記事を読み込み中です
国土交通省は、建築分野のデジタル化の方向性をまとめた「建築ライフサイクルDX戦略」を、2026年(令和8年)11月中に公表する予定です。DX(DXとは:デジタル技術を使って業務の進め方や事業のあり方そのものを変えていく取組)を、建物を「つくる」段階だけでなく、使い終わるまでの一生を通じて進めようという考え方が示されています。
設計事務所や工務店、専門工事会社にとっても、今後の仕事の進め方に関わる内容です。10月28日に開かれた第25回建築BIM環境整備部会の資料から、ポイントを整理します。
資料に示された今後のスケジュール案は、パブリックコメント(パブリックコメントとは:国が案を公開し、広く国民から意見を募る手続き)が令和8年11月、公表が令和8年11月中です。
現在、国交省は「建築分野の中長期的なビジョン」の検討を進めており、そのとりまとめは令和9年2月の予定です。DX戦略は、このビジョンに先行して公表される位置づけです。
当面の策定主体は、ビジョンを検討する作業WG(WGとは:ワーキンググループの略で、特定テーマを実務的に検討する少人数の会議)のひとつであるDX WG(池田靖史主査、東京大学大学院)です。公表後は、1〜2年程度を目安に機動的に更新するための会議体を設置する予定とされています。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/002028711.pdf)
なぜビジョンより先に出すのか。資料では、急速に進歩するDXについては、個別制度の議論に先立って国の取組の方向性を早く示すことで、民間事業者による個別技術の開発や導入を促すことが重要だと説明されています。
制度が固まるのを待っていては技術の変化に追いつけないため、まず「国はこちらに向かう」という道筋を示しておく、という狙いです。
DX戦略の土台となるのが、BIM(BIMとは:建物の3次元形状に、室名・面積・材料・仕様などの属性情報を持たせたデジタルの建築物モデル)の普及です。
建築確認では、2026年4月1日にBIM図面審査が始まりました。BIMから出力したIFCデータ(IFCとは:異なるソフト間でBIMデータをやり取りするための共通ファイル形式)とPDF図書を提出することで、図面間の整合チェックが不要になり、審査期間の短縮につながるとされています。
さらに2029年春には、IFCデータそのものを審査に使うBIMデータ審査の導入が予定されています。国交省の取組項目には「中小の設計事務所・建設業者のBIM活用促進」も明記されています。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/002028711.pdf)
DX戦略(案)が掲げる目指す姿は、次の3つです。
1. ライフサイクルを通じた建物・市街地の最適化
2. 生産性の向上・技術の民主化・担い手の多様化
3. 新たな価値の創造
建築情報は「生成・取得」「データ化・蓄積」「連携・流通」「更新」「継承」という流れで扱われ、BIM等を活用した建築情報プラットフォームで建物の一生を通じて引き継ぐ姿が描かれています。
段階ごとの例としては、「つくる」でAIによる発注者支援や設計・審査補助、AIロボティクス等による生産性向上、「つかう」で予防保全(予防保全とは:壊れてから直すのではなく、劣化を予測して早めに手を打つ維持管理)、「改修する」で現況把握・改修判断の高度化や既存建物のBIM作成の効率化、「継承する」で部材情報の継承、「つかい終わる」でリユース・リサイクル材のデータベース化が挙げられています。
新築の施工だけでなく、改修や維持管理の現場でもデジタルの建物情報を扱う場面が増えていくことが読み取れます。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/002028711.pdf)
中小の建設会社がいますぐできることは、まず11月のパブリックコメントと公表内容を確認することです。意見募集の段階で案を読んでおけば、自社の業務にどこが関わるかを早めに把握できます。
あわせて、元請や設計者から受け取る図面・データの形式を見直し、BIMやIFCデータに触れる機会を少しずつ増やしておくと、2029年春のBIMデータ審査に向けた流れにも無理なく対応しやすくなります。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/002028711.pdf)
「建築ライフサイクルDX戦略」は、建物の情報を一生にわたって活用するための国の道しるべです。11月の公表を、自社のデジタル対応を一歩進めるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
建築DXやBIM対応の流れの中で、デジタルに強い協力会社や新たな取引先を探すなら、無料の建設業向けマッチングサービス『建設円陣』へのご登録がおすすめです(緑のバナーをクリック)。
出典:建築BIMの社会実装に向けた取組(第25回建築BIM環境整備部会 資料1)(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/002028711.pdf)をもとに作成
➡関連記事:地域の暮らしを支える会社に国のお墨付き、申請は11月13日締切
お問い合わせフォームを読み込んでいます。お問い合わせページもご利用いただけます。
お問い合わせフォームを読み込み中です「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。