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新宿駅の周辺で、ビルの壁面に大型ビジョンやデジタルサイネージ(デジタルサイネージとは:液晶やLEDのディスプレイで映像や情報を表示する電子看板)を積極的に取り入れていく方向性が示されました。新宿区と渋谷区は令和8年9月、「新宿駅直近地区 大規模建築物等に係る特定区域景観形成指針〔素案〕」をまとめ、新宿区は令和8年10月13日から11月12日まで区民意見を募集しています。
結論からいえば、この指針は「看板は控えめに」という従来の景観ルールを、新宿駅周辺に限って「情報発信を景観づくりに生かす」方向へ切り替えるものです。駅周辺の建て替えにかかわる設計者や施工者、サイン・照明・映像設備を扱う事業者にとって、押さえておきたい動きです。
背景には、現行ルールと新しいまちづくりの方向性とのずれがあります。東京都景観条例(東京都景観条例とは:都内の良好な景観づくりのために、建築物や広告物の誘導方法を定めた条例)第19条に基づく大規模建築物等景観形成指針では、建築物の3階を超える部分または地盤面から10m以上の部分の壁面広告は、自社名・ビル名・店名・商標の表示に限られています。光源を使う場合は白色系で点滅しないものとされています。
新宿区の資料は、このルールのもとでは広告物や動画を使った情報発信が難しいと整理しています。一方、令和8年3月の「新宿グランドターミナル・デザインポリシー2026」は、景観の方向性の一つに「情報発信」を掲げています。
中身は、一体的な賑わい空間の創出、まちのイベントとの連動、災害時の情報発信、動画や最新技術の活用です。こうしたずれを埋める手段が、区域独自の基準を定める特定区域景観形成指針(特定区域景観形成指針とは:特定の区域について、都内共通の基準とは別に独自の景観基準を定め、事前協議に使う指針)です。
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壁面広告のルール:現行指針と素案の比較 |
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項目 |
現行(大規模建築物等景観形成指針) |
素案(新宿駅直近地区) |
|---|---|---|
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対象となる部分 |
建築物の3階を超える部分、または地盤面から10m以上の部分 |
新宿駅直近地区地区計画の区域内の大規模建築物等 |
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表示できる内容 |
自社名・ビル名・店名・商標に限る |
大型ビジョンやデジタルサイネージ等による情報発信を誘導 |
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光源 |
白色系で、点滅しないものに限る |
周辺環境に応じた適切な輝度を設定(数値の定めなし) |
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主な制限 |
― |
新宿御苑から見える範囲には表示しない/屋上には設置しない |
出典:新宿区ウェブサイト(https://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/toshikei01_000001_00110.html)掲載資料をもとに作成
適用区域は、新宿区と渋谷区にまたがる新宿駅直近地区地区計画の区域です。素案は、配置、高さ・規模、形態・意匠・色彩・素材、夜間照明、みどり、屋外広告物等の項目ごとに基準を示しています。
屋外広告物では、広場や新宿テラスなどの重層的な空間を活かし、グランドターミナル全体で一体的な賑わいを生む設えを求めています。ゾーンごとの特性も示され、中央は周辺壁面と広場を含む空間全体の活用、西は駅前広場との一体的な活用、東は通りや回遊性への意識、南は甲州街道側への連続性がポイントです。
ただし制限もあります。壁面の広告物は新宿御苑から見える範囲には表示しないこと、屋上には設置しないことが示されています。周辺環境に応じた適切な輝度(輝度とは:画面や光源の明るさの度合い)の設定も求められますが、素案に具体的な数値はありません。色彩では、赤や金色などの著しく目立つ着色ガラスを使わないことも示されています。
※新宿駅
指針の運用では、新宿区が「新宿駅直近地区デザイン会議」を設置します。構成は有識者と新宿区、渋谷区内の計画では渋谷区も加わります。デザイン案が指針に合っているかを確認し、誘導・助言・調整を行なう仕組みです。
新宿御苑の眺望地点からのシミュレーション図は、事前協議の際に提出が必要です。なお、指針策定前に事前協議を済ませた建築物は対象外とされています。
今後は、令和8年12月に渋谷区景観審査会へ報告し、令和9年2月に新宿区景観まちづくり審議会で審議する予定です。令和9年3月以降は区が都に協議・提案する流れが示されています。
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指針策定までのスケジュール |
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時期 |
内容 |
|---|---|
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令和8年9月 |
新宿区景観まちづくり審議会へ報告 |
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令和8年10月13日 |
地域説明会(終了) |
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令和8年10月13日~11月12日 |
区民意見募集(11月12日必着) |
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令和8年12月 |
渋谷区景観審査会へ報告 |
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令和9年2月 |
新宿区景観まちづくり審議会で審議 |
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令和9年3月以降 |
区が都に協議・提案 |
出典:新宿区ウェブサイト(https://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/toshikei01_000001_00110.html)掲載資料をもとに作成
新宿駅周辺では、令和元年12月の土地区画整理事業や地区計画の都市計画決定以降、都市再生特別地区の決定が続き、再編が段階的に進んでいます。今回の指針によって、建物本体だけでなく、大型ビジョン、サイン、夜間照明、屋上や壁面の緑化まで、意匠を一体で調整する場面が増えると考えられます。
関連工事を狙う事業者は、まず素案本文で基準の項目を確認しておくとよいでしょう。意見募集は11月12日必着で、郵送・ファックス・窓口持参・電子フォームで受け付けています。提出できるのは区内在住・在勤・在学の方、区内の事業者・団体、一定の利害関係がある方です。説明動画(約15分)も公開されています。
新宿駅周辺では、景観のルールそのものが「情報発信を生かす」方向へ動き始めています。指針の策定が進むにつれ、設計と設備、施工の各分野で協力し合う案件が増えていきそうです。
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出典:「新宿駅直近地区 大規模建築物等に係る特定区域景観形成指針〔素案〕」に関する区民意見募集及び地域説明会の開催について(新宿区)(https://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/toshikei01_000001_00110.html)をもとに作成
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