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建設業界では人手不足が深刻化する一方で、着実に新卒採用を積み重ね、組織づくりに力を入れる企業も存在する。
福岡県北九州市に本社を置く小野建株式会社は、2027年度入社予定の学生に向けた内定式を開催し、26名の内定者に証書を手渡した。中小企業にとって、新卒採用の成否は数年後の現場力を左右する重要な経営課題である。今回の事例から、採用後の育成方針や組織文化の伝え方について考えてみたい。
小野建株式会社は2026年10月、2027年度入社予定者26名を対象とした内定式を開催した。式では代表取締役副社長の小野哲司氏が内定者一人一人に内定証書を手渡し、内定者はそれぞれ4月からの社会人生活に向けた意気込みを語った。式後には実践的なグループワークと先輩社員との懇親会も実施されている。
『来年度は26名の新入社員の入社を予定しております。式では代表取締役副社長の小野哲司が内定者一人一人に内定証書を手渡し、内定証書を受け取った内定者は4月からの社会人生活に向けて意気込みを語りました。その後、「複合商業施設の新築鉄骨工事プロジェクト」をテーマに、施主に向けた提案方針を決めるグループワークや、先輩社員との懇親会も実施し、同期の絆を深めました。』
引用元:小野建株式会社プレスリリース(PR TIMES掲載)
建設業界では技能労働者の高齢化と若手不足が長年の課題とされてきた。そうした中で、一度に26名もの新卒を採用し内定式まで実施する体制を整えている点は、中小建設業にとって一つの参考事例となる。
採用だけでなく、入社前からグループワークや懇親会を通じて組織文化を伝える取り組みは、入社後の定着率にも影響を与えると考えられる。
代表取締役副社長の小野哲司氏は訓示の中で、同社の行動指針について次のように述べている。
『当社は「クニづくり・マチづくり・モノづくりに貢献する」の存在意義のもと企業活動をしています。また、「あつまるチカラ」(「あ」明るく、元気に、前向きに 「つ」尽きない情熱で仕事を楽しもう 「ま」守ろう、心身の健康第一、安全第一 「る」ルールを守り信頼を築こう 「チ」挑戦と変化を楽しもう 「カ」感謝を忘れず。『ありがとう』と言われる仕事をしよう 「ラ」楽な道より成長の道を選ぼう)という行動指針のもと日々の業務に励んでいます。皆さんも入社後はこれらの言葉を胸に、働いてほしいと思います。』
引用元:小野建株式会社プレスリリース(PR TIMES掲載)
小野建は2035年度に売上高5,000億円を目指す「長期ビジョン2035」を掲げている。大きな経営目標を達成するためには、新卒採用を単年度の人員補充として捉えるのではなく、数年先を見据えた組織づくりの一環として位置づける必要がある。
今回の内定式で示された行動指針の浸透や、心身の健康を第一にしてほしいという訓示の内容は、長期的な人材育成を前提とした姿勢の表れといえる。
『また、2035年度に売上高5,000億円を目指す「長期ビジョン2035」を掲げています。大きな目標に向けて、来年から皆さんの新しい力を発揮してほしいと思います。来年4月の入社式に明るく元気に出席していただきたいと思っているので、心身の健康を第一に残りの学生生活を存分に楽しんでください。』
引用元:小野建株式会社プレスリリース(PR TIMES掲載)
大手企業と同じ規模で内定式や懇親会を実施することは中小建設業には難しい場合もあるが、取り入れられる視点は少なくない。内定者同士のグループワークを通じて実務に近いテーマに触れさせる、心身の健康を重視する姿勢を経営トップが明言する、といった工夫は規模を問わず実践可能である。
採用した人材が安心して入社を迎えられるよう、内定期間中のコミュニケーション設計を見直すことは、離職防止や定着率向上にもつながるだろう。
また、行動指針を言語化し繰り返し伝えることは、現場の安全意識やチームワークの醸成にも効果があると考えられる。人手不足が続く中、採用した人材をいかに定着させるかは、採用そのものと同じかそれ以上に重要な経営課題である。
小野建の内定式は、採用後の定着を見据えた組織文化の伝え方という点で、規模の大小を問わず建設業界全体への示唆を含む事例である。人材確保が難しい時代だからこそ、内定から入社までの期間をどう活用するかが企業の差別化につながっていく。
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