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建設現場では、作業そのものだけでなく、設備や周辺状況を確認するために人が現地へ足を運ぶ場面があります。河川の水位、道路の状態、設備の異常など、確認を欠かせない場所が増えれば、それだけ人手も必要になります。
こうした「人が見に行く」業務を、カメラやAIで支援しようとする動きが進んでいます。株式会社シーティーエスは2026年9月、米国DSR Corporationと戦略的パートナーシップ協定を締結しました。建設・防災・社会インフラ分野でAI・IoT・映像技術を組み合わせ、現場で活用できるサービスの開発を進める取り組みです。
今回の協定では、日本市場でAI・IoT・映像技術を活用した新たなソリューションの創出と事業化を共同で進めます。対象は建設、防災、行政・自治体、社会インフラなど幅広く、河川・道路・ダム・公共設備の監視や、水位・冠水・異常の検知、アナログメーターの読み取りなどが協業分野として挙げられています。
プレスリリースでは、今回の取り組みについて次のように説明されています。
『本協定は、CTSが提供する現場業務支援サービス「サイトアシストパッケージ(SAP)」の現場情報関連コンテンツであるクラウド映像サービスの機能拡充・進化を強力に後押しするものです。』
戦略的パートナーシップ協定調印式(2026年9月2日、CTS本社にて)
引用元:株式会社シーティーエスプレスリリース(PR TIMES掲載)
サイトアシストパッケージ(SAP)とは:建設現場で扱うデータや情報を統合し、共有や遠隔業務を支援するサービスです。今回の協定によって、その中にあるクラウド映像サービスの機能をさらに広げることが狙いです。
中小建設会社が今回のニュースを見るとき、注目したいのは「AI」という言葉そのものではありません。重要なのは、これまで人が現地で確認していた作業を、映像やAIによってどこまで支援できるかという点です。
例えば、離れた場所にある設備を確認するため、担当者が車で移動するケースを考えてみましょう。確認そのものは数分でも、往復の移動時間まで含めれば、それなりの時間がかかります。複数の場所を定期的に確認する必要があれば、負担はさらに大きくなります。
カメラによる遠隔確認やAIによる異常検知を組み合わせられれば、すべての確認を人が現地へ行って行なう必要がなくなる可能性があります。人を減らすという発想ではなく、人が現地へ行くべき仕事と、遠隔で確認できる仕事を分けるという考え方です。
CTSとDSR側の取り組みでは、2026年5月に長野県内の河川などにAIカメラを設置し、水位検知の概念実証(PoC)を行なっています。PoCとは:新しい技術や仕組みが実際に使えるかを検証する取り組みです。
今回の協定では、この河川監視で得られた知見を出発点として、道路の冠水検知や降雪検知、設備の異常検知などへ活用範囲を広げる方向が示されています。
建設業にとっても、これは遠い世界の話とは限りません。現場周辺の状況確認、資材置き場の監視、設備の状態確認など、会社ごとに「人が確認しなければならない場所」は存在します。そこに映像やAIを組み合わせられれば、業務の進め方そのものを見直すきっかけになります。
Noema AI洪水検知アプリケーションによる水位検知の様子(長野県小諸市・栃木川)
引用元:株式会社シーティーエスプレスリリース(PR TIMES掲載)
DX(DXとは:デジタル技術を使って仕事の進め方や業務そのものを改善する取り組み)の話になると、会社全体を大きく変えなければならないと考えがちです。しかし、現場をよく知る中小企業だからこそ、まずは「時間を取られている確認作業は何か」を探すところから始められます。
毎回現地へ行く必要があるのか。写真を撮って報告するだけで済む仕事はないか。異常が起きたときだけ人が動けばよい場所はないか。こうした視点で業務を細かく分けていくと、デジタル化できる部分が見つかるかもしれません。
今回のCTSとDSRの協業は、AI・IoT・映像技術を使った現場DXが、単なる新技術の紹介ではなく、具体的な確認業務の効率化へ向かっていることを示す事例の一つです。中小建設会社にとっても、自社の現場に置き換えて考えてみる価値があります。
AIカメラや遠隔監視は、人の仕事をすべて置き換えるためのものではありません。むしろ、人が本当に現地へ行く必要がある仕事に集中するための手段として考えると、建設現場でも活用の可能性が見えてきます。
まずは「人が見に行っている仕事」を洗い出すことが、現場DXを考える第一歩になりそうです。
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