賃上げは"コスト"ではなく"成長への投資"という新常識🌱
2026年7月21日、経済産業省は「成長投資ガイダンス」を公表しました。
この中で示された最大のメッセージは、賃上げは単なる分配政策ではなく、人材を惹きつけ生産性向上を促す「供給力強化政策」であり、成長戦略そのものの起点だという考え方です。💡
担い手不足に悩む中小建設業にとって、これは他人事ではありません。国の方針として「賃上げ=投資」という発想が明確に打ち出された今、現場を支える企業がどう動くべきかを一緒に確認していきましょう。
なぜ今、賃上げが「成長戦略の起点」とされたのか🤔
ガイダンスの背景には、2025年11月21日に閣議決定された「『強い経済』を実現する総合経済対策」があります。ここでコーポレートガバナンス・コードの改訂と合わせて、実務指針としての成長投資ガイダンス策定が明記されました。
検討の場となったのは、経産省の産業構造審議会・価値創造経営小委員会(座長:早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センターの沼上幹教授)です。
ガイダンスでは、日本企業の構造的な課題として、
①賃上げを含む成長投資が欧米企業に比べて相対的に低い
②成長ステージに応じた成長投資と株主還元のバランスが取れていない
③本来成長が見込みにくい事業に資本が滞留している
という3点を挙げています。
今後、労働供給が制約される社会では、賃上げをためらう企業ほど人材が集まらず、生産性向上のための投資も進まないという悪循環に陥るリスクがある、という指摘は建設現場の実感にも近いのではないでしょうか。👷
データで見る、日本企業の「稼ぐ力」と「投資」のギャップ📊
経産省が公表した「成長投資ガイダンス データ集(抜粋版)」には、具体的な数値が並んでいます。
2016年度を100%とした場合、企業の利益は1.5倍程度、株主還元は2〜3倍以上に成長した一方で、成長投資(設備投資・研究開発投資・人件費)は1.3〜1.8倍程度にとどまっています。
設備投資の売上高比率も2016年度の5.4%から2023年度は5.1%へとむしろ低下しており、米国の5.6%→5.9%とは対照的な動きです。研究開発の売上高比率も2016年度2.1%→2023年度2.2%と伸びが小さく、ドイツの2.5%→3.4%と比べると差が広がっています。
一方で、賃金は2013年の414万円から2023年には460万円まで上昇し、上場企業の純利益は2013年度28兆円から2024年度61兆円へ倍以上に拡大、総還元性向も4割から7割へと高まりました。
「儲かってはいるが、次の成長への種まきが足りていない」というのが、データから読み取れる日本企業の現在地です。

出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shin_kijiku/value_creation/pdf/20260721_guidance_03.pdf)
このガイダンス、建設業の現場にどう関係するのか🏗️
成長投資ガイダンスは上場企業や投資家向けの実務指針ですが、その考え方は中小建設業にも当てはまります。
担い手不足が深刻化する中、賃上げを先送りにする企業ほど若手や職人の確保が難しくなり、結果として受注できる工事量そのものが減っていく可能性があります。
ガイダンスが企業に期待する対応として挙げている「大胆な成長投資(設備投資・研究開発投資・人的資本投資)の拡大」や「ベストオーナー原則に基づく事業ポートフォリオ転換」は、規模の大小を問わず、限られた資金をどこに投じるかという経営判断そのものです。
建設業であれば、重機やICT建機への投資、施工管理システムの導入、そして何より人への投資(賃金・教育・福利厚生)が、これからの受注力と直結してくると考えられます。
中小建設業が今すぐ検討したい3つの一歩✅
①賃上げの原資を「コスト」ではなく「投資」として社内で説明し直すこと。
賃上げを単なる支出ではなく、人材確保と生産性向上へのリターンが見込める投資だと位置づけることで、経営判断の優先順位も変わってきます。
②設備投資・IT投資と人的投資のバランスを見直すこと。
ガイダンスが指摘する「成長投資と株主還元のバランス」は、建設業でいえば「内部留保と現場への再投資のバランス」に置き換えて考えることができます。
③国の政策動向を経営計画に反映すること。
成長投資ガイダンスのような国の方針は、今後の公共工事の発注条件や取引先の要請にも影響してくる可能性があります。早い段階で情報をキャッチしておくことが、変化に振り回されないための備えになります。👉
まとめ
今回の「成長投資ガイダンス」は、上場企業向けの指針ではありますが、「賃上げは成長戦略の起点である」という考え方は、担い手不足と向き合う建設業にとっても重要な視点です。
目先のコストだけで判断せず、人と設備への投資を積み重ねていくことが、これからの受注力・現場力を支える土台になっていくはずです。
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出典:「成長投資ガイダンス」の公表について(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/press/2026/07/20260721001.html)をもとに作成











