記事を読み込み中です
建設現場で新人を育てるとき、「できるだけ失敗させたくない」「同じことを何度も聞かずに覚えてほしい」と考える経営者や職長は少なくないでしょう。工期や安全を守る必要がある現場では、教える側にも余裕がなく、つい「前にも説明したよね」「まずは自分で考えて」と声をかけてしまうことがあります。
しかし、失敗を恐れる新人ほど、分からないことを質問できなくなる場合があります。確認しないまま作業を進めれば、材料の取り違えや施工のやり直し、安全上の問題につながるおそれもあります。
新人教育で目指したいのは、失敗を一切しない人ではなく、分からないことや異常に気づいたとき、自分から相談できる人を育てることです。
例えば、先輩から資材の準備を任された新人が、指示された材料と現場に必要な材料の違いに気づいたとします。自信がなければ、その場で確認すれば済む話です。しかし、「こんなことも分からないのかと思われそう」「忙しそうだから聞きづらい」と感じると、自己判断で作業を続けてしまうかもしれません。
その結果、材料を使い始めてから間違いが発覚し、交換や再手配が必要になることもあります。作業のやり直しだけでなく、ほかの職人の手を止めたり、工程に影響したりする可能性もあります。
こうした場面で大切なのは、新人の注意不足だけを原因にしないことです。質問しにくい雰囲気や、どこまで自分で判断してよいか分からない指示の出し方も、問題の背景にあるかもしれません。新人が相談しなかった事実とともに、相談できなかった理由にも目を向ける必要があります。
※画像はイメージです
新人に「分からないことがあったら何でも聞いて」と伝えるのは大切です。ただし、それだけでは十分とはいえません。何が分からなければ質問すべきなのか、どのタイミングで声をかければよいのかが分からなければ、新人は迷ってしまいます。
そこで、作業を教える際には、質問や報告が必要になる具体的な場面も伝えましょう。例えば、「図面と現場の状況が違ったら、作業を進める前に確認する」「材料が足りない、傷があるなど、予定と違うことがあればすぐに知らせる」といった説明です。
また、相談の基準は安全に関わることと、それ以外の作業判断とに分けると伝わりやすくなります。危険を感じた場合や安全を確保できない場合は、作業を止めて責任者に報告することを明確にします。一方、道具の使い方や作業の順番などは、どこまで自分で考え、どの段階で確認するかを具体的に決めておきます。
質問の基準が明確になれば、新人は「こんなことを聞いてもよいのだろうか」と悩む時間を減らせます。教える側も、同じ説明を繰り返す負担を軽減しやすくなります。
一つ目は、作業前に確認する時間をつくることです。指示を出したら、すぐに現場へ送り出すのではなく、「どこまで進める予定か」「迷ったら誰に確認するか」を短く確認します。新人自身の言葉で説明してもらえば、指示が正しく伝わっているかも把握できます。
二つ目は、相談してくれたことを肯定することです。新人が作業前に確認してきたら、「先に聞いてくれて助かった」「確認できたのはよかった」と伝えましょう。質問の内容に誤りがあっても、相談した行動まで否定する必要はありません。確認したうえで正しい手順を説明すれば、次も早めに相談しやすくなります。
三つ目は、失敗したときに原因と対策を一緒に整理することです。ミスが起きたら、注意するだけで終わらせず、「どこで判断に迷ったのか」「どの時点で確認できれば防げたのか」を振り返ります。必要に応じて、作業手順や指示の出し方も見直しましょう。同じ問題を繰り返さない仕組みをつくることが、現場全体の成長につながります。
さらに、教える担当者が複数いる場合は、判断基準や指導内容をそろえることも重要です。先輩によって指示が異なると、新人は何を信じればよいか分からなくなります。会社として基本的なルールを共有し、判断に迷ったときの相談先を決めておくと、教育のばらつきを抑えやすくなります。
人手に余裕がない中小建設会社では、新人教育だけに時間を割くのは難しいものです。しかし、毎日長い研修を実施しなくても、朝の打ち合わせや作業終了時の数分間を活用できます。
例えば、朝には「今日、初めてやる作業はどれか」「分からなかったら誰に聞くか」を確認し、終業時には「困ったことはなかったか」「明日、もう一度確認したいことはあるか」と尋ねます。短い対話を積み重ねることで、新人が抱えている不安や理解不足に早く気づけるようになります。
新人が相談できる職場は、単に優しい職場というわけではありません。安全や品質を守るために必要な確認を、適切なタイミングで行なえる職場です。相談を受けた側も、忙しさから対応できない場合には「この作業が終わったら確認する」と具体的な時間を伝え、放置しないことが大切です。
新人の成長には個人差があります。すぐに質問できるようになるとは限りませんが、相談する行動を評価し、安心して声をかけられる環境を整えることは、会社側から始められます。
※画像はイメージです
新人教育では、失敗を防ぐための指導と同じくらい、分からないことを相談できる関係づくりが重要です。質問する基準を具体的に伝え、相談した行動を認め、失敗の原因を一緒に振り返ることで、新人は少しずつ自分から確認できるようになります。失敗しないことだけを求めるのではなく、困ったときに立ち止まり、周囲に相談できる人を育てることが、安全で強い現場づくりにつながります。
新人が安心して成長できる職場づくりとあわせて、人材確保や協力会社探しにも取り組みたい方は、無料の建設業向けマッチングサービス『建設円陣』への登録をぜひご検討ください(緑のバナーをクリック)。
➡関連記事:新人教育が「伝言ゲーム」になる現場、教え方をそろえるコツ
➡関連記事:外国人材も「ここで働きたい」と思う前向きな職場のつくり方
➡関連記事:同じ質問が何度も出る仕事を仕組み化する
お問い合わせフォームを読み込んでいます。お問い合わせページもご利用いただけます。
お問い合わせフォームを読み込み中です「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。