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🔨 千葉県南房総市加茂で、大工工事と内装リフォームを手がける伊藤建設。代表の伊藤真一さんは、大工だったお父さんの跡を継ぎ、今は1人で現場に立っています。新築なら外壁張りや足場組みまで自分でこなし、仕事はすべてお客さんからの直接の依頼です。30年来の大工仲間との助け合いや、物価高で変わってきた仕事の中身、そして「若手がいないと地域から大工が消えてしまう」という切実な想いまで、たっぷり伺いました🏠
✅ この記事でわかること
1人親方が直請け100%を続けられるワケ
同業仲間と人手を補い合うリアルな方法
物価高で新築が減る中、仕事はどう変わった?
伊藤社長のお父さんも、地元で長く大工をしてきた方です。
でも、お父さんから「跡を継げ」と言われたことは一度もなかったそうです。
大工の道を選んだのは、ほかでもない伊藤社長自身でした。
津田:大工になったのは、やっぱりお父様の影響ですか。
伊藤:親父も大工で、今はその跡を私が継いでいます。ただ、親父からは「全然継がなくていい」と言われていたんですよ。
津田:じゃあ、ご自身がやりたくて始められたんですね。
伊藤:そうですね。小さい頃から物を作るのが好きだったので。
津田:学校を出てからは、どんなふうに働いてこられたんですか。
伊藤:学校を出てすぐは修行時代で、地元の会社に勤めました。次に勤めたのが、積水ハウスの仕事をしている会社です。20代の頃は、千葉県中を1人で駆け回っていました。
津田:それは相当お忙しかったんじゃないですか。
伊藤:そうですね。その時のことを考えると大変だったので、今は南房総で腰を据えてやっていくのが理想です。
大手の下請けとして県内中を走り回った日々があったからこそ、今の「地元でじっくり」という働き方があるんですね。
エリアを広げることだけが成長ではない──そう感じている中小建設業の経営者の方も、きっと多いのではないでしょうか。
今は分業が当たり前の時代ですが、伊藤社長は新築工事のほとんどを自分の手で仕上げています。
外にお願いするのは、水道や電気といった資格が必要な工事だけです。
下請けの仕事は受けず、すべてお客さんから直接もらった仕事で回しています。
津田:普段はどんな工事が多いんですか。
伊藤:新築工事も含めて全般ですよ。外壁もほぼ自分で張りますし、足場も組みます。もちろん水道工事や電気工事はできないので、そこだけは外にお願いしています。
津田:大工さんって、そういう方が多いんですか。
伊藤:俺ぐらいの世代が最後だと思います。下の世代は分業制ですね。
津田:お客さんから「ここが助かる」と言われることはありますか。
伊藤:あまり言うと自慢しているみたいですが、仕事が丁寧で早いとはよく言われます。金額もよく褒められますね。「このクオリティでこの金額でやってくれるんですか」と。
津田:仕事をするうえで、ここだけは譲れないというこだわりはありますか。
伊藤:どんなに小さい仕事でも手を抜きません。だから、うちには必ずリピートが来ます。
「どんなに小さい仕事でも手を抜きません」
── 伊藤建設 代表 伊藤 真一 氏
物価高の波は、南房総の現場にも押し寄せています。
新築の依頼はぐっと減り、仕事の中心はリフォームに移ってきました。
その一方で、1人では手が回らない大きな仕事を、泣く泣く断ることもあるそうです。
津田:断っているのは、どんなお仕事が多いんですか。
伊藤:ほとんど大きい仕事ですね。新築なら最初の方だけ仲間を呼べますが、あとは全部1人でやります。リフォームになると常に付きっきりなので、リフォーム工事だと1,000万円は確実にいく仕事になりますね。
津田:最近は新築よりリフォームのほうが多いんですか。
伊藤:物価高になってから新築の仕事はほとんどないので、みんなリフォームが多いです。金額がすごすぎて、若い人がローンを組めないんですよ。
津田:手が足りない時は、どうされているんですか。
伊藤:同世代の大工仲間がこっちに5〜6人いて、忙しい時はお互い手伝っています。みんな一人親方だったり社長だったりで、付き合いはもう30年ぐらいになりますね。
とはいえ、人を雇うとなると簡単ではないようです。
伊藤社長は「自分が信用できる人じゃないと雇えないし、お客さんの信用問題もある」と話します。
人手のやりくりに頭を悩ませているのは、どこの会社も同じではないでしょうか。房総半島台風のときには屋根屋さんがなかなか見つからず、埼玉の業者さんにお願いしたこともあったそうです。
💡 中小建設業が真似できるヒント
腕も人柄もよく知る同業仲間と、忙しい時に手伝い合える関係をつくっておく
自分でこなせる工程を増やして、品質と価格の両方で選ばれる会社になる
新築が減っていく流れを見据えて、リフォームに対応できる体制を整えておく
これからの目標を聞くと、伊藤社長は「若手を育てたい」「いずれは法人にしたい」と話してくれました。
その裏には、地域から大工さんがいなくなってしまうことへの強い危機感があります。
同世代の仲間たちとも、よくこの話をしているそうです。
津田:これから会社をどうしていきたいですか。
伊藤:本来であれば若い子を育成したいですし、そうなったら会社も法人にしたいと思っています。ただ、なかなか見つからなくてですね。
津田:求人のいちばんの壁って、正直なんでしょう。
伊藤:若い子といっても、高校を卒業したぐらいの、まだ何も仕事をしていない子が良いんです。大工さんになりたいという子ですね。でも、なかなかそういう子はいないんですよ。
津田:お仲間の皆さんは、息子さんに継がせるおつもりはないんですか。
伊藤:みんな全く継がせないと言っています。だからこそ、若い子を育てないといけないんです。
「若い子を育てないと、多分こっちの南房総の方は大工さんがいなくなっちゃうんですよ」
── 伊藤建設 代表 伊藤 真一 氏
若手が1〜2人入ってくれれば、今は断っている大きなリフォームも「だいぶ入れられると思います」と伊藤社長。
若い職人を育てることは、そのまま地域の住まいを守ることにつながっています。
🎤 社長に一問一答
Q. 子どもの頃に好きだったことは?
A.
物を作ることです。それが大工になったきっかけですね。
Q. 印象に残っている現場は?
A.
どこの現場も常に勉強だと思っているので、全部覚えています。
Q. 仕事でいちばん嬉しい瞬間は?
A.
出来上がった時に、お客さんが喜んでくれることです。
Q. 大工って格好いい仕事だと思いますか?
A.
いやいや、いい商売じゃないですよ。
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📝 編集部コメント
お話を伺って印象に残ったのは、伊藤社長の「手を抜かない」というまっすぐな姿勢です。「必ずリピートが来る」という言葉からは、30年来の仲間とともに地域を支えてきた職人の誇りが伝わってきました。