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東京都教育委員会は、令和8年10月19日(月)に「都立高校の魅力向上等に係る懇談会専門部会」の第三部会(第3回)を、都庁第二本庁舎南側31階の特別会議室24で開催しました。第三部会の検討テーマは「将来の東京を担う人材を生み出す都立高校づくり」です。
専門部会(専門部会とは:令和7年度から開かれている懇談会の議論を、より専門的・集中的に深めるために新たに設けられた会議体)は三つの部会で構成され、第三部会は産業教育、DX推進、部活動などを扱っています。建設会社にとって、将来の採用に直結する議論が進んでいる場だといえます。
先に結論をお伝えすると、都立工科高校(工科高校とは:東京都が旧来の「工業高校」から名称を変更した都立の工業系専門高校)の卒業生は建設業界から強く求められている一方、志願者は減少傾向にあります。だからこそ都は、企業と学校の連携を深める方向で議論を重ねています。
第1回部会の資料によると、工科高校の卒業生の就職先のうち建設業は25.2%(令和7年3月卒業生)で、製造業の29.6%に次ぐ規模です。卒業生のおよそ4人に1人が建設業に進んでいる計算になります。
同じ資料では、全国工業高等学校長協会の資料をもとに、工業高校卒の求人倍率が平成28年の8.9倍から令和6年には31.9倍へ上昇したことが示されています。高校全体の求人倍率は令和6年で4.10倍ですから、工業系の卒業生がいかに取り合いになっているかが分かります。
また厚生労働省の統計による職業別の有効求人倍率(有効求人倍率とは:求職者1人に対して何件の求人があるかを示す数値)は、2025年度で建設・採掘従事者が全国5.02倍、東京5.50倍とされています。
ところが、都立工業科全日制15校の第一次募集の応募倍率は、令和2年度の0.89倍から低下傾向が続き、令和8年度には0.64倍まで落ち込みました。
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求人は増え、志願者は減る:工科高校をめぐる主な数字 |
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項目 |
数値 |
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工科高校卒業生の就職先に占める建設業(令和7年3月卒業生) |
25.2% |
工業高校卒の求人倍率(全国) |
8.9倍(平成28年)→31.9倍(令和6年) |
建設・採掘従事者の有効求人倍率(2025年度) |
全国5.02倍/東京5.50倍 |
都立工業科全日制15校の応募倍率(第一次募集) |
0.89倍(令和2年度)→0.64倍(令和8年度) |
東京都教育委員会「都立高校の魅力向上等に係る懇談会専門部会 第三部会(第1回)資料3」p.26・p.30をもとに作成
志願者が伸びない背景として、2019年の調査では約7割の中学生とその保護者が工科高校を知らない、また約7割が進路の選択肢にしていないという結果が紹介されています。
さらに経済産業省の推計として、2040年には工科高校卒の人材が約90万人不足し、AIやロボットの活用を担う人材も約300万人不足する見込みが示されました。
都はこれまで、受験料や試験対策経費の2分の1を補助する資格取得支援(対象約150種)や、工科高校3年間と専門学校2年間をつなぐTOKYO P-TECH(TOKYO P-TECHとは:IT企業の実務家などの支援を受けてIT人材を育てる5年間の教育プログラム)などに取り組んできました。
注目したいのは、都が「都立工科高校と産業の団体との連携推進協議会」を設け、建設業との連携を具体的に議論している点です。令和8年5月27日の第2回では、実習や課題研究への技術者・技能者の派遣、建設現場の見学会、インターンシップに連携して取り組む方向が示されました。
9月7日の第2回部会資料では、工業分野の課題としてBIM/CIM(BIM/CIMとは:建物や道路・橋などを3次元のデジタルモデルで設計・施工・管理する手法)に対応した教育内容の高度化や、都市インフラを共通テーマとした学びへの発展、学科横断型のPBL(PBLとは:実際の課題に取り組みながら学ぶ課題解決型学習)の充実が挙げられています。
同部会の議事要旨では、公立学校は人事異動で企業との関係が途切れやすいという課題も指摘され、学校と企業の外部人材をつなぐマッチングの仕組みや、学校と小規模事業者をつなぐ仲介的な仕組みの必要性が議論されました。中小の建設会社にも出番がある議論です。
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都立工科高校と産業の団体との連携推進協議会で共有された主な論点 |
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開催日 |
主な論点 |
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第1回 |
・保護者世代を含めた産業のイメージアップ |
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第2回 |
・イベントや多様な媒体を使った業界と工科高校のPR |
東京都教育委員会「都立高校の魅力向上等に係る懇談会専門部会 第三部会(第1回)資料3」p.31をもとに作成
こうした流れを踏まえると、建設会社ができることは次の3点です。
一つ目は、現場見学やインターンシップの受け入れを前向きに検討することです。生徒が実際の現場に触れる機会は、業界のイメージアップに直結します。
二つ目は、ドローンや3D CADなど、自社で使っている技術を生徒に見せる工夫です。部会資料でも、工科高校でドローン実習や3D CAD実習、建設現場見学会が行われている様子が紹介されています。
三つ目は、担当者が替わっても関係が続くよう、社内で窓口と記録を残しておくことです。人事異動による関係の断絶は、学校側の課題としても挙がっています。
なお、10月19日の第3回の会議資料と議事要旨は、後日教育庁のホームページで公開される予定です。
※画像はイメージです
求人倍率31.9倍という数字が示すとおり、工科高校の卒業生は待っていても来てくれる人材ではありません。都の専門部会で議論が進む今こそ、学校と一緒に若手を育てる側に回ることが、将来の人手を確保する近道です。
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出典:「通いたい、通わせたい」と思える都立高校へ
都立高校の魅力向上等に係る懇談会専門部会の開催(東京都教育委員会ホームページ)(https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/10/2026101403)をもとに作成
出典:都立高校の魅力向上等に係る懇談会専門部会
第三部会 第1回・第2回 資料および議事要旨(東京都教育委員会ホームページ)(https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/ja/basic/council/sonota/enhance/expert)をもとに作成
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