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電気工事の現場で新人を育てていると、「そろそろ配線作業を覚えてもらいたい」と考える場面があるのではないでしょうか。先輩の作業を見て覚えてもらうことも大切ですが、電気工事は手順を間違えると感電や火災につながるおそれがあります。早く仕事を覚えてもらいたいからと、十分な説明をしないまま作業を任せるのは危険です。
新人が安心して技術を身につけるには、作業のやり方だけでなく、何を確認し、どの段階で先輩に相談するのかまで教えることが重要です。今回は、中小規模の電気工事会社でも取り入れやすい、新人に配線作業を任せる前の教育ポイントをご紹介します。
最初に確認したいのは、新人が担当できる作業の範囲です。
電気工事士法では、工事の種類に応じて必要な資格が定められています。例えば、一般用電気工作物等の電気工事には第二種または第一種電気工事士、自家用電気工作物の電気工事には原則として第一種電気工事士が必要です。ただし、工事の種類や例外規定によって扱いが異なるため、現場の設備や作業内容に応じた確認が欠かせません。
資格を持っていない新人に、資格が必要な電気工事そのものを任せることはできません。一方で、材料の運搬や資格者が行なう作業の補助など、法令上認められる範囲の業務はあります。
「新人だから簡単な配線なら大丈夫」と自己判断せず、資格要件と作業範囲を確認してから担当を決めることが基本です。
先輩の作業を見ている新人は、電線を通す場所や工具の使い方など、目に見える動きを覚えようとします。しかし、作業の見た目だけをまねても、安全を守るための判断までは身につきません。
そこで、最初の教育では、作業を始める前に図面や指示内容を確認すること、作業場所や周囲の状況を確かめること、分からない点をそのままにしないことなど、基本の順番を伝えましょう。
図面とは、配線の経路や設備の配置などを示した設計資料です。実際の現場と図面に違いがある場合は、勝手に判断して進めず、責任者に確認するよう教えます。
また、工具や材料の名称を教える際には、用途だけでなく、使ってはいけない状態や保管方法もセットで説明します。説明した後は新人自身の言葉で手順を話してもらうと、理解できている部分と、まだ曖昧な部分を把握しやすくなります。
電気工事の安全教育では、停電の確認や感電防止など、作業に応じた安全手順を具体的に教える必要があります。
停電とは、電気設備への電力供給を停止することです。ただし、スイッチを切っただけで安全と決めつけることはできません。対象設備や電源を正しく特定し、定められた手順に従って電圧がないことを確認するなど、現場の規程に沿った対応が必要です。
「電源を切っておいて」と短く指示するだけでは、新人が何をどこまで確認すべきか分からない可能性があります。指導する側は、現場の安全手順を実際に示し、確認の目的も説明しましょう。理解できたかどうかは、口頭で答えられるかだけでなく、決められた手順を守れるかで判断します。
さらに、工具や測定器の異常、図面との不一致、想定外の設備を見つけたときには、作業を止めて報告することも教えます。新人が質問や報告をためらわないよう、「迷ったら止めて聞いてよい」と普段から伝えておくことが大切です。
新人教育で避けたいのが、説明した直後に一人で作業を任せてしまうことです。一度見ただけで、すべての手順を理解できるとは限りません。最初は先輩の作業を見て手順を説明してもらい、次に資格や法令上認められる範囲で実践し、先輩が確認するという段階を設けましょう。
確認するときは「大丈夫?」と聞くだけでなく、指示内容を理解しているか、必要な安全確認を実施したか、判断に迷う点が残っていないかを具体的に確認します。できたことはその場で伝え、間違いがあれば理由と正しい対応を説明します。失敗を責めるだけでは、新人が次から報告を控えてしまうおそれがあります。
忙しい現場では、教育に時間を割くのが難しいこともあります。そこで、作業前の短い確認時間を設けたり、指導内容をチェックリストにまとめたりすると、教える人による説明のばらつきを減らせます。確認項目や担当者を決めておけば、先輩が変わっても基本の教育を継続しやすくなります。
※画像はイメージです
電気工事の新人教育では、作業を早く覚えてもらうこと以上に、安全に作業できる知識と判断力を身につけてもらうことが重要です。
資格と作業範囲を確認し、安全手順や報告の基準を具体的に教え、段階的に実践の機会を増やしていきましょう。教える側が確認を省かず、質問しやすい環境をつくることが、技術の定着と事故防止につながります。
新人を一人前の職人へ育てるには、日々の指導を積み重ねられる体制づくりが欠かせません。
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参考:
・「電気工事士」(経済産業省)( https://www.meti.go.jp/information/license/c_text24.html )
・「電気工事士等資格不要の『軽微な工事』とは」(経済産業省) (https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/files/1-3keibi.pdf )
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