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「ネコ持ってきて」と言われて、本当に猫を探しに行きそうになった。笑い話のようですが、入社したばかりの新人にとって現場の通称は大きな壁です。指示が分からないまま叱られる日が続けば、「この仕事は向いていない」と感じて辞めてしまうこともあります。
今回は、道具の呼び名の違いを切り口に、新人が早く育つ教え方を考えます。
よくあるのが次のような場面です。
先輩に「かじや取ってきて」と頼まれた新人が、資材置き場で立ち尽くしてしまう。関西などで釘抜きやバールを「かじや」と呼ぶことを知らなかったのです。ほかにも、一輪車の「ネコ」、作業台の「ウマ」、ディスクグラインダーの「サンダー」など、現場には辞書に載っていない言葉があふれています。
さらに厄介なのが、同じ言葉でも地域で意味が変わるケースです。スコップとシャベルは、関東では大きい方をスコップ、関西では大きい方をシャベルと呼ぶ傾向があるといわれ、転職組や他県からの応援職人ほど混乱しがちです。
※画像はイメージです
原因は新人の勉強不足ではなく、教える側が通称を通称だと気づいていないことにあります。長年使っている言葉ほど、正式名称のように感じてしまうものです。ベテランにとって「ネコ」は一輪車以外の何物でもありませんが、それを知らない人にはまったく通じません。
商品名が一般名になった言葉も混乱のもとです。積載形トラッククレーン(積載形トラッククレーンとは:荷台付きトラックに小型クレーンを積んだ車両)を指す「ユニック」は古河ユニック株式会社のブランド名、結束バンドを指す「インシュロック」はヘラマンタイトン株式会社の商品名です。新人がネットで調べても、思っていた物にたどり着けないことがあります。
外国人材の受け入れでも、この問題は見過ごせません。技能実習制度に代わり、2027年4月1日から育成就労制度(育成就労制度とは:人手不足分野で外国人材を原則3年かけて特定技能1号の水準まで育てる新制度)が始まります。建設分野も受け入れ対象です。
大きな変更点は、一定の要件のもとで本人の希望による転籍(職場の変更)が認められることです。指示が伝わらず働きにくい職場は、日本人の新人だけでなく外国人材からも選ばれにくくなります。言葉の壁を減らすことは、定着対策そのものといえます。
まずおすすめしたいのが写真付きの社内用語集です。「通称」「正式名称」「写真」「主な使い道」を一覧にするだけで十分です。Googleスプレッドシートで作れば、新人がスマートフォンからいつでも見返せます。外国人材向けには、やさしい日本語の説明を添えると効果的です。入社初日に用語集を渡し、1週間後に写真を見せて名前を答えてもらうなど、確認の場をつくると定着しやすくなります。
次に、指示を出すときは実物を指さすか写真を送ることを先輩側のルールにしましょう。LINE WORKS(LINE WORKSとは:LINEと同じ感覚で使えるビジネス向けチャットツール)などで写真を送れば、言葉の違いがあっても取り違えは減ります。
そして、新人が「それ何ですか」と聞きやすい雰囲気をつくることも欠かせません。朝礼で「今日の現場言葉」を一つ紹介するなど、楽しみながら覚えられる工夫をすると、ベテランと若手の会話のきっかけにもなります。
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現場の通称は会社や地域の文化ですが、新人にとっては最初につまずく壁でもあります。写真付き用語集と「見せて伝える」習慣があれば、言葉の壁は確実に低くできます。伝わる職場は、人が育ち、人が残る職場です。
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