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近年、建設業界でも女性が設計・施工管理・事務・職人と幅広い役割で活躍する姿が当たり前になってきました。しかしその一方で、女性特有の健康リスクについては「現場」「職場」で語られることがほとんどありません。今回取り上げるのは「乳がん」。日本人女性が最も多く罹患するがんであり、9人に1人が一生のうちに乳がんになるといわれています。「自分には関係ない」ではなく、正しく知り、早めに備えることが何より大切です。男性の皆さんにも、身近な女性を守るために、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。
国立がん研究センターのデータによると、乳がんは40代〜50代にピークを迎えるものの、30代でも決して珍しくありません。建設業の現場で最前線に立っている女性の多くがちょうどこの年代に差し掛かっています。「体力には自信がある」「忙しくて病院に行く暇がない」という現場気質が、検診の後回しにつながりやすいのが現実です。
乳がんは早期発見(ステージ0〜1)であれば5年生存率が95〜99%以上と非常に高く、早く見つけるほど治療の選択肢も広がります。逆に発見が遅れるほど治療は長期化し、仕事への影響も大きくなります。「忙しいから」という理由が、取り返しのつかない後悔につながることもあるのです。
乳がんの主な検査方法には、マンモグラフィ(マンモグラフィとは:乳房をX線で撮影する検査。しこりや石灰化を発見できる)と超音波(エコー)検査の2種類があります。国が推奨する対象年齢は40歳以上の女性に対して2年に1回のマンモグラフィ検診、乳腺が発達している30代や若い女性には超音波検査が有効とされています。
「検診はお金がかかる」と思っている方も多いかもしれませんが、多くの市区町村では無料または数百円〜2,000円程度の自己負担で受けられる乳がん検診を実施しています。お住まいの自治体から届く「がん検診受診券」を活用すれば、費用の心配はほとんど不要です。まず、年に一度、自分の体と向き合う時間を作ることから始めましょう。
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乳がんと診断された場合、以前は一律に抗がん剤治療が行われることもありましたが、現在は「多遺伝子検査」(多遺伝子検査とは:がん組織の遺伝子を複数同時に調べ、再発リスクや治療効果を予測する検査)が普及し、治療の個別化が大きく進んでいます。
代表的なものに「オンコタイプDX(Oncotype DX)」があります。これはがん組織の21個の遺伝子を調べることで、再発リスクスコアを算出し、抗がん剤治療が本当に必要かどうかを判断する根拠になります。日本でも2023年以降に一部が保険適用の対象となり、より多くの患者が活用できるようになってきています。「自分のがんの性質に合った治療を選べる時代」になったことは、患者にとって非常に大きな前進です。担当医に積極的に相談してみてください。
乳がんの治療で乳房を切除した場合、外見上・心理的なケアも治療と同じくらい大切です。そこで近年注目を集めているのが「エピテーゼ」(エピテーゼとは:切除した体の部位を補うために用いる人工補綴具。医療用シリコンなどで作られる)です。
かつては既製品のみでしたが、現在はオーダーメイドでその人の体形・肌の色・質感に合わせて作製することが可能になっています。装着感や見た目の自然さが格段に向上しており、「術後もその人らしく生きる」を支える重要なアイテムとして、医療現場でも積極的に紹介されています。費用の一部は障害者総合支援法による補装具費の支給制度や、民間の医療保険で賄えるケースもあります。まずは担当医や医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。
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建設現場では、まだまだ男性が多数を占めるなかで、女性が「体のことを相談しにくい」と感じているケースは少なくありません。しかし乳がんの治療は、手術・放射線・ホルモン療法・化学療法など、長期にわたって仕事との両立が求められるプロセスです。
経営者や現場監督の皆さんには、「治療しながら働ける環境づくり」を意識していただきたいです。具体的には、通院日に合わせたシフト調整、体力的な負担軽減、職場での情報共有(本人の同意のもとで)などが考えられます。また、男性自身も実は乳がんと無関係ではなく、男性の乳がんも存在します(全乳がん患者の約1%)。「女性の病気」と決めつけず、正しい知識を持つことが、職場全体の健康文化につながります。
建設業界で懸命に働く女性たちの「健康」は、現場全体の力でもあります。乳がんは早期発見すれば高い確率で治癒できる病気であり、多遺伝子検査やオーダーメイドエピテーゼなど、今の医療は「その人らしく生き続ける」ための選択肢に満ちています。まず一歩、検診の予約を入れることから始めてみてください。男性の皆さんも、身近な女性に「検診、行ってる?」と声をかけるだけで、誰かの命が救われるかもしれません。
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