「最近、塗料や接着剤、養生テープの入荷が不安定だな」と感じた現場担当者の方、実はその背景に国のエネルギー政策が関係しているかもしれません🛢️
経済産業省は2026年7月24日、総合資源エネルギー調査会
資源・燃料分科会
資源開発・燃料供給小委員会のもとに「石油等の供給構造の強靱化ワーキンググループ」を新設し、第1回会合を開催しました。ここで検討の俎上に載ったのが、これまで国の石油備蓄の対象に含まれていなかった「ナフサ」の扱いです。ナフサは塗料・接着剤・テープ・包装フィルムなど、建設現場でも日常的に使う資材の原料になっています📦
なぜ品薄に?中東情勢とホルムズ海峡がカギだった
ことの発端は今年2月末です。2月28日に米・イスラエルによるイラン攻撃が起き、イラン革命防衛隊がホルムズ海峡の封鎖を宣言。これを受けて3月1日には日本の海運会社がホルムズ海峡の航行を停止しました⚓
経産省の資料によると、この影響で4月・5月の日本の原油輸入量は前年同月比でそれぞれ▲63.7%、▲57.2%と大きく落ち込み、輸入単価は前年同月比で37.9%、67.1%も上昇したとのことです。さらに、ホルムズ海峡封鎖宣言後の4月には、タンカーのスポット運賃が前年同月比でおよそ11倍に跳ね上がったと報告されています😳
日本のナフサ調達は中東からの輸入が4割、国内精製が4割、その他地域からの輸入が2割という構成で、ホルムズ海峡を経由するルートに依存する割合を含めると調達率は5割に達していました。だからこそ、海峡の通航停止が直撃したわけです。
出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/sekiyu_gas/supply_structure/001.html)
数字で見る影響の大きさ
実は日本の石油備蓄そのものは十分な水準にありました。2026年2月末時点で、備蓄法基準の国家備蓄145日分、民間備蓄91日分、産油国共同備蓄6日分を合わせて約243日分を確保しており、IEA(国際エネルギー機関)が加盟国に義務付ける90日基準に対して日本は201日と大きく上回っていたのです📊
ところが、その手厚い備蓄の対象に「ナフサ」は入っていませんでした。そのため今般の事態では、シンナー・塗料、接着剤、テープ、包装フィルム・ビニール類、ボトル等の容器について、相談件数が目に見えて増加したと経産省の資料に記録されています。全体の油量は足りていても、ナフサだけが備蓄網から漏れていたことで、現場に近い資材の流通に目詰まりが生じたというわけです🚧
出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/sekiyu_gas/supply_structure/001.html)
制度見直しで現場の資材調達はどう変わる
国も手をこまねいていたわけではありません。3月11日には総理が石油備蓄放出の方針を表明し、民間備蓄義務量を70日から55日へ15日分引き下げるとともに、国家備蓄原油の放出を決定。3月20日頃に90日分程度あった民間備蓄は、4月中旬には78日分程度まで取り崩されました。その後、調達先の多角化が進んだ結果、5月にはナフサ輸入量が前年と同程度まで回復しています📈
そして今回新設されたワーキンググループでは、「これまで備蓄目標においてナフサが織り込まれていなかったことを踏まえ、今後はナフサの国内供給を前提とした備蓄目標を設定すべきではないか」という論点が示されました。今後、原油等の調達多角化とあわせて、ナフサを含めた備蓄のあり方が本格的に議論されていく見通しです。
出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/sekiyu_gas/supply_structure/001.html)
中小建設業者が今から意識しておきたいこと
制度の見直しには一定の時間がかかります。中小の建設事業者としては、まず塗料・接着剤・養生テープ・梱包資材などナフサ由来製品の在庫状況を仕入先とこまめに確認する習慣を持つことが大切です🔍
また、特定の仕入れルートに偏らず、複数の卸・メーカーと取引できる体制を平時から整えておくと、今回のような供給の揺らぎが起きた際の影響を小さくできます。加えて、原油や資材価格の動向は経産省や業界団体の発表を定期的にチェックし、価格転嫁や発注時期の調整に活かしていきたいところです💡
まとめ
ナフサという普段あまり意識しない原料が、実は現場の塗料や接着剤の供給を支えていたこと、そしてその備蓄の「抜け穴」が今回の品薄につながったことが分かりました。国の制度見直しの行方を追いつつ、自社でもできる備えを進めていきましょう🙌
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出典:「石油等の供給構造の強靱化に向けて」(資源エネルギー庁)(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/sekiyu_gas/supply_structure/001.html)をもとに作成






