建設現場で働く職人さんの給料は、本来なら発注者から元請、下請へという流れの中で、きちんと「労務費」として支払われるべきものです。🏗️
でも実際には、下請企業が見積書に労務費を細かく書いても、それが最後まで確実に支払われるとは限らない、という声が現場から上がり続けていました。
今回、国土交通省が行なった調査で、その実態の一部がはっきりと数字で見えてきました。📊
国交省調査でわかった内訳明示の実態
国交省が建設業許可業者から無作為に4万者を抽出して行なっている「社会保険の加入及び賃金の状況等に関する調査」によると、直近の工事現場で労務費を内訳明示した見積書を提出した下請企業の割合は、公共工事で約6割、民間工事で約5割にとどまりました。この調査は毎年実施されており、有効回答数は6,972者にのぼります。
さらに注目したいのは、その先の数字です。👀内訳明示をした下請企業のうち「見積もった金額の100%以上の労務費を受け取った」と回答した企業は、公共工事で約8割、民間工事で約7割でした。
裏を返せば、公共工事でも2割、民間工事では3割前後の企業が、せっかく書いた労務費を満額受け取れていないことになります。これは決して小さな数字ではありません。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001992763.pdf)
「労務費に関する基準」で何が変わるのか
背景にあるのは、建設業ならではの重層下請構造です。
発注者から元請、1次下請、2次下請とお金が流れていく過程で、資材費の高騰分や急な工期短縮によるしわ寄せが、下請の労務費を圧縮する形で吸収されてしまうことがあります。⚠️
技能労働者に十分な賃金が行き渡らなければ、若い人材が建設業を選ばなくなり、担い手不足がさらに深刻化しかねません。だからこそ国は、見積書の段階から労務費を「見える化」する仕組みづくりに乗り出したのです。
こうした状況を受けて動いたのが、令和7年12月2日に中央建設業審議会が決定した「労務費に関する基準」です。📋これは改正建設業法に基づく新しいルールで、著しく低い労務費での見積りや見積り変更依頼を禁止するとともに、見積書に労務費を内訳明示して作成し、それを尊重することを努力義務として位置づけています。
国交省はあわせて実務向けの資料も整備しました。🛠️「労務費に関する基準の運用方針」は令和7年12月に、「建設工事の見積書様式例 徹底書き方ガイド(運用編)」は令和8年3月に、「労務費ダンピングを防止するための公共発注者向けガイドライン」は令和7年12月に、それぞれ公表されています。
さらに、いわゆる建設Gメンによる調査も動いています。🔍令和7年4月から12月にかけて929事業者を調査し、604事業者に指導や助言等を実施しました。指導内容の内訳を見ると、見積りの内訳明示や条件提示の不備等が457件ともっとも多く、契約書の記載不備等が428件、価格転嫁に関する定めの不備等が166件と続きます。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001992763.pdf)
中小建設業者が今できる3つの備え
この基準はまだ全面施行されたばかりで、罰則を科すことよりも「新しい商習慣を根づかせる」ための移行期にあります。
中小の建設事業者や下請企業としては、次の3点を意識しておくとよいでしょう。✅
まず、見積書には材料費・労務費・法定福利費などをできる限り項目ごとに分けて記載する習慣をつけること。
次に、元請との価格交渉の際は、内訳明示した労務費が満額支払われる契約になっているかを必ず確認すること。
そして👉国交省が公表している見積書様式例や書き方ガイドに一度は目を通し、自社の様式を見直すきっかけにすることです。
とはいえ、制度だけが整っても、実際の商習慣が変わらなければ意味がありません。国交省が年1回のフォローアップ調査を続けるのは、まさにこの「絵に描いた餅で終わらせない」ための取り組みだといえるでしょう。
発注者・元請・下請のそれぞれが自分ごととして向き合うことが、技能者の処遇改善への近道になります。🤝
国交省は今後、この基準の運用状況について年1回程度の頻度でフォローアップ調査を実施し、中央建設業審議会の労務費の基準に関するワーキンググループに報告していく方針です。新たな実態調査として、適正労務費の取引への反映状況等に係る調査や、CCUSレベル別年収の支払い状況に係る実態調査なども検討されています。
今のうちから内訳明示のクセをつけておくことが、将来の取引条件を守ることにつながります。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001992763.pdf)
まとめ
労務費の内訳明示は、書くこと自体がゴールではありません。「書いた金額がきちんと支払われること」がゴールです。😊
制度が整ってきた今だからこそ、見積書の一枚一枚を見直すきっかけにしてみてください。
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出典:「今後のフォローアップに向けた取組方針」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001992763.pdf)をもとに作成












