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「資材の値上がりに気づいたときには、もう見積もりを出した後だった」。中小の施工会社では、こうした悩みを感じたことのある方も多いのではないでしょうか。
仕入れ先からの連絡や業界のうわさだけを頼りに相場をつかもうとすると、どうしても判断が後手に回りがちです。そこで役立つのが、国が毎月無料で公表している資材の調査データです。本記事では、2026年10月26日に国土交通省が公表した最新の結果を例に、データを経営判断に生かすコツを紹介します。
見積もりの単価は、会社の利益を左右する大切な数字です。ところが、資材価格の見通しを担当者の勘や経験に頼っていると、人によって判断がばらつき、社内で根拠を説明しにくくなります。
客観的なデータを一つ持っておくだけで、仕入れ先との交渉や社内での相談がぐっと進めやすくなります。
国土交通省は主要建設資材需給・価格動向調査(主要建設資材需給・価格動向調査とは:生コンクリートや鋼材、木材など工事に欠かせない資材について、価格・需給・在庫の動きを国が毎月、都道府県別に把握している調査)を毎月実施しています。
各モニターの回答を都道府県別に集計し、価格動向を1(下落)~5(上昇)、需給動向を1(緩和)~5(ひっ迫)、在庫状況を1(豊富)~4(品不足)の指数で示しているのが特徴です。価格と需給は2.5以上3.5未満が「横ばい」「均衡」の区分にあたります。
10月1~5日時点の調査では、7資材13品目すべてで価格は「横ばい」、需給は「均衡」、在庫は「普通」でした。
資材・品目 |
9月 |
10月 |
前回との差 |
|---|---|---|---|
セメント(バラ物) |
3.16 |
3.18 |
+0.02 |
|
生コンクリート(21N) |
3.22 |
3.28 |
+0.06 |
骨材(砂) |
3.26 |
3.27 |
+0.01 |
骨材(砂利) |
3.26 |
3.26 |
0.00 |
骨材(砕石) |
3.23 |
3.25 |
+0.02 |
骨材(再生砕石) |
3.15 |
3.17 |
+0.02 |
アスファルト合材(新材) |
3.31 |
3.26 |
▲0.05 |
アスファルト合材(再生材) |
3.32 |
3.27 |
▲0.05 |
異形棒鋼(SD295A D16) |
3.31 |
3.26 |
▲0.05 |
|
H形鋼 |
3.46 |
3.46 |
0.00 |
木材(製材) |
3.27 |
3.27 |
0.00 |
|
木材(型枠用合板) |
3.33 |
3.23 |
▲0.10 |
|
軽油(1、2号) |
3.19 |
3.27 |
+0.08 |
※価格指数は1(下落)~5(上昇)。2.5以上3.5未満が「横ばい」。調査日は9月1~5日、10月1~5日。
出典:「主要建設資材需給・価格動向調査(令和8年10月1~5日現在)の結果」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00386.html)を加工して作成
ただ、品目ごとの全国平均値を見ると細かな動きがあります。前回(9月1~5日)と比べて、生コンクリート(21N)は3.22から3.28、軽油は3.19から3.27とやや上向きました。一方、型枠用合板(型枠用合板とは:コンクリートを流し込む型枠に使う合板)は3.33から3.23に下がっています。
また、H形鋼(H形鋼とは:断面がH字型をした鉄骨用の鋼材)の価格指数は3.46で、13品目の中で最も高い水準でした。
さらに見逃せないのが、国交省の調査資料(表-1)に載っている3か月先の予想です。価格が「やや上昇」と予想された都道府県数は、H形鋼で33、異形棒鋼(異形棒鋼とは:コンクリートとの付着をよくするため表面に凹凸をつけた鉄筋)で32にのぼりました。現在の「やや上昇」はH形鋼21、異形棒鋼10なので、現在よりも先行きの上昇を見込む地域が多いことが分かります。
資材・品目 |
現在 |
3か月先の予想 |
|---|---|---|
|
H形鋼 |
21 |
33 |
|
異形棒鋼 |
10 |
32 |
アスファルト合材(再生材) |
5 |
29 |
アスファルト合材(新材) |
7 |
25 |
軽油 |
11 |
25 |
生コンクリート |
7 |
23 |
骨材(砂) |
7 |
21 |
骨材(砕石) |
3 |
17 |
木材(型枠用合板) |
8 |
16 |
骨材(砂利) |
5 |
14 |
木材(製材) |
9 |
13 |
セメント |
2 |
10 |
骨材(再生砕石) |
1 |
7 |
※価格指数3.5以上4.5未満(やや上昇)に該当した都道府県数。回答者が2者以下の都道府県は集計から除外。3か月先の予想の多い順に並べ替え。
出典:「主要建設資材需給・価格動向調査(令和8年10月1~5日現在)の結果」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00386.html)を加工して作成
1.確認日を決めて習慣にする
この調査は毎月実施されており、10月分は10月1~5日に調査、10月26日に公表されました。公表に合わせて社内の定例会議の前などに確認日を決めておけば、見落としを防げます。
2.自社がよく使う品目だけを記録する
13品目すべてを追う必要はありません。鉄骨工事が多ければH形鋼、基礎工事が多ければ生コンや異形棒鋼というように、関係の深い品目の全国平均値と3か月先の予想を表計算ソフトに書き残していくだけで、社内の相場メモになります。発表ページにはExcel形式の添付資料も用意されています。
調査月 |
品目 |
価格指数 |
3か月先 |
社内の対応メモ |
|---|---|---|---|---|
2026年10月 |
H形鋼 |
3.46 |
33 |
年明け着工分の単価を仕入れ先に確認 |
2026年10月 |
異形棒鋼 |
3.26 |
32 |
見積書の有効期限を明記 |
2026年10月 |
生コンクリート |
3.28 |
23 |
翌月の結果も継続して確認 |
2026年11月 |
※「社内の対応メモ」欄は記入例です。数値は「主要建設資材需給・価格動向調査(令和8年10月1~5日現在)の結果」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00386.html)を加工して作成
3.見積もりと発注の判断に結びつける
3か月先に「やや上昇」の予想が多い品目は、仕入れ先に単価を早めに確認したり、見積書の有効期限を明記したりするなど、対応をあらかじめ決めておくと迷いが減ります。
10月の資材価格は全品目で落ち着いていましたが、3か月先の予想では鋼材を中心に変化の兆しも見えています。無料で読める国のデータを毎月の業務に組み込み、勘だけに頼らない判断の仕組みづくりから始めてみましょう。
データに基づく経営に加えて、資材の先高予想に備えた協力会社や取引先の選択肢づくりも進めたい方は、無料の建設業向けマッチングサービス『建設円陣』へのご登録をご検討ください(緑のバナーをクリック)。
出典:10月の主要建設資材の需給動向は全ての調査対象資材において均衡~主要建設資材需給・価格動向調査(令和8年10月1~5日現在)の結果~(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00386.html)をもとに作成
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