記事を読み込み中です

建設現場を長年支えてきたベテラン職人たちが、まもなく現場を離れていく。🧓そんな厳しい現実が、国の資料からも浮かび上がっている。
建設業の技能労働者は全国で約302万人。そのうち60歳以上が全体のおよそ4分の1を占めるとされ、採用・定着に悩む中小建設業にとって、この数字は決して他人事ではない。
この人手不足に対し、国が「ロボット技術による自動施工」という切り口から本気で向き合い始めている。
内閣府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」第3期の計画資料には、建設業の技能労働者約302万人のうち60歳以上が約4分の1を占めるという現状が、明確な課題として記されている。💦
ベテラン世代がまとめて現場を離れれば、技術と労働力が一気に失われかねない。かといって、若手の採用や定着を一朝一夕に進めるのも簡単ではない。
だからこそ資料では、「機械による省人化、無人化、コスト縮減」が今後の技術開発の重要な視点のひとつとして位置づけられており、少ない人数で施工を続けられる仕組みづくりが急がれている。
※画像はイメージです
この方向性を具体的に形にしているのが、SIPのサブ課題A「革新的な建設生産プロセスの構築」(通称ICAS)だ。研究開発のリーダーを務めるのは、筑波大学システム情報系の永谷圭司教授である。
2025年3月3日から7日には、バックホウとクローラダンプによる掘削・積載・運搬・放土作業の自動化実験が行なわれた。さらに同年8月27日から28日には、自動化した建設機械による土工事の公開実証実験が実施され、一連の作業を人の手を介さずにこなす様子が示されている。
加えて、同年8月25日から29日には福岡市内の操作室から約300km離れた道路工事現場を遠隔施工する試験、9月1日から4日にはダム現場に対し約90km離れた拠点から「マルチリンク通信システム」を使った超遠隔施工のデモ(参加者約25人)も行なわれた。これらの成果は同年10月の第23回建設ロボットシンポジウムで報告され、優秀ポスター賞を受けている。
現場に人が張り付かなくても施工が回る仕組みは、限られた人員をより効率よく配置し直すための土台にもなり得る。
SIP-ICASが対象とするのは土工事だけではない。ダムの堆砂対策としての遠隔・自動浚渫技術(2025年11月14日に性能確認実験見学会を実施)、火山災害現場でのドローンによる降灰厚計測、トンネル工事における無線電子雷管を使った発破の自動化・無人化など、人が立ち入りにくい危険な作業の無人化にも同じ枠組みで取り組んでいる。
研究体制には筑波大学のほか、九州大学、国立研究開発法人土木研究所、大手ゼネコン各社なども名を連ね、産学官が連携している。
これは単なる省力化の技術開発にとどまらず、「危険」「きつい」とされてきた作業を機械に任せることで、建設業という職業そのものの働き方を変えていこうとする、国レベルの制度的な取り組みだと捉えることができる。
ここで開発されているのは、まだ研究開発段階の技術であり、明日から中小の現場にそのまま導入できるものではない。
ただし、危険で身体的負担の大きい作業を機械に任せられるようになれば、若手にとっての「入りやすさ」や、ベテランにとっての「長く続けやすさ」にもつながっていく可能性がある。採用・定着という人の課題は、技術の進歩と無関係ではない。
👉自社の現場で「誰が」「どの作業を」担っているかを棚卸しし、将来的に機械へ任せられそうな工程と、人にしか担えない技術・判断とを整理しておくことは、採用・教育戦略を考えるうえでも役立つはずだ。
建設業の人手不足は、採用活動の工夫だけでなく、国レベルの自動化・DX投資とも地続きの課題であることが、今回の取り組みから見えてくる。
技術の実用化にはまだ時間がかかるが、人と技術の役割分担を早めに考え始めることが、これからの採用・定着戦略の土台になる。👷
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサービス『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。
出典:
・戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートインフラマネジメントシステムの構築
社会実装に向けた戦略及び研究開発計画」(内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局)(https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/sip_3/keikaku/09_smartinfra.pdf)をもとに作成
・SIP-ICASプロジェクト公式サイト「革新的な建設生産プロセスの構築」(国立研究開発法人土木研究所ほか)(https://sip-icas-project.org/)をもとに作成
➡関連記事:砂防現場の担い手不足に光、遠隔操作が広げる採用と技術継承の形
お問い合わせフォームを読み込んでいます。お問い合わせページもご利用いただけます。
お問い合わせフォームを読み込み中です「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。