記事を読み込み中です

2026年に入り、建設現場で不穏な声が広がり始めています。「アスファルト系の資材が入荷未定になった」「重油の価格がじわじわ上がっている」——こうした声の根本には、中東情勢の悪化という国際問題が横たわっています。
イランをめぐる情勢の緊張、ホルムズ海峡にかかわる供給ルートの不安定化を受け、国内でも石油関連製品の流通に支障が出始めました。その影響は、陸上の建設現場だけでなく、港湾工事にも及んでいます。⚡
国土交通省港湾局は2026年6月10日時点での調査結果をまとめ、公表しました。港湾関連5団体への聞き取り調査を通じて現状を把握したもので、「何がどう影響を受けているのか」「現場の対応はどうなっているのか」が具体的に示されています。中小の建設業者にとっても無関係ではないこの動向、しっかり押さえておきましょう。📋
調査結果によると、石油由来の製品を中心に複数の品目で調達への影響が確認されています。
まずアスファルトルーフィングなど石油系建材では、一部製品で価格上昇・出荷制限・納期未定といった事態が生じています。これは原油由来の材料を使っているため、中東情勢が直結して影響するためです。
また、作業船の動力となる重油・軽油でも調達に影響が出ています。港湾工事では大型の作業船を使うことが多く、その燃料の確保が課題となりつつあります。⛵ ただし、現時点(2026年6月10日)では直轄工事において工期延長や工事中止は発生していません。港湾工事の受注者が、燃料・資材を早めに発注したり、手持ちの備蓄品・在庫品を活用したりするなどの自衛策を講じているためです。現場の機転と備えが奏功している状況といえます。
価格上昇や資材不足に対して、国土交通省はいくつかの重要な通知・制度対応を行っています。中小の建設事業者にとって特に重要なものを整理します。
① 単品スライド条項の運用(令和8年4月17日付通知) 資材価格が大幅に変動した場合に、請負代金額を一定条件のもとで変更できる「単品スライド条項」について、中東情勢を踏まえた運用指針が通知されています。💰 請負金額の見直しを求める際の根拠となる制度であり、元請・下請ともに把握が必要です。
② 価格転嫁の配慮を求める通知(令和8年3月27日・令和8年5月27日付通知)
元請事業者に対し、中小の下請・受託業者への適切な価格転嫁への配慮を求める通知が複数回発出されています。仮に現場で「値上がり分を丸々自社負担させられている」「見積変更を断られている」という事態があれば、この通知を根拠に交渉できます。国土交通省はこの問題を非常に重視しており、令和8年5月27日付でも改めて通知を発出しています。
③ 中東情勢関連対策ワンストップポータル(国土交通省)
国土交通省では「中東情勢関連対策ワンストップポータル」(https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/chuto_josei.html)を設置し、建設業を含む各分野での相談窓口を一元化しています。2026年6月5日時点で全体の相談件数は約9,500件に達しており、現場の不安の大きさがうかがえます。💬
資材・燃料価格の高騰や入手難という問題に対して、現場・会社レベルでできる対策があります。
まず早期発注・備蓄の検討です。石油系の資材や燃料については、価格上昇や供給不安が続く見通しのため、必要量の早期確保が有効な手立てになります。今回の調査で「工期延長ゼロ」を維持できた現場も、この備えがあったからこそです。
次に契約書の確認とスライド条項の活用です。契約書に単品スライド条項が盛り込まれているか確認し、条件に該当する場合は発注者へ協議・申請を行ないましょう。「申請すると関係が悪くなる」と躊躇する声もありますが、制度として認められた正当な権利です。📄
さらに情報収集を継続することが重要です。中東情勢は現在も変動中であり、影響は今後さらに広がる可能性があります。国土交通省のワンストップポータルや業界団体の情報を定期的にチェックし、状況の変化に素早く対応できる体制を整えておくことが求められます。
※画像はイメージです
現時点では直轄工事において工期延長・中止の事例は確認されていませんが、これはあくまでも「6月10日時点」の状況です。石油の供給不安が長期化すれば、現場の備蓄・在庫を使い果たした時点から、工期や工事費への影響が表面化してくる可能性があります。
国土交通省の幹部会議は2026年6月11日に第6回が開催されるなど、政府も継続的にモニタリングを続けています。また、相談件数が約9,500件に達したことは、建設・住宅・運送など多分野にまたがる影響の深刻さを示しています。⚠️
今は「自分の現場は大丈夫」と思えていても、次の工事の受注時に影響が出てくるケースもあります。積算時に石油系資材の価格変動リスクを見込んでおくこと、契約条件の確認を行うことが、これからの時期の工事管理において欠かせないポイントになりつつあります。
中東情勢を発端とした燃料・石油製品の調達難は、港湾工事を皮切りに陸上の建設現場にも広がりつつあります。国土交通省は単品スライド条項の運用指針や価格転嫁配慮通知を発出しており、早期発注・備蓄、そして制度を活用した交渉が現場で重要な対策となります。
工期延長ゼロが続いている今のうちに、自社の体制を見直しておきましょう。
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。 あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサイト『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。
出典:*中東情勢に伴う建設産業分野における対応状況について(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_fr2_000001_00068.html をもとに作成
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。