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新人に仕事を任せていると、「何度教えてもできない」「前にも言ったのに、また間違えた」と感じる場面があります。忙しい現場では、つい「ちゃんと覚えて」「前に教えただろう」と言いたくなることもあるでしょう。
しかし、新人ができない理由は、本人のやる気や能力だけとは限りません。作業の順番が分かっていない、完成した状態をイメージできていない、どこまで自分で判断してよいのか分からないなど、教える側には当たり前になっている部分が伝わっていないことがあります。
新人の「できない」を減らすには、本人を責めるよりも、まず「どこで止まっているのか」を見つけることが大切です。教え方を少し変えるだけで、新人が自分で動ける場面は増えていきます。
たとえば、先輩が「この材料を持ってきて」と指示したとします。新人が別の材料を持ってきた場合、「ちゃんと聞いて」と注意するだけでは、次も同じことが起こるかもしれません。
このとき確認したいのが、何が分からなかったのかです。材料の名前が分からなかったのか、置き場所が分からなかったのか、似た材料との違いが分からなかったのか。それぞれ原因が違えば、必要な教え方も変わります。
「できない」という一言で片付けず、「どこまでは分かった?」「どこから迷った?」と聞いてみると、新人本人も自分のつまずきを整理しやすくなります。これは、仕事を教えるというより、仕事の見方を教えることにもつながります。
新人教育では、先輩が知っていることを一度に伝えたくなります。安全面、道具の使い方、作業手順、周囲への声かけなど、現場には覚えることが数多くあるためです。
ただ、情報が多すぎると新人は「結局、何からやればいいのか」が分からなくなります。そこで、最初は一つの作業を小さく区切って教える方法が有効です。
「まず道具を準備する」「次にこの場所を確認する」「終わったら声をかける」というように、作業を順番に分けます。そして一つできたら次へ進む。こうした積み重ねによって、新人は仕事の流れを少しずつ理解できます。
特に建設現場では、作業の安全性を確保することが前提です。新人が自己判断で進めてよい部分と、必ず先輩や責任者に確認する部分を明確に伝えておくことも重要です。
新人が一つの作業をできるようになったとき、「よくできた」で終わらせるのは少しもったいないかもしれません。どこが良かったのかを具体的に伝えると、本人が次の仕事でも再現しやすくなります。
例えば「今日は道具の準備が早かった」「確認してから作業に入れた」「前回より片付けまでスムーズだった」と伝えます。何をすれば評価されるのかが分かると、新人自身が成長を実感しやすくなります。
反対に、注意するときも「ダメだった」で終わらせないことが大切です。「次はここを確認してから始めよう」と、次回の行動まで伝えます。失敗を責めるだけではなく、次にどうすればよいかを示すことで、経験が教育につながります。
新人教育で見落としやすいのが、「教えた」と「伝わった」は同じではないという点です。先輩が説明しただけでは、新人が理解したとは限りません。
そこで、説明の最後に「分かった?」だけで終わらせず、「次はどうする?」と聞いてみる方法があります。新人に手順を説明してもらえば、どこまで理解できているかを確認できます。
もちろん、忙しい現場ですべての作業に時間をかける必要はありません。新人が繰り返しつまずく作業だけでも、説明した後に確認する習慣をつければ、教え直しの回数を減らせる可能性があります。
新人が成長するまでには時間がかかります。だからこそ、教える側が「一度で覚えさせる」のではなく、小さく教える、やってもらう、確認する、できた点を伝えるという流れを繰り返すことが大切です。
※画像はイメージです
新人の「できない」は、成長できないという意味ではありません。どこでつまずいているのかを確認し、仕事を小さく分け、具体的に伝えることで、「できる」仕事は少しずつ増えていきます。
忙しい建設現場だからこそ、教える時間を特別なものにするのではなく、日々の作業の中で短く確認することがポイントです。新人が一つ仕事を覚えるたびに、現場の力も一つ増えていきます。
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