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環境省は2026年10月19日、再生可能エネルギーなどからつくる水素を、地域で安く安定して使うための仕組みづくりを支援する実証事業について、二次公募の採択結果を公表しました。
選ばれたのは室蘭市、浪江町などが代表を務める3件です。室蘭市の事業には大成建設株式会社やコベルコ建機株式会社も共同事業者として名を連ねており、水素の話題が建設業にとっても身近なものになりつつあることがうかがえます。
今回の事業の正式名称は、令和8年度「コスト競争力強化を図る再エネ等由来水素サプライチェーンモデル構築・実証事業」です。
サプライチェーン(サプライチェーンとは:製造から貯蔵、輸送、利用までの一連の流れ)全体でコストを下げることに重点が置かれているのが特徴です。
環境省は、需要の拡大によるスケールアップと、貯蔵・輸送を含めた効率化に焦点を当て、コスト競争力のある水素の供給モデルを構築したうえで、早期の地域への社会実装と普及展開を目指すとしています。目的には、エネルギーの脱炭素化に加えてレジリエンス向上(レジリエンスとは:災害などが起きても機能を維持し、素早く回復できる力)も掲げられています。
実証は3つのモデルに分かれ、それぞれ1件ずつ採択されました。
1.地域間連携型モデル
再エネなどの供給ポテンシャルが高い地域と、水素の需要ポテンシャルが高い地域を結ぶモデルです。代表事業者は室蘭市で、事業名は「室蘭市を供給ハブとした地域間連携による再エネ由来水素サプライチェーンモデル構築・実証事業」。室蘭工業大学、三菱総合研究所、室蘭ガス、北弘電社、エア・ウォーター北海道、大成建設、コベルコ建機など9者が共同事業者として参加します。
2.地域需要拡大型モデル
地域で水素の需要を生み出し、広げていくモデルです。代表事業者は一般社団法人FCyFINE PLUSで、山梨中央銀行や山梨大学などと組み、「内陸地域におけるグリーン水素の普及に向けた小口需要創出及び配送方法に係る実証事業」に取り組みます。グリーン水素(グリーン水素とは:再エネ由来の電力などを使い、製造時のCO2排出を抑えてつくる水素)を、少量ずつ使う需要家にどう届けるかが焦点です。
3.拠点需給連携型モデル
既存の供給拠点や関連インフラを活用し、需給の最適化を図るモデルです。代表事業者は浪江町、共同事業者はヤンマーエネルギーシステム株式会社で、「浪江町におけるマルチ水素供給ハブ拠点を核とした水素サプライチェーンモデル構築事業」を進めます。
モデル |
代表事業者 |
主な共同事業者 |
実証のポイント |
|---|---|---|---|
|
地域間連携型 |
室蘭市 |
室蘭工業大学、三菱総合研究所、室蘭ガス、北弘電社、エア・ウォーター北海道、大成建設、コベルコ建機ほか(計9者) |
室蘭市を供給ハブに、再エネ供給地域と水素需要地域を結ぶ |
|
地域需要拡大型 |
一般社団法人FCyFINE PLUS |
山梨中央銀行、電通、イグニション・ポイント、山梨大学 |
内陸地域でのグリーン水素の小口需要の創出と配送方法 |
|
拠点需給連携型 |
浪江町 |
ヤンマーエネルギーシステム |
マルチ水素供給ハブ拠点を核としたサプライチェーンの構築 |
出典:令和8年度「コスト競争力強化を図る再エネ等由来水素サプライチェーンモデル構築・実証事業」の採択について(二次公募)(環境省)(https://www.env.go.jp/press/press_05713.html)をもとに作成
二次公募の公募期間は令和8年8月3日から8月28日まででした。公募要領によると、本事業は委託事業で、事業期間は原則として令和8年度から4年度以内とされています。初年度の予算は、地域間連携型と地域需要拡大型が4億円以下、拠点需給連携型が1億円以下と設定されています。
また、毎年度、審査委員会による中間評価が行なわれ、継続が認められない場合は計画の見直しや中止もあり得るとされています。
応募の共通要件には、実証地域がおおむね決まっていて地方自治体との連携に合意が得られていること、地域の再エネなどを活用すること、高いCO2削減効果と他地域への波及効果があることなどが挙げられていました。審査項目の「事業化・普及の見込み」では、2030年代の事業化が見込まれることも求められています。
事業形態 |
委託事業 |
|---|---|
二次公募の期間 |
令和8年8月3日~8月28日 |
事業期間 |
原則として令和8年度から4年度以内(毎年度、中間評価あり) |
初年度の予算上限 |
地域間連携型・地域需要拡大型:4億円以下 |
採択件数 |
3件(各モデル1件) |
事業化の目安 |
2030年代の事業化が見込まれること(審査項目) |
出典:令和8年度「コスト競争力強化を図る再エネ等由来水素サプライチェーンモデル構築・実証事業」の採択について(二次公募)(環境省)(https://www.env.go.jp/press/press_05713.html)をもとに作成
出典:令和8年度「コスト競争力強化を図る再エネ等由来水素サプライチェーンモデル構築・実証事業」の公募について(二次公募)(環境省)(https://www.env.go.jp/press/press_05378.html)をもとに作成
今回の採択事業は、いずれも自治体が地域の企業や大学と組み、地域ぐるみで水素の流れをつくろうとしている点が共通しています。
実証が進めば、製造・貯蔵・輸送・利用の各段階で、設備や拠点にかかわる仕事が生まれる可能性があります。地元の中小建設会社にとっては、自分の地域や近隣でどのような計画が動いているのかを知っておくことが第一歩です。
具体的には、環境省の報道発表や地元自治体の発信を定期的に確認すること、脱炭素や再エネに関する基礎知識を社内で共有しておくことなどが考えられます。実証は年度ごとに評価されながら進むため、動きを継続して追うことが大切です。
※画像はイメージです
室蘭市、浪江町、そして内陸地域での実証は、水素を「地域で安く使う」ための試金石となります。脱炭素の流れの中で、地域の建設会社に求められる役割も少しずつ変わっていくはずです。まずは身近な地域の動向に目を向けておきましょう。
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出典:令和8年度「コスト競争力強化を図る再エネ等由来水素サプライチェーンモデル構築・実証事業」の採択について(二次公募)(環境省)(https://www.env.go.jp/press/press_05713.html)をもとに作成
出典:令和8年度「コスト競争力強化を図る再エネ等由来水素サプライチェーンモデル構築・実証事業」の公募について(二次公募)(環境省)(https://www.env.go.jp/press/press_05378.html)をもとに作成
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