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建設業で増える支払遅延 取引先倒産リスクをどう防ぐべきか

建設業で増える支払遅延 取引先倒産リスクをどう防ぐべきか

お金と制度の話

建設業界では現在、資材価格や人件費の高騰、工期長期化などの影響により、資金繰り負担が大きくなっています。特に中小建設会社では、売上があっても入金タイミング次第で資金繰りが急激に悪化するケースも少なくありません。そんななか、支払遅延が発生した企業の倒産・廃業リスクに関する調査結果が発表されました。今回の記事では、建設業で支払遅延が増加している背景と、取引先リスクから自社を守るために必要な対策について解説します。

建設業で支払遅延が増加 倒産リスクも高水準に

『業種別では、宿泊業・飲食サービス業が前期789件から当期1,091件へ302件増加し、当期/前期比は1.38倍となりました。対象業種の中で最も高い増加率となっており、次いで建設業が約1.30倍となりました。』

『一方、支払遅延が発生した企業の倒産・廃業率を見ると、運輸業・郵便業が19.9%と最も高く、次いで卸売業・小売業が18.1%、建設業が17.5%となりました。』

『特に、建設業は元請・下請・孫請構造の中で、下位事業者ほど資材費や人件費を先行負担しやすく、入金遅延の影響を受けやすい業種です。』

引用元:アラームボックス株式会社プレスリリース(PR TIMES掲載)

建設業界では、資材価格の高騰や人件費上昇、工期長期化の影響により、資金繰り悪化が深刻化している。特に中小建設会社では、売上自体は確保できていても、入金タイミングのズレによって現金不足に陥るケースが珍しくない。

今回、AI与信管理サービスを展開するアラームボックス株式会社が発表した調査では、支払遅延が発生した企業のうち約7社に1社が倒産・廃業に至っていることが明らかになった。さらに、重大な支払遅延が確認された企業では、約3社に1社が倒産・廃業しているという結果も出ている。

建設業は元請・下請構造の影響が強く、ひとつの支払い遅延が連鎖的に複数企業へ波及しやすい業種である。そのため、「少し支払いが遅れているだけ」と軽視することが、大きな未回収リスクにつながる可能性がある。

建設業で資金繰り悪化が起きやすい理由

建設業では、工事開始前から材料費や外注費、人件費が先行して発生する。一方で、入金は工事完了後や検収後となるケースが多く、常に運転資金を抱えながら事業を回している会社も少なくない。

さらに近年は、資材価格高騰の影響が長期化している。見積提出時と実際の施工時で価格差が発生し、利益率が大きく下がる現場も増えている。加えて、人手不足による人件費上昇や工期延長も重なり、資金繰りを圧迫している状況だ。

特に下請企業は、元請からの入金遅延が直接経営へ影響しやすい。給与支払いや外注費支払いが優先されるため、ひとたびキャッシュフローが崩れると、一気に経営危機へ進行する危険性がある。

今回の調査でも、支払遅延回数が増えるほど倒産率が高くなる傾向が示された。支払遅延が4〜5回発生した企業では倒産・廃業率が24.4%、6回以上では28.6%に達している。

取引先リスクを早期に見抜くポイント

建設業では、長年付き合いのある取引先でも突然経営が悪化することがある。そのため、日頃から小さな変化を見逃さないことが重要となる。

例えば、請求書の支払いサイト延長を求めてくる、担当者との連絡が取りづらくなる、現場開始時期が頻繁に変更されるといった変化は、資金繰り悪化の兆候である場合がある。

また、支払条件変更が繰り返される企業や、税金滞納・差し押さえ情報が出ている企業は特に注意が必要だ。今回の調査でも、給与遅配や税金滞納など重大な支払遅延がある企業は、通常の支払遅延企業と比べ、約2.4倍高い倒産・廃業率となっている。

従来は、こうした情報を収集するには帝国データバンクや東京商工リサーチなどを活用する必要があり、コスト面で導入をためらう中小企業も多かった。しかし現在は、クラウド型与信管理サービスの普及により、中小企業でも比較的導入しやすい環境が整いつつある。

※画像はイメージです

中小建設会社が今すぐ取り組みたい対策

まず重要なのは、「売上重視」だけで取引先を選ばないことである。大型案件でも、入金遅延リスクが高ければ会社全体の資金繰り悪化につながる。

そのため、新規取引時には会社情報や支払い実績を確認し、必要に応じて前金比率を上げる、分割請求を導入するなど、契約条件を調整することが重要となる。

また、既存取引先についても定期的な与信確認を行いたい。特に建設業は連鎖倒産リスクが高いため、元請だけでなく、その先の案件状況や発注環境も含めて確認しておくことが望ましい。

さらに、請求・入金管理のデジタル化も有効である。Excel管理だけでは確認漏れや属人化が起こりやすく、異変察知が遅れる原因になる。クラウド会計や請求管理システムを活用し、資金繰り状況をリアルタイムで把握できる環境を整えることが、今後ますます重要になるだろう。

まとめ

建設業では、支払遅延の増加と倒産リスク上昇が同時に進行している。特に下請企業ほど影響を受けやすく、「いつもの取引先だから大丈夫」という感覚だけでは経営を守れない時代になっている。

今後は、支払遅延を単なる一時的問題として見るのではなく、経営悪化を示す重要なサインとして早期対応する視点が必要となる。与信管理や請求管理を見直し、未回収リスクを減らすことが、安定経営につながる重要な対策となるだろう。

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この記事を書いた人

建設円陣PLUS編集部

株式会社エンジョイワークス


「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。

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