記事を読み込み中です
建設業の現場では、消耗品の購入や駐車場料金、資材の急な買い出しなど、従業員が自ら立て替えて支払う場面が日常的に発生します。その都度、領収書を保管し、月末にまとめて精算する――この流れを当たり前のものとして運用している会社は少なくありません。
しかし、その「当たり前」が事務担当者にも従業員にも、じわじわと負担をかけ続けているケースが実態として多く見られます。
現場仕事は体力勝負であり、終業後に書類を整理する余裕がないのが実情です。領収書の提出を後回しにしているうちに紛失する、どの現場の費用だったか記憶があいまいになる――こうしたことが積み重なると、月末の精算作業は大幅な手戻りを生じさせます。事務担当者にとっては、不明な経費を確認するための電話のやり取りだけで、半日以上かかることも珍しくありません。
また、精算が遅延すると従業員側も立て替え金の回収が滞り、不満やモチベーション低下につながります。経費精算の問題は、単なる事務作業の効率だけでなく、職場環境や従業員の定着にも影響すると認識する必要があります。
※画像はイメージです
精算の仕組みを改善する第一歩は、社内ルールを文書として明確にすることです。口頭での申し合わせは、担当者が変わったり、新人が入ったりしたときに一気に機能しなくなります。以下の項目を社内規程またはチェックシートとして整備しましょう。
精算の申請期限:「翌月5日までに提出」など、締め日を明確に設定する
領収書の記載要件:現場名、用途(「〇〇工事用ビス購入」など)、金額、日付を必ず記入する
上限金額の設定:一度に立て替えられる金額の上限を決め、高額の場合は事前承認を必須とする
提出方法の統一:紙の領収書をA4用紙に貼付して提出するか、スマートフォンで撮影して提出するかを決める
このルールを「知っている人だけ守っている」状態にしないよう、入社時の説明や定期的な周知が重要です。特に現場監督が率先してルールを守ることで、作業員への浸透が格段に速まります。
「領収書を紛失した」「どこかに挟まっている」という問題を根本から解決するには、領収書をその場でスマートフォンで撮影し、デジタル保存する運用が有効です。撮影した画像をLINEやメールで事務所へ転送するだけでも、紛失リスクは大幅に下がります。
より体系的に管理したい場合は、経費精算アプリの導入を検討する価値があります。たとえば「マネーフォワード クラウド経費」や「楽楽精算」は、スマートフォンで撮影した領収書をOCR(OCRとは:画像内の文字を自動で読み取るテキスト認識技術)によって自動でデータ化し、申請・承認・仕訳までをオンライン上で完結させることができます。どちらも中小企業向けのプランが用意されており、月額数千円から導入可能です。
紙の領収書を電子保存する場合、電子帳簿保存法(電子帳簿保存法とは:国税関係の帳簿・書類を電子データで保存することを認める法律)の要件を満たす必要があります。2024年1月からは電子取引データの電子保存が義務化されており、スキャン保存の場合も一定の要件(タイムスタンプの付与や検索機能の確保など)を満たすことが求められます。導入前に税理士へ確認することをお勧めします。
立て替え精算そのものをなくす方法として、法人カードの配布があります。従業員が法人カードで支払えば、引き落としは会社口座となるため、個人の立て替えが発生しません。利用明細も自動で記録されるため、事務担当者による転記作業も不要になります。
ただし、法人カードの導入にはいくつかの注意点があります。
用途の明確化:私的利用と業務利用を混在させないよう、社内規程で利用範囲を定める必要がある
利用明細の確認:月ごとの明細を必ず確認し、現場名・用途とひもづけて記帳する習慣をつける
カード枚数の管理:紛失・不正利用リスクを考慮し、配布する人数・上限金額を設定する
QRコード決済を現場での少額支払いに活用している会社もあります。履歴がアプリ上に自動記録されるため、領収書の管理負担を大幅に軽減できる点が評価されています。ただし、現場によってはネットワーク環境が不安定で決済できないケースもあるため、現金との併用を前提とした運用設計が現実的です。
※画像はイメージです
経費精算の問題は、「しかたない」と放置するほど、事務担当者の残業や従業員の不満として蓄積されます。まずはルールを文書化し、領収書の提出方法を統一するだけでも、現場と事務所双方の負担は確実に軽減されます。
ツールの導入はその次の一歩です。自社の規模や現場環境に合った仕組みを、少しずつ整えていくことが長続きする改善への近道です。
経費管理の見直しと同様に、現場を支える協力会社や人材の確保も会社運営の重要課題です。立て替え精算の負担軽減で生まれた時間を、協力会社探しや人手の確保に活かしてみてください。
無料の建設業向けマッチングサービス『建設円陣』への登録で、頼れる協力会社との出会いを広げることができます(緑のバナーをクリック)。
➡関連記事:建設業の事務効率化を推進 新潟県がバックオフィスDX研修を開催
お問い合わせフォームを読み込んでいます。お問い合わせページもご利用いただけます。
お問い合わせフォームを読み込み中です「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。