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建設業の見積もりでは、「前回と同じくらい」という判断が意外な落とし穴になります。特に、何度も使っている材料ほど、過去の単価を覚えているつもりになりやすいものです。
「この材料は前の現場でこのくらいだった」 「いつもの材料だから、前回の単価を入れておこう」 こうした判断は、忙しいときほど起こりやすくなります。しかし、前回の価格が正確だったとしても、それはあくまで前回の価格です。今回の仕入れ価格まで同じとは限りません。
問題なのは、価格が変わったことだけではありません。「いつの価格を基準にしているのか」が分からなくなることです。
過去の見積書を見ると、材料名と単価は確認できます。ところが、その数字だけを見ていると、いつの価格なのか、どの仕入れ条件だったのかを忘れてしまうことがあります。
例えば、同じ材料名でも、規格や数量、購入先が違えば、見積もりをそのまま比較できない場合があります。 「前回と同じ材料」という記憶だけで単価まで同じだと考えると、確認すべき情報が抜けてしまいます。
だからこそ、過去の見積書は「今回の価格を決める答え」ではなく、「前回はどうだったかを確認する資料」として扱うほうが分かりやすくなります。
見積もりを急いでいると、過去の資料を探す時間を省きたくなることがあります。担当者が材料単価を覚えていれば、その数字を使ってしまうこともあるでしょう。
さらに、社内で見積もりを引き継ぐと、「いつもの単価」「前と同じ」という言葉だけが残り、元になった資料が分からなくなることもあります。 ここで大切なのは、担当者の記憶力に頼らないことです。
「誰が覚えているか」ではなく、「どの資料を見れば確認できるか」を決めておく。これだけでも、価格確認の手順は変わります。
材料価格を確認するときは、単価だけを残すのではなく、確認した日、材料の規格、数量、仕入れ先など、後から比較できる情報も一緒に残しておくと便利です。 特に重要なのが「確認日」です。
単価だけが「○○円」と残っていても、その数字がいつ確認されたものなのか分からなければ、次の見積もりで使う際に判断しにくくなります。 例えば社内で材料価格を確認した際に、「材料名」「規格」「単価」「確認日」「仕入れ先」を一組にして記録しておけば、次に見積もりを作る人も確認しやすくなります。
大がかりな仕組みを作る必要はありません。まずは、会社でよく使う材料から記録方法をそろえることが現実的です。
※画像はイメージです
価格の記憶違いを防ぐために、見積もりの確認項目を一つ増やす方法があります。 それが、「この材料価格はいつ確認したか」というチェックです。
「前回の見積書を参考にした」のか、「今回あらためて仕入れ先に確認した」のかが分かれば、数字の扱いも変わります。 また、見積もりを出してから発注まで時間が空く場合には、発注前に価格を確認するという社内ルールを設ける方法もあります。
ここで重要なのは、必ずこの頻度で確認すればよい、という決まった方法を作ることではありません。自社の工事内容や材料の使い方に合わせて、「どのタイミングで確認するか」を決めておくことです。
建設業では、過去の経験が仕事を早く進める力になります。以前使った材料や過去の見積もりを参考にすること自体は、効率化にもつながります。 ただし、「前と同じ」という言葉には、材料だけでなく価格まで同じだという意味がいつの間にか加わってしまうことがあります。
そこで、「前と同じ材料」なのか、「前と同じ単価」なのかを分けて考えることがポイントです。
前回の単価を参考にしながら、今回の価格を確認する。確認した日と条件を残す。そして、次回はその記録をまた参考にする。 この繰り返しができれば、「誰かが覚えている価格」から「会社に残っている価格情報」へと変えていけます。
材料価格の管理で怖いのは、大きな間違いだけではありません。「前回と同じだったはず」という小さな思い込みが、見積もりの基準を曖昧にしてしまうことがあります。
過去の単価を記憶で引き継ぐのではなく、確認日や規格、仕入れ先などと一緒に記録し、今回の価格は今回確認する。そんなシンプルな習慣が、原価を正しく見るための土台になります。
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