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「技術士補がなくなる」という話題が、ここ数年、建設コンサルタントや施工会社の技術者の間でたびたび聞かれる。結論から言えば、2026年11月時点で技術士補(技術士補とは:技術士第一次試験の合格者などが、指導役の技術士の下で業務を補助するために登録する国家資格)の廃止は正式に決まっていない。文部科学省の科学技術・学術審議会技術士分科会などで議論されているのは、制度を残したうえでの見直しである。
見直し案として挙がっているのは、主に3点だ。
第一に、名称を「修習技術士(仮称)」へ変更する案。
第二に、技術士補として登録できる期間に上限を設ける案。
第三に、指導技術士(指導技術士とは:技術士補が補助する相手として登録する技術士)の技術部門の限定を緩める案である。
いずれも検討段階にとどまり、施行時期は示されていない。
※画像はイメージです
技術士補制度は、1983年の技術士法全面改正で第一次試験とともに創設され、翌1984年に発足した。若手技術者が早い段階から技術士を目指せる道筋をつくることが本来の狙いだった。
しかし実態は想定と異なる。技術士第二次試験の受験資格には、技術士補として指導技術士の下で4年を超える経験を積むルートと、7年を超える実務経験で直接受験するルートなどがある。日本技術士会の報告によると、2018年度の第二次試験では95.0%が実務経験7年以上のルートで、技術士補ルートはわずか1.2%にとどまった。
一方で、資格保有のメリットを得る目的で登録する例も少なくなく、「技術士を目指す修習段階」という制度本来の趣旨とのずれが指摘されてきた。名称変更案には、このずれを正す意図がある。
日本技術士会の資料によると、2019年3月末時点の技術士補登録者は約3万6000人に上る。また、技術士補から技術士になった人の多くは12年目までに第二次試験に合格し、15年を過ぎると合格者が極端に減るという分析もある。登録期間の上限案は、このデータを根拠としている。
なお、技術士補の登録は終身有効で、同じ部門で技術士に登録すると自動的に消除される。仮に名称変更や期限設定が行われても、第一次試験の合格そのものが取り消されるわけではない。
現場で注意したいのは、施工管理技士補(施工管理技士補とは:施工管理技術検定の第一次検定に合格した者に与えられる称号)との混同だ。両者は名前が似ているが、根拠となる法律も役割も異なる。
技士補については2023年7月施行の建設業法施行規則等の改正により、1級第一次検定合格者は大学指定学科卒業者と、2級第一次検定合格者は高校指定学科卒業者と同等に扱われることになった。これにより、営業所の専任技術者や主任技術者になるための実務経験が短縮された(指定建設業7業種と電気通信工事業は除く)。
つまり、技術士補の見直しが直ちに建設業許可や配置技術者の要件を揺るがすわけではない。影響を受けるのは主に、技術士を目指す社員のキャリア設計と社内の育成体制である。技術士は経営事項審査(経営事項審査とは:公共工事の入札参加資格審査で、企業の経営状況や技術力を点数化する制度)で一級国家資格者として評価されるため、育成の成否は受注力にも直結する。
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第一に、制度の議論を待たず、若手社員に第一次試験の受験を勧めることだ。第一次試験の合格は制度がどう変わっても残る資産であり、在学中や入社直後の早期受験は見直しの議論でも重視されている。
第二に、社内の技術士を指導役として育成計画に組み込むことである。指導技術士の部門限定が緩和されれば、部門の異なる技術士でも若手を指導できる可能性がある。今のうちに社内の有資格者を部門ごとに棚卸ししておきたい。
第三に、技士補と技術士の二本立てで資格支援制度を整えることだ。受験費用の補助や合格時の資格手当を社内規程として明文化すれば、採用活動でのアピール材料にもなる。
技術士補は「廃止」ではなく「見直し」の段階にある。名称や登録期間が変わる可能性はあるものの、技術士を目指す人材を社内で育てる重要性は変わらない。制度変更の報道に振り回されず、受験支援と指導体制づくりを今から進めることが、中小建設会社の技術力と受注力を守る近道である。
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出典:
・「技術士制度改革について(提言)最終報告」(公益社団法人日本技術士会)(2019年5月8日)
・「技術士制度をめぐる現状と課題」(文部科学省
科学技術・学術政策局人材政策課)(https://www.mext.go.jp/content/20210603-mxt_kiban01-000015173_1.pdf)
・「業務の廃止等の届出(技術士・技術士補)」(公益社団法人日本技術士会)(https://www.engineer.or.jp/c_topics/000/000175.html)
・「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」等の公布(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00176.html)
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