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建設業では、人材不足や技術継承への対応に加え、顧客の細かな要望に応える提案力や、新しい技術を取り入れる柔軟性も求められています。
特に中小建設会社では、すべての技術を自社だけで抱えるのは簡単ではありません。そこで参考にしたいのが、北海道函館市で始まった株式会社funovoと株式会社不動産企画ウィルの協業です。
『今回の取り組みは、ウィルから寄せられた「3Dプリンタでしかできないものを作ってみたい」という一言から始まりました。2026年4月に図面を送るだけで建築模型が完成する3Dプリントサービス「シェイピー」の提供を開始するなど、建築分野における3Dプリント活用の知見を蓄積してきたfunovoがこの声に応え、両社で議論を重ねる中で生まれたのが、「伝統あるアンティークの窓」や「日本の伝統模様を室内窓に再現する」という着想です。』
※新モデルハウス「CUBE+C」の室内窓(2026年7月撮影)
引用元:株式会社funovoプレスリリース(PR TIMES掲載)
今回、両社が開発したのは、日本の伝統模様を3Dプリンタで再現した室内窓パネルです。株式会社funovoが3D CADによるモデリングや造形を担い、株式会社不動産企画ウィルが住宅設計・施工の視点から実用性やデザインを検討しました。完成品はウィルの新モデルハウス「CUBE+C」に実装されています。
青海波、矢絣、麻の葉、鮫小紋などを立体的に表現し、伝統模様に込められた家族の幸せや子どもの成長への願いを住まいに取り入れています。2026年3月から7月まで約4か月にわたり、寸法やテクスチャ、取り付け方法などの試作と検証を重ねた点も特徴です。
今回の事例で注目したいのは、3Dプリンタそのものよりも、funovoと不動産企画ウィルが異なる専門性を持ち寄ったことです。funovoには建築分野のITや3Dプリントに関する技術があり、ウィルには住宅を実際に設計・施工する現場の知見があります。双方の強みを組み合わせることで、従来はコストや加工の難しさから採用しにくかった意匠を形にしました。
中小建設会社がDXに取り組む際も、最初から高額な設備を導入したり、専門人材を社内にそろえたりする必要はありません。例えば、3Dデータの作成、業務アプリの開発、測量や施工管理のデジタル化など、自社にない専門領域を外部企業に相談する方法があります。
重要なのは「何のITを入れるか」ではなく、「自社の困りごとを、どの専門家となら解決できるか」と考えることです。
今回の協業は、経営者だけでなく現場監督にもヒントがあります。現場では、「この形の部材があれば施工しやすい」「既製品では納まりにくい」といった気づきが生まれます。そうした現場の課題をIT企業やメーカーに伝えることで、試作品やオーダーメイド部材として形にできる可能性があります。
また、新しい技術への挑戦は、人材確保の面でも意味があります。若手にとって、デジタル技術を使って新しいものづくりに挑戦できる環境は、会社の魅力の一つになり得ます。協業によって自社だけではできなかった仕事を生み出せれば、顧客への提案力や企業価値の向上にもつながります。
中小建設会社が協業を始めるなら、まずは自社の現場で「時間がかかる」「既製品では対応しにくい」「もっと簡単にできないか」と感じている課題を洗い出すことから始めてみてはいかがでしょうか。
※伝統模様パネルのディテール(青海波・矢絣・麻の葉/2026年7月撮影)
引用元:株式会社funovoプレスリリース(PR TIMES掲載)
函館のfunovoと不動産企画ウィルによる3Dプリント建材の開発は、IT企業と建設会社がそれぞれの強みを生かして新しい価値を生み出した事例です。
中小建設会社にとっても、DXは自社だけで進めるものではありません。現場の課題を起点に、必要な技術を持つ企業とつながることが、新しい仕事や人材を引きつける力になる可能性があります。
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