたい手袋選びの正解
お問い合わせフォームを読み込んでいます。お問い合わせページもご利用いただけます。
お問い合わせフォームを読み込み中です「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。