記事を読み込み中です

燃料代が上がっている。資材費も上がっている。でも元請けへの価格交渉はなかなかできない……。そんな悩みを抱える建設業の中小事業者は少なくないはずです。
実は今、そうした状況に対して国が本格的に動き出しました。公正取引委員会は令和8年6月17日、「令和8年度価格転嫁円滑化・支払の適正化に関する調査」の開始を正式に発表しました。🚨 この調査は単なるアンケートではありません。結果次第では立入調査にまで発展する可能性がある、取引現場への「本気の是正措置」です。
今回の調査は、大きく以下の3つの柱で構成されています。
① 価格転嫁円滑化の調査
独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関して、事業者間の取引で適切な価格転嫁が行なわれているかどうかを調べます。「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(令和5年11月29日策定・令和8年1月1日改正、内閣官房・公正取引委員会)の取組状況も確認されます。
② 支払の適正化の調査
令和8年6月17日に新たに公表された「製造委託等に係る代金の支払に関する特定の不公正な取引方法支払告示)」に基づき、現在の代金支払状況を把握します。この支払告示は令和9年4月1日に施行される予定であり、今のうちに対応を把握しておく必要があります。
③ 石油関連製品等の「緊急調査」🛢️
近時の中東情勢を受けた特別対応として、石油関連製品等の価格転嫁に関する緊急調査が実施されます。建設現場では燃料・アスファルト・各種油脂類など石油関連コストが直接的に影響するため、この緊急調査は建設業界にとって特に関係の深い内容といえます。
今回の調査の規模は非常に大きなものです。 令和8年6月26日に、15万名の事業者に対してウェブアンケートの協力依頼状が発送されます。
さらに、令和7年度に注意喚起文書を受け取った4,334名、および労務費転嫁指針に関する注意喚起文書を受け取った9,747名にも、別途協力依頼状が発送される予定です。 回答期限は令和8年7月27日。
依頼状が届かなかった事業者も、同日以降は専用サイト(https://ukemo.jp/e/jftc/tenka/shiharai/r8chosa/)から回答できます。
「うちは関係ない」と思っていても、取引先への請求が適正でなかった場合や、下請けとして不当な価格据え置きをされている場合なども調査対象となる可能性があります。積極的な情報提供が求められています。
公正取引委員会は調査後の対応として、次のステップを明言しています。
まず、調査等の結果を踏まえて「発注者と受注者の間で協議を経ない取引価格の据え置き等が疑われる事案」については、立入調査を実施すると明言しています。
さらに、独占禁止法上の問題につながるおそれのある行為が確認された事業者には注意喚起文書を送付するなどの対応が取られます。 そして、調査の最終結果は令和8年内に公表される予定です。
建設業の中小・下請け事業者にとっては、今まさに価格交渉を後回しにしているケースを見直す大きなきっかけとなる可能性があります。「言いにくいから値上げを頼めない」という状況は、法律的にも問題のある取引環境が原因かもしれません。
今回の調査を受け、中小建設業者として確認しておきたいことは主に2点です。
まず、石油関連コストや労務費の上昇分が取引価格に反映されているかどうかを確認してください。もし「相手が嫌がるから」「断られそうだから」という理由で価格交渉をあきらめているなら、それはまさに今回の調査が問題視している状況です。
次に、令和9年4月1日施行予定の「支払告示」の内容を把握することです。製造委託等にかかる代金の支払条件に関する新しいルールが施行される予定であり、元請け・下請け双方が内容を理解しておく必要があります。
公正取引委員会は「買いたたき」などの違反行為を行なっていると疑われる委託事業者に関して、匿名での情報提供も受け付けています。アンケートへの参加とあわせて、活用を検討する価値があります。
🏗️ 中東情勢に端を発した石油関連コストの上昇を含む、幅広い価格転嫁の問題に対して、公正取引委員会が令和8年度の本格調査を開始しました。15万者への一斉アンケートから始まり、場合によっては立入調査にまで発展する可能性のある取り組みです。
建設業の現場でも、燃料費や資材費の価格転嫁交渉を適正に行なえているか、この機会に改めて確認してみましょう。
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。 あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサイト『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。
出典: 「令和8年度価格転嫁円滑化・支払の適正化に関する調査」の開始について(公正取引委員会)https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2026/jun/260617_tenkashiharaichosa.html をもとに作成
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。