記事を読み込み中です
従業員10人以下の建設会社が積算・見積ソフトを選ぶとき、最も重視すべきなのは機能の多さではなく、社長や事務担当者が無理なく使い続けられるかどうかである。導入したものの結局Excelに戻ってしまったという声は、小規模事業者ほど多い。本稿では結論を先に示し、その理由と判断材料を整理する。
結論から言えば、10人以下の会社が押さえるべき条件は3つに絞られる。
第一に、初期費用を抑えられる月額制(サブスクリプション)であること。
第二に、内装、電気設備、リフォームなど自社の主力工種に合った単価データや書式を備えていること。
第三に、過去の見積書や協力会社の見積を取り込んで再利用できることである。
積算(積算とは:図面や仕様書から工事に必要な材料・数量・手間を拾い出し、工事費を算出する作業)は経験者の勘に頼りがちな業務であり、ソフトはその属人化を解消する道具として位置付けるのが妥当だ。
※画像はイメージです
大手向けの統合型システムは、原価管理、工程管理、請求管理まで一体化している反面、設定項目が多い。専任の担当者がいない小規模会社では使いこなせない例が少なくない。見積作成者が社長1人という会社では、現場の合間に操作を覚える時間を確保すること自体が難しい。
また、高額な買い切り型ソフトを導入すると、合わなかった場合に乗り換えにくい。まずは見積作成に特化した製品で小さく始め、効果を確認してから機能を広げる順序が、資金に余裕のない会社には現実的である。
実際に、小規模事業者でも導入しやすい製品が提供されている。
アークシステム株式会社の「楽王」シリーズは、個人向けの「楽王Crew」が月額8,800円、組織向けの「楽王Link」が月額14,800円(税込)からと公表されている。表計算ソフトに近い操作感が特徴で、全日出版社の電気・機械設備工事の積算実務マニュアルの単価を収録しているため、設備系の工事会社と相性が良い。楽王Linkは協力会社から受け取った見積書を取り込めるので、転記作業の削減にもつながる。
株式会社アイピア(兵庫県神戸市)の「アイピア」は、工務店やリフォーム会社向けのクラウド型(クラウド型とは:ソフトをパソコンに入れず、インターネット経由で利用する方式)業務管理システムである。見積作成に加えて、原価管理や請求管理まで一元化できる。階層見積(階層見積とは:工事全体から工種、明細へと段階的に内訳を組み立てる見積形式)に対応し、作成した見積書をExcel形式で出力することも可能だ。機能が多い分、最初は見積作成に絞って使い始め、慣れてから原価管理へ範囲を広げる運用が小規模会社には合っている。
なお、料金や機能は改定される場合があるため、導入前には必ず各社の公式サイトで最新情報を確認してほしい。
費用面では、国の支援制度も見逃せない。2026年度から、従来の「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」(デジタル化・AI導入補助金とは:中小企業・小規模事業者がITツールを導入する費用の一部を国が補助する制度)へと名称が変更された。
一方で、賃上げ計画や事業計画の提出など、申請企業に求められる要件は重くなっている。補助の対象は事前に登録されたツールに限られる。検討中のソフトが対象かどうかを販売元に確認したうえで、公募スケジュールに合わせて準備を進めることが重要である。
※画像はイメージです
選定にあたっては資料請求だけで決めず、無料体験やデモを活用し、直近の実案件1件を実際に入力して比較することを勧めたい。
確認すべき点は3つある。自社の見積書式で出力できるか、過去のExcelデータを移行できるか、操作に迷ったときのサポート体制は十分か、である。図面からの拾い出しに時間がかかっている会社は、楽王と連携する拾い出しソフト「ヒロイくんIII」のような周辺ツールがあるかどうかも判断材料になる。
見積の速さと正確さは、受注率と利益率に直結する。ソフト選びは単なるIT投資ではなく、限られた人員で利益を確保するための経営判断と捉えるべきだろう。
従業員10人以下の建設会社にとって、積算・見積ソフトに求められる最大の条件は「高機能」ではなく「続けられる」ことである。月額制で小さく始め、自社工種との相性と既存データの活かしやすさを実案件で確かめれば、見積業務の負担は着実に軽くなるはずだ。
見積ソフトで生まれた時間を新規受注につなげ、増えた案件を確実にこなすための協力会社探し・人手確保には、無料の建設業向けマッチングサービス『建設円陣』へのご登録をおすすめします(緑のバナーをクリック)。
➡関連記事:解体工事の廃材処分費、見積もり前に確認したい5つのこと
お問い合わせフォームを読み込んでいます。お問い合わせページもご利用いただけます。
お問い合わせフォームを読み込み中です「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。