近年の猛暑は、建設業における安全管理のあり方を大きく変えています。屋外での長時間作業が多い建設現場では、熱中症対策は個人任せではなく、会社全体で取り組むべき重要な課題となっています。
ファン付きウェアやペルチェ式ウェアなどの冷却用品が普及する一方で、塗装工事や粉じんの多い現場、電動機器の使用が制限される現場では、それらを使用しにくいケースも少なくありません。
こうした背景の中、水だけで冷却効果を得られる新しいタイプの冷却ベストが発売されました。今回は、その特徴や建設現場で期待される活用方法について詳しく解説します。
新たな暑さ対策として注目される気化熱冷却ベストとは
『株式会社ディックコーポレーション(本社:新潟県柏崎市、代表取締役:土田敏雅)は、ハードな環境で働くワーカーをサポートするブランド「IMPACT LOCK®」より、水の気化熱を活用した暑さ対策ウェア「気化熱冷却ベスト」を2026年7月3日より発売いたします。
本製品は、熱中症予防声かけプロジェクト認定商品です。背中の注水口からベスト内部に水を入れて使用する、注水式の気化熱冷却ベストで、ファンやバッテリー、保冷剤を使用せず、水分が蒸発する際に周囲の熱を奪う「気化熱」の仕組みを活用します。
屋外作業、農作業、倉庫作業、建築・施工、交通誘導、点検・整備、イベント設営など、暑さが気になるさまざまな作業シーンでのコンディション維持をサポートします。』
引用元:株式会社ディックコーポレーション プレスリリース(PR TIMES掲載)
なぜ建設現場ではファン付きウェアだけでは対応できないのか
近年、建設現場ではファン付きウェアが夏場の標準装備になりつつあります。衣服内へ風を送り込み、汗の気化を促進することで体温上昇を抑える効果が期待でき、多くの現場で採用されています。
しかし、すべての現場で最適な選択肢とは限りません。例えば塗装工事では、ファンが塗料ミストを吸い込んでしまう可能性があります。また、研磨作業や解体工事では粉じんを衣服内へ取り込む恐れがあり、衛生面や機器の故障リスクも考慮しなければなりません。
さらに、設備工事やプラント関連工事などでは、安全管理上の理由からバッテリー機器の持ち込みが制限されるケースもあります。充電忘れやバッテリーの劣化、予備電池の管理など、運用面での負担を感じている企業も少なくないでしょう。
こうした現場では、「電源を必要としない冷却用品」が新たな選択肢として注目されています。今回発売された気化熱冷却ベストは、水だけを利用して冷却するため、電源やファンに依存しない点が最大の特徴です。
水だけで冷却する仕組みと建設業で期待される活用場面
このベストは、背面の注水口から約500mLの水を注入し、ベスト内部へ均一に行き渡らせることで使用します。水がゆっくり蒸発する際に発生する「気化熱」の働きを利用し、衣服内の熱を逃がす仕組みです。
汗が乾くと涼しく感じたり、打ち水をすると周囲の温度が下がったように感じたりする現象と同じ原理であり、特別な機械を必要としません。電源が不要なため、バッテリー切れを心配する必要がなく、作業開始前に水を入れるだけで準備できる手軽さも魅力です。
また、一般的な冷却タオルや冷却ポンチョのように衣服全体を濡らす構造ではなく、ベスト内部へ注水する方式を採用しているため、作業服や制服が直接濡れにくい点も建設業では大きなメリットになります。夏場でも快適性を保ちながら作業しやすく、現場環境に応じた熱中症対策の一つとして導入を検討しやすい製品といえるでしょう。
引用元:株式会社ディックコーポレーション プレスリリース(PR TIMES掲載)
導入前に知っておきたいメリットと注意点
気化熱冷却ベストの最大の魅力は、電源やバッテリーに頼らず使用できる点です。約500mLの水だけで冷却効果が期待できるため、充電設備のない現場や長距離移動を伴う作業でも導入しやすいでしょう。また、本体重量は約290gと軽量で、長時間着用しても身体への負担を抑えやすい設計となっています。
一方で、気化熱を利用する製品である以上、使用環境によって体感には差が生じます。湿度が高い日は水分が蒸発しにくくなるため、乾燥した環境に比べて冷却効果を感じにくい場合があります。また、炎天下で長時間作業を続ける場合は、水分が蒸発して効果が弱まるため、適宜冷水を補充したり、休憩時間に冷蔵庫などで冷やしたりする工夫も必要です。
メーカーも公表しているように、本製品は熱中症を完全に防ぐものではありません。あくまでも暑さ対策を補助する製品であり、水分補給や塩分補給、適切な休憩、作業時間の見直しなどと組み合わせることで、より効果的な熱中症対策につながります。
引用元:株式会社ディックコーポレーション プレスリリース(PR TIMES掲載)
中小建設会社こそ現場に合った暑さ対策を選ぶ時代へ
建設業では、人材不足が続く中で職人の安全確保と働きやすい職場づくりがこれまで以上に重要になっています。熱中症による体調不良は、作業効率の低下だけでなく、重大な労働災害につながる可能性もあります。そのため、「何か対策をしている」という形式的な取り組みではなく、それぞれの現場環境に適した対策を選ぶことが求められています。
例えば一般的な住宅建築ではファン付きウェアが最適なケースもありますが、塗装工事や粉じんが発生する工事、設備工事などでは今回のような気化熱冷却ベストが有効な選択肢になる可能性があります。また、ファン付きウェアと併用することで冷却効果の向上を期待できる場面もあり、現場ごとに使い分けるという考え方も今後は広がっていくでしょう。
暑さ対策用品は毎年新しい製品が登場していますが、大切なのは価格だけで判断することではありません。作業内容、安全基準、管理のしやすさ、メンテナンス性などを総合的に比較し、自社に最適な製品を選定することが、職人の安全と生産性向上の両立につながります。
商品の購入先
「IMPACT LOCK® 気化熱冷却ベスト」は、以下のオンラインショップから購入できます。
商品の仕様や在庫状況、販売価格は各販売ページをご確認ください。
まとめ
猛暑が常態化する現在、建設現場における熱中症対策は欠かせない経営課題となっています。今回発売された「IMPACT LOCK® 気化熱冷却ベスト」は、水だけで使用できるという特徴から、ファン付きウェアが利用しにくい現場に新たな選択肢を提供する製品です。
ただし、どの暑さ対策用品にも万能なものはありません。現場環境や作業内容に応じて適切な製品を選び、水分・塩分補給や休憩時間の確保など基本的な熱中症対策を組み合わせることが、安全で快適な現場づくりにつながります。今年の夏は、自社の現場に最適な暑さ対策を改めて見直してみてはいかがでしょうか。
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