🌏環境省は令和8年7月23日(木)、「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)における算定方法検討会(第12回)」をオンライン会議形式で開催しました。YouTubeでライブ配信された今回の議題は、①合成燃料等のサプライチェーン管理の扱い、②CCS(二酸化炭素回収・貯留)の扱い、の2つです。
結論を先にお伝えすると、CCSでCO2を回収・輸送・貯留する場合、原排出者・回収事業者・輸送事業者・貯留事業者のそれぞれが、自らの事業活動に伴う排出量(漏えいが発生した場合はその漏えい量)を算定・報告する、という方向性が示されました。✅
なぜ今、CCSの算定ルールを整理する必要があるのか
SHK制度における算定方法は2006年に規定されて以降、ほとんど見直しが行なわれてきませんでした。環境省・経済産業省は令和4年1月にこの算定方法検討会を設置し、算定対象活動や排出係数が事業者の排出実態に即しているかどうかを継続的に議論しています。
背景には、国際的な算定ルールの動向や2050年カーボンニュートラルに向けた取組の促進があります。⚠️CCSのように「回収して大気に出さない」新しい技術が普及するほど、誰がどこまでの排出量を報告するのかというルールを明確にする必要性が高まっているのです。
第12回検討会で示された4つの論点
📋今回の資料では、CCSの排出量算定に関する論点が大きく4つ整理されています。
論点①は「排出削減価値の定義」です。原排出者が回収量を排出削減価値として主張できるようになるのは、CCSに使うことを明確にしてCO2を引き渡す時点としてはどうか、という案が示されました。
論点②は「排出削減価値の控除方法」です。SHK制度では基礎排出量を物理的な排出で捉える考え方が原則で、地下に貯留されたCO2は物理的な排出が抑えられているとして、基礎排出量からの控除が望ましいとされています。
論点③は「漏えいの取扱い」です。回収から輸送、貯留までの各段階で漏えいが生じた場合は、その段階を担う事業者が算定・報告することが適切ではないかとされ、現行制度には該当する算定対象活動がないため、CCSの社会実装が見込まれる2030年までに算定対象活動へ追加することが検討されています。
論点④は「ダブルカウントの防止」です。回収したCO2をCCSのみに使う場合、排出削減価値は原排出者に帰属する整理とすることで、二重計上を防げるのではないかとされました。
なお参考資料では、国の温室効果ガスインベントリにおいて、過去に国内で実施された5件のCO2地中圧入事例では、年間3,000tCO2を超える漏えいは発生していないと整理されていることも紹介されています。📊


出典:環境省ウェブサイト(https://policies.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/files/study/2026/stdy_20260723_3.pdf)
建設業にとって押さえておきたいポイント
🏗️CCS事業は、回収したCO2を輸送するパイプラインや、地中に圧入・貯留する設備の整備を伴う取組です。
資料には「CCS事業法における貯留事業者・導管輸送事業者に対する義務」として、貯留したCO2量や圧力・温度、坑井の健全性の測定・記録などが整理されており、こうしたインフラの整備・維持管理は今後、建設業や設備工事業にとって新たな仕事の広がりにつながる可能性があります。
また、SHK制度は特定排出者となる大企業に排出量報告を義務付ける制度ですが、元請企業がサプライチェーン全体のCO2把握を進める流れが強まれば、協力会社である中小の建設業者にも、資材調達や現場活動に伴う排出量の情報提供を求められる場面が増えていくことも考えられます。
日頃から自社の活動に伴うCO2排出の把握方法を整理しておくことは、無駄にはならないはずです。😊
出典:環境省ウェブサイト(https://policies.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/files/study/2026/stdy_20260723_3.pdf)
今後の対応として意識したいこと
本稿執筆時点では、次回(第13回)検討会の開催日程は示されていません。論点②の証明方法など、次回以降に持ち越された検討事項もあるため、環境省の「算定方法検討会」ページを定期的にチェックしておくと安心です。👍
制度の詳細が固まるのはこれからですが、CCSに関連する工事やサプライチェーン管理の動きは、建設業にとっても無関係ではありません。今のうちに情報収集の習慣をつけておくことをおすすめします。
まとめ
CCSの排出量算定ルールはまだ検討段階ですが、「誰が・どこまで報告するのか」という論点が具体化してきました。
制度の動きを早めにキャッチしておくことが、今後の備えにつながります。🌱
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出典:「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度における算定方法検討会(第12回)」資料3 CCSの扱いについて(環境省)(https://policies.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/files/study/2026/stdy_20260723_3.pdf)をもとに作成











