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建設業を営む中小企業にとって、事業拡大のスピードに経営体制が追いつかず、事務所や人員配置に苦慮するケースは少なくない。今回取り上げるのは、公共土木・舗装工事を軸に業績を伸ばしてきた東京都世田谷区の建設会社が、経営基盤そのものを見直した事例である。
「街をマモル。人をマモル。そして、話せる気楽さもマモル。」をコンセプトに掲げる株式会社マモル(本社:東京都世田谷区、代表取締役:新舘豊晃)は、2026年6月をもってホールディングス体制へ移行したことを発表した。同社は世田谷区の公共土木・舗装工事を中心に業績を伸ばし、人員拡大を続けてきた経緯があり、その背景と目的をプレスリリースで説明している。
まず拠点整備については、次のように述べられている。
『当社は世田谷区の公共土木・舗装工事を中心に順調に業績を伸ばし、人員の拡充を続けてまいりました。これに伴い、既存事務所の狭小化が経営上の重要課題となっておりました。ホールディングス体制への移行により、土地取得から自社ビル・駐車場の建設・管理を含めた不動産アセットの一元管理体制を構築し、将来的な事業拡大に柔軟に対応できる拠点基盤を整備いたします。』
引用元:株式会社マモルプレスリリース(PR TIMES掲載)
さらに、財務体質を活用した投資戦略についても言及がある。
『これまで培った健全な財務体質と強固な純資産、および高い金融機関信用を背景に、不動産賃貸事業や多様なアセットへの分散投資を推進します。持株会社を中心とするグループ配当・資金循環メカニズムを確立することで、単一事業に依存しないリスクヘッジ体制を構築し、グループ全体の資産価値最大化を目指します。』
引用元:株式会社マモルプレスリリース(PR TIMES掲載)
地域密着型の建設会社が業績を伸ばすと、必然的に人員は増え、事務所スペースや設備は手狭になる。しかし多くの中小企業では、単年度の収支管理は行っていても、不動産取得や資産配分を含めた中長期の経営戦略までは手が回らないのが実情だ。マモルのケースは、業績拡大局面で生じる「成長痛」に対し、持株会社という器を用意することで対応した点が特徴的である。
単一事業への依存はリスクでもある。公共工事の受注動向や資材価格の変動など、外部環境の影響を一社で受け止め続けることは、中小企業にとって財務的な負担になりやすい。グループ経営によって資金循環の仕組みを整える発想は、同業他社にとっても参考になる視点だろう。
今回の体制移行で注目すべきは、建設事業にとどまらず、周辺領域への展開を明確に打ち出している点だ。同社は建設業向けDX支援事業を核心事業の一つに掲げ、自社のコーポレートサイト改修で得たノウハウを他社支援に転用する方針を示している。建設業界のデジタル化の遅れと若手人材の採用難という、多くの中小企業が抱える共通課題に対し、実績を伴う支援体制を構築しようとする姿勢がうかがえる。
加えて、ESG経営の推進や、社員への金融教育・福利厚生の拡充も重点戦略として挙げられている。特に企業型確定拠出年金(401k制度)の活用や、経営陣による投資・資産運用の社内勉強会は、給与や賞与だけに頼らない待遇改善の一例といえる。人材の定着や採用力の強化を模索する建設業の経営者にとって、こうした福利厚生面の工夫は今後さらに重視されるテーマになりそうだ。
拠点整備、資産運用、DX支援、社員の資産形成という複数の軸を同時に進める今回の体制移行は、単なる規模拡大にとどまらず、持続的な経営基盤づくりを目指す動きとして注目に値する。地域に根ざした建設会社が、業績拡大の先に何を見据えるかを考えるうえで、参考になる事例と言えるだろう。
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