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国の補助で買い取った公園用地のうち、取得から20年以上たっても使われていない土地が183万㎡あることが、会計検査院(会計検査院とは:国の予算が正しく、有効に使われているかをチェックする独立の機関)の検査で明らかになりました。これを受けて国土交通省は令和8年8月、自治体などの事業主体に対し、こうした公園事業を続けるか、やめるかを改めて検討し、結果を報告するよう求める仕組みを整えました。
公共工事に関わる会社にとっては、「計画はあるのに動かない現場」がこれから見直しの対象になる、という意味を持つニュースです。
国交省は、事業採択から5年が過ぎても続いている事業などを対象に事業再評価(事業再評価とは:一定期間たった公共事業について、続けるべきか、内容を見直すべきか、中止すべきかを点検する手続き)を行なっています。
ただし公園事業の再評価は、自治体が国庫補助金を受けて行なう事業が対象です。平成22年度以降に交付されている社会資本整備総合交付金(社会資本整備総合交付金とは:自治体がまとめた整備計画に対し、国がまとめて交付するお金)による事業は、個々の事業ごとの再評価の対象になっていません。交付金事業でも、おおむね3〜5年の交付期間の終わりに計画目標の評価は行なわれますが、そこでは事業の継続・中止の検討までは求められていませんでした。
そのため、用地は補助事業で買い、その後の施設整備は交付金事業や自治体の単独事業で行なうという公園事業は、どの枠組みでも「続けるか、やめるか」を検討しないまま年月が過ぎ得る状態になっていました。
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公園事業の進め方と、継続・中止等の検討の扱い(改善前) |
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事業の進め方 |
適用される評価 |
継続・中止等の検討 |
|---|---|---|
国庫補助金を受けて実施(補助事業として継続中) |
事業再評価(採択後5年経過時点など) |
あり |
用地は補助事業で取得し、施設整備は交付金事業へ移行 |
交付金事業の評価(交付期間の終了時) |
なし |
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用地は補助事業で取得し、施設整備は事業主体の単独事業で実施 |
事業再評価の対象外 |
なし |
交付金事業で実施 |
交付金事業の評価(おおむね3〜5年の交付期間の終了時) |
なし |
出典:「長期間未供用となっている補助事業で取得した公園用地について」(会計検査院)(https://www.jbaudit.go.jp/report/new/kobetsu07/r081014.html)をもとに作成
検査の対象は、京都府と宮城、群馬、千葉、福井、兵庫、佐賀、長崎、熊本、大分の各県にある42事業主体・55事業です。令和6年度末時点の未供用用地(未供用用地とは:公園用地として取得したものの、まだ公園として使われていない土地)は計281万㎡、取得価格は計312億0535万余円、そのうち補助金等相当額は計103億5165万余円でした。
このうち、取得から20年以上たった長期未供用用地は14事業主体・19事業の183万㎡で、未供用用地全体の面積の65.1%を占めていました。経過年数別では、20年以上30年未満が92万㎡、30年以上40年未満が69万㎡、40年以上50年未満が20万㎡で、50年以上のものも1事業ありました。
さらに、9事業主体・13事業(長期未供用用地129万㎡、取得価格78億1681万余円)では、事業の継続・中止等の検討が行なわれていませんでした(実施を確認できなかったものを含む)。対象となった公園には、宮城県総合運動公園、大分スポーツ公園、福井市総合運動公園などが挙げられています。
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用地取得後の経過年数別にみた未供用用地(令和6年度末時点) |
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取得後の経過年数 |
事業数 |
面積 |
面積の割合 |
取得価格 |
|---|---|---|---|---|
20年未満 |
43 |
98万㎡ |
34.8% |
116億8311万円 |
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20年以上(長期未供用用地) |
19 |
183万㎡ |
65.1% |
195億2224万円 |
うち20年以上30年未満 |
15 |
92万㎡ |
32.7% |
146億0090万円 |
うち30年以上40年未満 |
8 |
69万㎡ |
24.8% |
43億8636万円 |
うち40年以上50年未満 |
5 |
20万㎡ |
7.3% |
5億2226万円 |
うち50年以上 |
1 |
1万㎡未満 |
0.1% |
1272万円 |
合計 |
55 |
281万㎡ |
100.0% |
312億0535万円 |
※複数年度にわたり用地を取得した事業は、経過年数ごとにそれぞれ計上しているため、事業数の内訳と合計は一致しません。面積・金額は表示単位未満を切り捨てています。
出典:「長期間未供用となっている補助事業で取得した公園用地について」(会計検査院)(https://www.jbaudit.go.jp/report/new/kobetsu07/r081014.html)を加工して作成
長期未供用となっている理由として多かったのは、整備計画はあるものの予算が確保できず、他の事業を優先しているケースや、整備区域内に未買収地があり、まとまった土地が確保できず工事に着手できないケースでした。
一方で、5事業主体の6事業では、自主的に継続・中止等の検討を行ない、事業規模を見直して具体的な供用開始予定年度を示すなどしていました。検査院は、こうした検討には一定の効果があると認めています。
参考事例として紹介されたのが千葉県の長生の森公園です。同県は交付金事業へ移行した後も独自の評価要領を定め、平成24年度、29年度、令和4年度に検討を実施しました。令和4年度の検討では、防災拠点や広域避難場所としての重要度の高まりを考慮しつつ、予定していた野球場スタンドの増設を中止するなど総事業費を見直したうえで継続を決めています。
長期未供用の用地27万㎡については、民間活力を取り入れて令和11年度までに体験の森や体験広場などを整備し、令和12年度に供用を始める予定です。
国交省が令和8年8月に出した事務連絡の内容は、次のとおりです。
・長期未供用用地がある公園事業について、事業主体が事業実施環境の変化などを踏まえて継続・中止等を検討し、結果を国交省に報告する
・継続となった事業も、その後おおむね5年ごとなど定期的に検討を行なう
・国交省は内容を把握し、必要に応じて事業主体に助言する
千葉県の例のように、検討の結果として施設計画の一部中止や総事業費の見直し、民間活力の導入といった変更が行なわれることがあります。地域の公園整備にかかわる建設会社や設備業者は、発注機関が公表する評価結果や整備計画の変更に目を配っておくと、今後の発注の方向性をつかむ手がかりになります。
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長期未供用用地がある公園事業の扱い(令和8年8月の事務連絡による変化) |
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項目 |
改善前 |
改善後 |
|---|---|---|
継続・中止等の検討 |
実施する仕組みがなく、事業主体によって対応がまちまち |
事業実施環境の変化などを踏まえ、事業主体が実施 |
国への報告 |
なし |
検討結果を国交省に報告 |
継続とした事業 |
定期的な検討の決まりなし |
おおむね5年ごとなど、定期的に再検討 |
国交省の関与 |
長期未供用の状態を把握していなかった |
内容を把握し、必要に応じて助言 |
出典:「長期間未供用となっている補助事業で取得した公園用地について」(会計検査院)(https://www.jbaudit.go.jp/report/new/kobetsu07/r081014.html)をもとに作成
取得から20年以上使われていない公園用地183万㎡に対し、国交省は定期的な「継続か中止か」の検討を求める仕組みを整えました。
止まっていた公園事業が見直しを経て動き出すとき、計画内容や発注のかたちが変わる可能性があります。地元自治体の動きを継続してチェックしておきましょう。
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出典:「長期間未供用となっている補助事業で取得した公園用地について」(会計検査院)(https://www.jbaudit.go.jp/report/new/kobetsu07/r081014.html)をもとに作成
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