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経済産業省は令和8年10月16日、熊本で半導体工場の整備を進めるJASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社)とTSMCの計画について、変更を認定しました。第二工場は、より最先端の3nmロジック半導体を製造する計画に切り替わります。結論からいえば、製造プロセスが最先端の3nmに変更されても、「地元企業の活用」や「地域雇用の優先」という方針は国の認定計画に明記されたままです。本記事では、経産省の一次情報を公表データに基づき徹底解説し、九州の建設会社が今から備えるべき商機と具体的な対策をお伝えします。
今回の変更は、特定半導体生産施設整備等計画(特定半導体生産施設整備等計画とは:国が認定し、先端半導体工場の整備に対して助成などの支援を行う対象となる事業計画)に基づくものです。経済産業省が公表した変更後の計画概要によると、JASMはAIの急速な進展に伴う市場環境の大きな変化を踏まえ、第二工場を3nm(ナノメートルとは:10億分の1メートル。数字が小さいほど回路が微細で高性能)のロジック半導体(ロジック半導体とは:計算や制御を担う半導体)を製造する計画に変更しました。
第二工場の主な計画内容は次のとおりです。
・施設の所在地:熊本県(具体的な場所は今後決定)
・敷地面積:約32.1万平方メートル、建設面積:約8.8万平方メートル
・生産能力:月0.6万枚(12インチ換算とは:直径約300mmのウエハーに換算した枚数)
・総従業員数:約1,700名
・事業実施期間(投資着手から操業開始):令和6年2月から令和10年12月
・初回出荷:令和10年第4四半期
整備に必要な資金は108億ドル規模(支援措置の利用を希望する施設・設備)とされ、希望する支援措置は助成金交付、利子補給金(利子補給金とは:借入金の利息の一部を国などが負担する支援)、ツーステップローン(ツーステップローンとは:公的機関などを経由して資金を融通する融資の仕組み)です。経済産業省の認定計画一覧では、第二工場の計画の最大助成額は6451.5億円と示されています。
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JASM第二工場の計画概要(令和8年10月16日 変更認定) |
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項目 |
内容 |
|---|---|
所在地 |
熊本県(具体的な場所は今後決定) |
敷地面積/建設面積 |
約32.1万㎡/約8.8万㎡ |
主要製品 |
ロジック半導体(3nmプロセス) |
生産能力 |
0.6万枚/月(12インチ換算) |
総従業員数 |
約1,700名 |
投資着手〜操業開始 |
令和6年2月〜令和10年12月 |
初回出荷 |
令和10年第4四半期 |
必要資金 |
108億ドル規模(支援措置の利用を希望する施設・設備) |
最大助成額 |
6451.5億円 |
出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/laws/semiconductor/semiconductor_plan.html)をもとに作成
このように、計画変更後も地元企業への期待や雇用創出の姿勢は維持されており、工事や関連サービスの需要は確実に見込まれます。一方で、大型案件や関連工事に追いつくためには、迅速な人員確保や協力会社とのネットワーク構築が欠かせません。
人手不足の解消や新たな協力会社探しをお考えの建設会社様は、まずは無料で利用できる建設業向けマッチングサービス『建設円陣』を活用し、体制づくりを進めてみてはいかがでしょうか。
同じ日に、熊本県菊陽郡菊陽町にある第一工場の計画も変更が認定されました。顧客の要望の変化を受け、第一工場の操業を続け発展させるため、22/28nmプロセスの施設を整備する計画とされています。生産能力は月4.5万枚(工場全体では月5.0万枚、12インチ換算)で、国内需要を踏まえて40nmプロセスの製造も行うとしています。最大助成額は4095億円です。
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第一工場と第二工場の比較(変更後の認定計画) |
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項目 |
第一工場 |
第二工場 |
|---|---|---|
所在地 |
熊本県菊陽郡菊陽町 |
熊本県(具体的な場所は今後決定) |
プロセス |
22/28nm(40nmも製造) |
3nm |
敷地面積 |
約21.3万㎡ |
約32.1万㎡ |
建設面積 |
約7.2万㎡ |
約8.8万㎡ |
生産能力(12インチ換算) |
4.5万枚/月(工場全体5.0万枚/月) |
0.6万枚/月 |
投資着手〜操業開始 |
令和4年4月〜令和8年12月 |
令和6年2月〜令和10年12月 |
最大助成額 |
4095億円 |
6451.5億円 |
