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「見積もりは昔からこうやってきた」「元請けに言われた金額で仕事を受けるしかない」——そんな声を現場でよく耳にします。しかし、国の制度はすでに大きく変わっています。
令和7年度(2025年度)、関東地方整備局の建設業法令遵守推進本部は、管内の111社に対して法令違反等に関する指導を実施しました。指導の重点テーマは「労務費見積」「工期設定」「価格転嫁」の3つです。
「ウチは関係ない」と思っているあなたの会社こそ、実は見直しが必要かもしれません。✋ 今回はこの3テーマを中心に、中小建設業者が今すぐ確認すべきポイントをわかりやすく解説します。
国土交通省は、平成19年(2007年)から各地方整備局等に「建設業法令遵守推進本部」を設置しています。この組織は、建設業界の公正・公平な競争環境を守るために設けられており、いわば「建設業界の法令遵守専門チーム」です。🔍
この推進本部の主役となっているのが「建設Gメン」と呼ばれる専門調査官です。建設Gメンは「駆け込みホットライン」(通報窓口)や「下請取引等実態調査」から得た情報をもとに動き、労務費や工期設定の状況をターゲットを絞って確認します。単なる書面調査にとどまらず、実際に企業へ立ち入って調べる「実地調査」も行ないます。
令和7年度(2025年度)の全国合計の立入検査等実施数は1,152業者・1,318件にのぼり、前年度(1,103業者・1,143件)を大きく上回りました。調査の手が着実に広がっていることがわかります。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000189.html)
関東地方整備局が令和7年度に111社へ指導した重点テーマは、以下の3点です。
① 労務費見積の問題
令和6年6月に改正された建設業法では、技能労働者の賃金原資となる労務費の確保とその支払いのための措置が法的に義務付けられました。💰
つまり「労務費が正しく見積書に反映されているか」が問われる時代になったのです。
具体的には、中央建設業審議会が作成・勧告した「労務費に関する基準」をもとに、元請・下請双方が適正な労務費を確保した見積書でのやり取りが求められています。総価ひとつで押し込むような従来型の見積もりは、今後は法令違反のリスクを伴う可能性があります。
② 工期設定の問題
「無理な工期を押しつけられているが断れない」——そんな状況は今や違法行為に問われかねません。建設業法に基づく「工期に関する基準」(令和2年7月20日
中央建設業審議会決定)では、発注者・受注者双方が考慮すべき適正工期の考え方が示されています。🗓️
長時間労働の是正・週休2日の確保・猛暑日の不稼働確保といった働き方改革の観点からも、実態に即した工期設定が不可欠です。令和8年度(2026年度)も引き続き指導強化が明言されています。
③ 価格転嫁の問題
資材費・エネルギー費・労務費のコストが上昇している中、そのコストアップを下請企業だけに押しつける行為は許されません。⛔ 元請が一方的に請負代金や工期を決定し、協議に応じないケースも建設Gメンへの通報対象になります。受注者の権利として、コスト増を理由とした価格交渉を行なうことは正当な行為であり、その場を元請が設けることも求められています。
令和8年度(2026年度)の建設業法令遵守推進本部の活動方針では、以下の3本柱が掲げられています。
まず「法令違反疑義情報の収集」です。駆け込みホットラインや下請取引等実態調査を通じた通報・情報収集が継続されます。
次に「報告徴収及び立入検査等の実施」です。建設Gメンによる実地調査が強化され、違反疑義が確認された場合は即座に報告徴収・立入検査・指導へと進みます。
そして「関係機関との連携」として、厚生労働省など他省庁との連携も強化されています。
つまり、今後は「知らなかった」では済まない環境がより整っていくということです。🔔 自社の見積書や工期の取り決め方を、今のうちに確認しておくことが重要です。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000189.html)
難しく考える必要はありません。まず自社の実態を確認するところから始めましょう。
一つ目は、見積書に労務費を「内訳として明示」しているか確認することです。「一式」でまとめているだけでは、適正な労務費確保の証明ができません。各専門工事業団体が「標準見積書」を整備していますので、自社の業種に合ったものを活用してください。
二つ目は、工期の設定根拠を記録しておくことです。「なぜこの工期になったのか」を書面で残すことで、万が一トラブルになった際の証拠にもなります。週休2日確保や猛暑対策の工期余裕も忘れずに。🌡️
三つ目は、コスト上昇分を遠慮せず元請に伝えることです。黙って我慢するのではなく、材料費・労務費の上昇を根拠にした書面での価格交渉が法的に認められています。「言いにくい」という気持ちはわかりますが、それを正当化するための法改正が行なわれていることを忘れないでください。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000189.html)
国土交通省の建設業法令遵守推進本部は、関東地方整備局だけでも令和7年度に111社を指導しました。全国では1,152業者・1,318件もの立入検査等が行なわれています。「知らなかった」「いつもこうしてきた」では通用しない時代が、すでに始まっています。
労務費見積・工期設定・価格転嫁——この3つを正しく理解して実践することが、会社を守り、職人さんを守り、建設業界全体の健全化につながります。今日から一つずつ、見直してみましょう。💪
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出典:「建設業法令遵守推進本部」の活動結果及び活動方針(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000189.html をもとに作成
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「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。