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舗装工事は、路床の整形から路盤の締固め、アスファルトの敷きならしと転圧まで、多くの重機と職人が連携して進める仕事である。一方で、資材価格や人件費の上昇が続く中、見積の段階で採算を見誤り、施工後に赤字が判明するケースは後を絶たない。
本稿では、舗装工事でよく見られる失敗パターンを起点に、その原因と押さえておくべき制度の変更点、具体的な対応策を整理する。
典型的なのは、市町村の道路補修工事を下請として受注する際、前年と同じ労務単価や合材単価で見積を作成してしまうケースである。舗装工事では、路面切削機やアスファルトフィニッシャー、ロードローラーなど複数の重機を一日単位で手配するうえ、交通誘導警備員の費用もかさむ。単価の見直しを怠ったまま受注すれば、施工が順調に進んでも利益が残らない。
さらに、アスファルト合材(アスファルト合材とは:砕石や砂などの骨材をアスファルトで結合させた舗装材料)は原油価格の影響を受けやすく、受注から施工までの間に値上がりすることもある。契約時に価格変動への対応を取り決めていなければ、上昇分を自社で抱え込むことになる。
※画像はイメージです
背景には、人件費の継続的な上昇がある。国土交通省が2026年3月から適用している公共工事設計労務単価(公共工事設計労務単価とは:国や自治体が公共工事の予定価格を積算する際に用いる、職種別・都道府県別の賃金単価)は、全職種の単純平均で前年度比4.5%引き上げられた。引き上げは14年連続となり、全国の加重平均は25,834円と初めて2万5,000円を超えた。
発注側の積算単価が毎年上がっている以上、協力会社の見積単価も同様に見直さなければ、技能者に適正な賃金を支払う原資が確保できない。夜間施工が多い舗装工事では、割増賃金を含めた労務費の把握も欠かせない。
こうした状況を受け、建設業法と入契法(入契法とは:公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律)の改正法が2025年12月12日に全面施行された。
中でも柱となるのが、中央建設業審議会が勧告する労務費の基準(労務費の基準とは:技能者に支払われるべき適正な労務費の水準を示した目安)で、安値受注は法令違反として指導の対象となり得る。主な改正点と確認事項は下表のとおりだ。
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表:改正建設業法の主なポイントと舗装業者の確認事項(国土交通省資料をもとに作成) |
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改正のポイント |
施行日 |
舗装業者の確認事項 |
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おそれ情報の通知 |
2024年12月13日 |
合材や燃料の値上がりが見込まれる場合、見積提出時に根拠資料とあわせて伝える |
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請負代金の変更方法の記載 |
2024年12月13日 |
契約書に資材高騰時の代金変更方法が書かれているか確認する |
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著しく低い労務費での見積禁止 |
2025年12月12日 |
最新の労務単価で労務費を算出し、内訳を明示する |
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原価割れ・短工期での契約禁止 |
2025年12月12日 |
夜間割増や重機回送費まで含めて原価を確認する |
まず、見積書は労務費、材料費、機械経費、法定福利費(法定福利費とは:社会保険料などの事業主負担分)を分けて記載する内訳明示型に切り替えたい。内訳が明確であれば、元請との価格交渉でも根拠を示しやすい。
次に、契約書に請負代金の変更方法が記載されているかを必ず確認する。公共工事には単品スライド条項(単品スライド条項とは:特定の資材価格が急激に変動した場合に、その増加分を請負代金に反映させる仕組み)があり、アスファルト類や燃料も対象となり得る。合材の購入伝票や価格推移の資料は日頃から保管しておくことが重要である。
また、1件500万円(税込)以上の舗装工事を請け負う場合は、建設業許可の舗装工事業が必要となる。受注規模の拡大を見据えるなら、許可の取得や業種追加を早めに検討したい。
舗装工事で利益を確保するカギは、現場の施工技術だけでなく、見積と契約の段階にある。労務費の上昇と法改正を踏まえて単価と契約内容を見直し、適正な価格で受注できる体制を整えたい。
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出典:
・「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00337.html)
・「建設業法・入契法改正(令和6年法律第49号)について」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk1_000001_00033.html)
・「建設業の許可」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000284.html)
・「建設工事標準請負契約約款」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000092.html)
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