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「いつものやつ、持ってきて」 建設現場では、こんな指示が飛び交うことがあります。
ベテラン同士なら、それだけで何を指しているのか分かる。長く同じ現場や仕事に携わっていると、道具の種類や置き場所、作業の流れまで頭の中で共有されているからです。🧰
しかし、新人にとっては違います。 「いつものやつって、どれですか?」 そう思っても、忙しそうな先輩を前にすると聞き返しづらいこともあります。
ここで大切なのは、新人が「覚えていない」と決めつけないことです。 ベテランが省略できるのは、これまでの経験があるから。新人には、その「経験」という情報がまだありません。
新人が戸惑いやすいのは、「いつものやつ」だけではありません。 「そこに置いといて」 「あれ取ってきて」 「この前と同じようにやって」 「○○さんに聞けば分かるよ」 ベテランには自然な言葉でも、新人には判断するための情報が足りない場合があります。
例えば「あれ」と言われても、似た工具が複数あれば、どれを選べばいいのか分かりません。「そこ」と言われても、現場のどこを指しているのか分からないかもしれません。
それでも「分かりません」と言いづらく、とりあえず動いてしまう。 そして間違えると、「なんで聞かなかったの?」となる。
新人からすると、「聞かなかった」のではなく、「何を聞けばいいのか分からなかった」というケースもあるのです。😵
だからといって、ベテランが新人に毎回すべてを説明する必要はありません。 ポイントは、指示に具体的な情報を一つ足すことです。
*「いつものやつ」なら「○○を2個」
*「あれ」なら「倉庫の右側にある○○」
*「この前と同じ」なら「前回と同じ○○の作業」
これだけでも、新人が判断できる材料が増えます。📋
さらに、「分からないことある?」と聞くだけでなく、 「次に何をするか分かる?」 「この道具は分かる?」 「どこを確認するか分かる?」 と、具体的に確認するのも有効です。
新人は「分からないことを質問する」こと自体に慣れていない場合があります。教える側から質問を小さくしてあげると、コミュニケーションのきっかけを作りやすくなります。
新人教育で活用したいのが、ベテランの頭の中にある情報を残しておくことです。
例えば、
*作業の完成形を写真で撮る
*よく使う道具の名前や置き場所をメモする
*新人が間違えやすいポイントを簡単に書いておく。
スマートフォンで写真を残すだけでも、「口で説明するだけ」の教育から一歩進められます。📱
特に中小企業では、教育担当者が新人につきっきりになるのが難しいこともあります。 だからこそ、同じ質問を何度も受ける内容は、少しずつ「誰が見ても分かる情報」に変えていくことが大切です。
これは新人のためだけではありません。 ベテランが休んだときや担当者が変わったときにも、仕事を引き継ぐ材料になります。
新人が成長するには、知識や技術だけでなく、「分からないと言える環境」も重要です。 「そんなことも分からないの?」 「前にも言ったよね」 といった言葉が続けば、次から質問することをためらってしまうかもしれません。
もちろん、現場が忙しいときに毎回丁寧な説明をするのは簡単ではありません。 だからこそ、まずは指示に一つだけ具体的な情報を加える。 そして、新人が確認してきたときには、「聞いてくれてよかった」と受け止める。 その積み重ねが、質問しやすい環境づくりにつながります。👷
ベテランにとって数秒の説明でも、新人にとっては仕事を覚えるための大きなヒントになります。
※画像はイメージです
ベテランの「あれ」「そこ」「いつものやつ」は、経験があるからこそ通じる言葉です。 新人に伝わらないからといって、本人の能力だけを原因にするのではなく、「経験者には見えている情報が、新人にはまだ見えていない」と考えてみましょう。
「名前を一つ足す」「場所を伝える」「次の作業を示す」。 ほんの少し具体的にするだけで、新人は動きやすくなります。 ベテランの経験を新人にも伝わる言葉へ変えていくことは、現場の人材育成そのものです。
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