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「うちは昔から日給だから」という会社でも、これからは月給制を前提に採用や給与のしくみを考え直す時期に入りそうです。国土交通省は、建設業の今後10年の方向性を議論する有識者検討会で、「人を大事にする」産業を正式な議題に据えました。その論点案には、他産業に負けない処遇を実現する手段の例として「月給制への転換」が明記されています。
議論の場は「持続的な成長産業としての建設業のあり方に関する検討会」です。2017年にまとめた「建設産業政策2017+10」(建設産業政策2017+10とは:国交省が若い世代に向けて示した建設産業の10年ビジョン)から約10年がたつことを受け、新しいビジョンをつくるために設けられました。
第2回会合は令和8年10月13日に開かれ、議題は「建設産業のあり方とその実現のために必要な施策について①(『人を大事にする』産業)」です。第1回で示された論点案では、このテーマの中身として処遇、CCUS、働き方、人材育成、外国人材の5つが挙げられています。
背景にあるのは、深刻な担い手不足です。国交省の資料によると、建設業就業者は478万人(令和7年)で、55歳以上が36.6%を占める一方、29歳以下は11.9%にとどまります。
待遇面でも差があります。令和5年の数値で、建設業の年収は432万円、全産業は508万円。年間の労働時間は建設業が2,018時間、全産業が1,956時間で、建設業は「長く働いて、もらう額は少ない」状態が続いています。
同じ資料では、日給制の技能労働者について、年間の労働時間と賃金をどう確保するかが中長期的な課題として示されています。収入の見通しが立ちにくいことは、若手が入職をためらう大きな理由の一つです。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk1_000001_00069.html)
処遇改善に向けた土台づくりは進んでいます。公共工事設計労務単価(公共工事設計労務単価とは:国や自治体が工事費を積算する際に使う職種別の賃金単価)は、令和8年度に全国全職種平均で+4.5%となり、14年連続で上がりました。
またCCUS(CCUSとは:建設キャリアアップシステム。技能者の資格や就業履歴を業界共通で記録するしくみ)には、2026年5月末時点で技能者185万人、事業者31.2万社が登録しています。論点案でもCCUSは「人を大事にする産業の制度インフラ」と位置づけられました。
さらに、技能者を大切にする企業が名乗りを上げる「職人いきいき宣言」は、2026年6月末時点で4,635社が宣言しています。令和8年7月1日以降の申請からは、宣言企業に経営事項審査で5点が加点されます。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk1_000001_00069.html)
検討会は今後、第3回で「真に『経営力』のある産業」、第4回で「『未来に続く』産業」を扱い、令和9年夏にとりまとめ案を中央建設業審議会へ報告する予定です(スケジュールは変更の可能性あり)。
論点案は、元請と専門工事、大手と中小の違いを踏まえて議論の解像度を上げるとしています。月給制が具体的な制度としてどう扱われるかはまだ決まっていませんが、繁閑への対応や柔軟な働き方も同じテーマで議論されるため、専門工事会社や中小企業ほど影響を受けやすいと考えられます。今のうちに、自社の給与形態や年間の仕事量の波を把握しておくことが、採用での出遅れを防ぐ第一歩になります。
国交省の新ビジョンづくりは、「人を大事にする」ことを建設業の競争力そのものと捉える方向で進んでいます。月給制への転換やCCUSの活用は、制度が固まる前から備えておくほど、人材確保で有利になるはずです。
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出典:第2回「持続的な成長産業としての建設業のあり方に関する検討会」開催について(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00362.html)、第1回持続的な成長産業としての建設業のあり方に関する検討会 配付資料(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk1_000001_00069.html)をもとに作成
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