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東京都の火葬場整備が、大きな転換点を迎えようとしています。東京都保健医療局が2026年10月14日に開いた「火葬場に係る検討会(第2回)」で、中間まとめに向けた論点整理案が示されました。
結論を先にいえば、都市部では大規模な用地を必要としない「小規模火葬場」が現実的な選択肢であり、公営火葬場を持たない自治体は近隣自治体と連携して整備の可能性を検討すべき、という方向性です。公共施設の整備に関わる建設業者にとっても、見逃せない動きといえます。
論点整理案では、東京の火葬体制は区部を中心に民間火葬場への依存度が高く、公営火葬場だけでは需要に対応できていないと整理されています。多死社会の進行で火葬需要は確実に増えるため、すべての自治体が具体的な対応を検討する必要があるとも明記されました。
一方で、整備には用地の確保と住民の合意形成という高いハードルがあります。特に都市部では、自治体の条例が定める離隔距離規制(離隔距離規制とは:火葬場を住宅などから一定距離以上離して設置するよう求めるルール)、つまり「住宅等から250m以上」の条件を満たす用地の確保は困難とされています。
そこで浮上したのが、2〜4炉程度の小規模火葬場です。大規模施設に比べ、将来の需要減少時に縮小・廃止しやすい利点があり、火葬炉の耐用年数(概ね25〜30年程度)に合わせて、炉だけ入れ替えるか施設ごと更新・廃止するかを判断できるとされています。複数配置すれば、利用者の移動負担の軽減や災害時のバックアップにもつながります。
既存の公営火葬場でも能力拡充が進んでいます。資料によると、瑞江葬儀所は友引日の休館見直しや稼働時間の延長により、年間最大稼働数を7,500件から10,500件へ拡大(令和8年6月〜)。臨海斎場は10炉から20炉(うち予備1炉)への増炉で、年間最大稼働数を12,250件から19,950件へ拡大する予定(令和12年度予定)です。
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公営火葬場の能力拡大 |
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施設 |
取組 |
年間最大稼働数 |
時期 |
|---|---|---|---|
瑞江葬儀所 |
友引日の休館見直し・稼働時間の延長 |
7,500件 → 10,500件 |
令和8年6月〜 |
臨海斎場 |
増炉(10炉 → 20炉、うち予備1炉) |
12,250件 → 19,950件 |
令和12年度予定 |
出典:東京都保健医療局ウェブサイト(https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/kaso/kento/kai2)の資料をもとに作成
新しい整備手法として紹介されたのがユニット型火葬場(ユニット型火葬場とは:工場で製作した火葬炉・機械設備・建築部材をユニット化し、現地で短期間に組み立てる方式の火葬場)です。工期や建設コストを縮減できるのが特徴で、国内では4例の施工事例があり、うち3件が稼働中とされています。
茨城県古河市の斎場では、建替え時の仮設施設として活用され、組立作業が約2日、設備接続工事等を含めても約1か月で供用開始しました。また福島県の川俣町斎場は、鉄骨造(ユニット工法)・延べ床面積約340㎡、台車式火葬炉2基の施設で、ユニット組立は約1か月、建物本体工事は約半年で完成したと紹介されています。
排ガス処理についても、ユニット型でバグフィルター(バグフィルターとは:ろ布で排ガス中のばいじんを取り除く集じん装置)の設置は可能とされています。
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ユニット型火葬場の事例 |
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項目 |
古河市斎場(茨城県) |
川俣町斎場(福島県) |
|---|---|---|
位置づけ |
建替え時の仮設施設(現在は撤去) |
全面建替え(令和6年8月供用開始) |
規模・仕様 |
― |
鉄骨造(ユニット工法)、延べ床面積約340㎡、台車式火葬炉2基 |
工期 |
組立約2日、設備接続工事等を含め約1か月で供用開始 |
ユニット組立約1か月、建物本体工事約半年 |
検討開始から供用まで |
― |
約6年 |
出典:東京都保健医療局ウェブサイト(https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/kaso/kento/kai2)の資料をもとに作成
論点整理案は、現在の離隔距離規制が明治期の規定を踏襲したものであり、最新の火葬炉の排ガス処理性能を踏まえると、一律に250mの離隔を求めることは合理的な根拠を欠くとの考えを示しました。そのうえで、構造設備の基準も含め、各自治体で条例改正も視野に検討する必要があるとしています。
手続き面では、火葬場は都市計画法上の都市施設で、新設・増築には原則として都市計画決定(都市計画決定とは:住民意見の聴取や都市計画審議会の審議を経て、施設の位置などを正式に定める手続き)が必要です。
小規模・ユニット型の整備では、建築基準法第51条ただし書きの活用可能性が論点とされました。都市計画決定を受けていなくても、都市計画審議会の議を経て特定行政庁が許可すれば新設・増築できるという規定です。
資料では、火葬場整備は補助事業ではないため補助に伴う施設整備基準はなく、一般的な建築と同様の流れ(基本構想→用地選定→基本計画→基本設計→実施設計→建設工事→完成・運営)で進むと説明されています。川俣町斎場の例では、検討開始から供用開始まで約6年かかりました。
また、環境性能の向上や周辺環境に溶け込んだ外観など、クリーンなイメージの打ち出しと住民と共有できるコンセプトづくりが重要とされています。設計・施工の段階でも、景観への配慮や地域への丁寧な説明が求められる分野だといえます。
今後は第3回検討会(12月頃予定)で中間まとめ(案)が示される予定です。各自治体の動きを継続して注視しておきましょう。
※画像はイメージです
東京都の検討会は、小規模火葬場の整備や近隣自治体との連携、離隔距離規制の見直しといった方向性を打ち出しました。工期を短縮できるユニット型など新しい整備手法も含め、公共施設づくりの新たな動きとして今後の議論に注目です。
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出典:火葬場に係る検討会(第2回)資料2「中間まとめに向けた論点整理案」(東京都保健医療局)(https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/kaso/kento/kai2)をもとに作成
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