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現場で「これ、どうすればいいですか?」と同じ質問が何度も出る。忙しいときほど、社長やベテランが手を止めて説明し、その後また同じ質問に答える。
こうした状態は、新人の能力だけが原因とは限りません。実は、質問が繰り返される仕事ほど、個人の記憶や経験に頼らず、仕組みに変える余地があります。
建設業の中小企業では、見積書の作り方、材料の発注先、写真の保存場所、請求書の確認方法など、会社ごとの「いつものやり方」が数多くあります。ところが、その手順が口頭だけで伝えられていると、担当者が変わった途端に分からなくなります。「前にも言ったよね」が増えるほど、教える側にも教わる側にも負担がかかります。
同じ質問が繰り返される仕事には、共通点があります。それは、手順が決まっているのに、確認する場所が決まっていないことです。
たとえば「材料を発注するとき、まず何を確認するのか」「現場写真を撮ったら、どこへ保存するのか」「請求書が届いたら、誰が何を確認するのか」。こうした仕事は、毎回ゼロから判断する必要はありません。
まずは、質問された内容を「よく聞かれること」として書き出します。質問が出るたびに記録しておけば、どこでつまずいているのかが見えてきます。質問そのものを減らそうとするより、質問が出た場所を仕組み化の入口にすることがポイントです。
※画像はイメージです
仕組み化というと、分厚いマニュアルを作ることを想像しがちです。しかし、最初から完璧な資料を作る必要はありません。
たとえば「請求書を受け取ったら、①日付を確認、②現場名を確認、③金額を確認、④担当者へ回す」といった4つの手順だけでも十分です。文章だけで分かりにくければ、実際の書類や写真を添えてもよいでしょう。
重要なのは、誰かの頭の中にある「当たり前」を外に出すことです。ベテランにとっては簡単な作業でも、新人には判断材料がありません。「見れば分かる」ではなく、「見れば同じように進められる」状態を目指します。
同じ質問が出たとき、「またか」と終わらせないことも大切です。その質問は、現在の仕事の流れに分かりにくい部分があるというサインかもしれません。
たとえば「この書類はどこに置きますか?」と何度も聞かれるなら、保存場所のルールが曖昧なのかもしれません。「誰に確認すればいいですか?」が続くなら、担当者が分かりにくい可能性があります。
ここで役立つのがチェックリストです。仕事の開始前、終了後、提出前など、確認が必要な場面ごとに項目を並べれば、聞かなくても確認できる部分が増えます。
仕組み化の目的は、質問をゼロにすることではありません。判断が必要なことまで無理にルール化すると、かえって現場が動きにくくなります。
目指したいのは、決まっていることは自分で確認し、決まっていないことだけ人に相談できる状態です。
そのためには、「分からなければ社長に聞く」ではなく、「まずこの資料を見る」「このチェックリストを確認する」「この担当者に確認する」という順番を決めます。これだけでも、社長やベテランに集中していた細かな問い合わせを減らせます。
さらに、一度作った仕組みを放置しないことも重要です。現場で「この手順では分かりにくい」という声が出たら、内容を直します。仕組みは完成品ではなく、実際の仕事に合わせて育てていくものです。
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同じ質問への回答が減れば、ベテランは本来の仕事に集中しやすくなります。新人も「何度も聞くのが申し訳ない」と感じにくくなり、自分で確認してから質問する習慣を身につけやすくなります。
さらに、仕組み化された仕事は、担当者が休んだときや新しい人が入ったときにも役立ちます。特定の人しか分からない仕事を減らせれば、会社全体として仕事を引き継ぎやすくなります。
大切なのは、いきなり会社全体を変えようとしないことです。まずは、「今週、同じ質問が何回出たか」を振り返り、その中から一つだけ選んで手順を書き出してみましょう。
同じ質問が何度も出る仕事は、教える側の負担ではなく、仕事の仕組みを見直すチャンスです。頭の中にある「いつものやり方」を少しずつ手順やチェックリストに変えていけば、質問する人も答える人も楽になります。
まずは一つの仕事から、「聞かなくても進められる状態」を作ることが、属人化を減らす第一歩です。
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