出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/laws/semiconductor/semiconductor_plan.html)をもとに作成
建設業の方に注目していただきたいのが、計画の「供給安定性」の項目です。JASMは間接材料について、九州人材育成等コンソーシアムなどと協力しながら、ローカル・サプライチェーンから50%以上購入することを追求するとしています(ローカル・サプライチェーンとは:日本で製造・加工を行う、日本に立地する法人からの調達。外資企業を含む)。
さらに、飲食・セキュリティ・オフィス機器・清掃などのサービスについても、最大限地元の企業のサービスを利用することを追求すると記されています。人材面では、約1,700名のうち約1,200名を地域から雇用する予定です。工場の周辺では、人の流れや仕事の需要が長期にわたって続くことが想定されます。
環境面では、排水を法規制と同等以上の基準で監視することや、排水対策や地下水保全対策の概要をホームページに掲載し、地元住民に丁寧に説明することも盛り込まれています。工場関連の工事に関わる会社は、こうした環境配慮の姿勢を理解しておくと、提案や打ち合わせで役立ちます。
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第二工場計画に盛り込まれた地域関連の取組 |
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分野 |
計画の内容 |
|---|---|
間接材料の調達 |
ローカル・サプライチェーンから50%以上の購入を追求 |
各種サービス |
飲食・セキュリティ・オフィス機器・清掃等で、最大限地元企業を利用することを追求 |
雇用 |
約1,700名のうち、地域から約1,200名、台湾から約500名 |
環境対策 |
法規制と同等以上の基準で排水を監視。排水対策・地下水保全対策の概要をHPに掲載し、地元住民へ説明 |
出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/laws/semiconductor/semiconductor_plan/nintei_tokuteihandoutai_keikaku06-2.pdf)をもとに作成
特に注目したいのが、飲食や清掃・セキュリティにとどまらず、工事現場の維持・管理に関わる間接業務でも地元企業を最優先する姿勢です。これにより、工場本体の建設工事だけでなく、周辺施設やインフラ整備、付随する各種サービス工事においても、継続的かつ長期的な発注が期待されます。
第二工場は具体的な場所が今後決定とされており、工事の詳細はまだ見えていません。ただし、令和10年12月の操業開始という目標と、10年以上の継続生産の予定は示されています。準備のポイントは次の3つです。
1.
経済産業省の認定計画ページを定期的に確認し、計画の更新を追う
2.
協力会社や職人のネットワークを広げ、大型案件や周辺の工事に対応できる体制を整える
3.
排水・地下水の保全など、環境配慮に関する自社の実績や知見を整理しておく
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第二工場の主なスケジュール |
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時期 |
内容 |
|---|---|
令和6年2月 |
投資着手 |
令和8年10月16日 |
3nmへの計画変更を経済産業省が認定 |
令和10年第4四半期 |
初回出荷 |
令和10年12月 |
操業開始・継続生産へ(10年以上の継続生産を予定) |
出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/laws/semiconductor/semiconductor_plan/nintei_tokuteihandoutai_keikaku06-2.pdf)をもとに作成
第二工場の3nmへの計画変更で、熊本の半導体拠点は新しい段階に入ります。地元企業の活用や地域での雇用が計画に明記されている今こそ、情報収集と体制づくりを進めておきたいところです。
今後本格化する熊本の大型案件や周辺工事の商機を逃さないためにも、早期のパートナーシップ構築と人材確保が成功の鍵を握ります。自社の強みを活かした受注拡大や体制強化に向けて、ぜひ情報収集と準備を進めていきましょう。(緑のバナーをクリック)。
出典:認定特定半導体生産施設整備等計画(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/laws/semiconductor/semiconductor_plan.html)および同ページ掲載「変更後の特定半導体生産施設整備等計画の概要」(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/laws/semiconductor/semiconductor_plan/nintei_tokuteihandoutai_keikaku06-2.pdf)をもとに作成
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