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現場で名前を呼ばれると、ちょっとだけうれしい。そんな感覚は、建設業の職場でも意外と大きな意味を持っています。
忙しい現場では、「そこの人」「これお願い」「次の人」といった呼び方になりがちです。もちろん作業を進めるうえでは困らないかもしれません。しかし、名前で呼ばれることには、「自分を一人の仲間として見てもらえている」という実感につながる面があります。
特に新人や若手にとっては、仕事を覚えること以上に、職場の中で自分の居場所をつくることが難しい場合があります。だからこそ、日常の何気ない呼びかけが、意外なほど大切になります。
例えば朝礼で「佐藤さん、おはよう」と声をかける。資材を運んでもらった後に「佐藤さん、助かったよ」と伝える。新人に作業を任せるときも、「これをお願いします」だけでなく、「○○さん、ここをお願い」と名前を添える。
やっていることは、ほんの数秒です。それでも、呼びかけられた側には「自分のことを覚えてくれている」「仕事を見てもらえている」という印象が残ります。
建設現場は、年齢も経験も役割も異なる人が一緒に働く場所です。名前を呼ぶことは、その違いを越えてコミュニケーションを始める、小さなきっかけになります。
※画像はイメージです
新人教育では、「分からないことがあれば聞いて」と伝えるだけでは、質問が出てこないことがあります。相手からすれば、「忙しそうだから声をかけにくい」「こんなことを聞いたら怒られるかもしれない」と感じるからです。
そこで普段から名前を呼び、短い会話を重ねておくと、質問するための心理的なハードルを下げられます。 「○○さん、今日の作業はどうだった?」と聞かれた経験があれば、分からないことが出たときにも「すみません、ここを確認したいのですが」と声をかけやすくなります。
もちろん、名前を呼ぶだけで教育がうまくいくわけではありません。教え方や安全確認、仕事の振り分けなども重要です。ただ、話しかけやすい関係をつくる最初の一歩としては、非常に取り入れやすい方法です。
名前を呼ぶことは、新人だけに必要なものではありません。長く働いている職人にも、「○○さん、ここを見てもらえますか」と声をかければ、経験を頼りにしていることが自然に伝わります。
ベテランにとっても、自分の知識や技術を必要としてもらえることは仕事の張り合いになります。そこから、「このやり方なら早い」「ここは先に確認したほうがいい」といった、現場で蓄積された知恵が出てくることもあります。
名前を呼ぶことは、単なる礼儀ではありません。人と人との距離を少し縮め、経験や情報が行き交いやすい環境をつくる行動でもあります。
まずは、朝のあいさつから始めてみるのがおすすめです。全員に長く声をかける必要はありません。「おはよう、○○さん」と名前を添えるだけで十分です。
次に、仕事を頼むとき、助けてもらったとき、帰るときの三つを意識します。「○○さん、お願いします」「○○さん、ありがとう」「○○さん、お疲れさま」。この三つだけでも、普段の会話は変わります。
忙しいときほど、名前を呼ぶ余裕がなくなるものです。だからこそ、会社として「名前で呼ぶことを大切にする」と共有しておくと、個人の気分に左右されにくくなります。
人材定着や新人教育というと、制度や研修を思い浮かべがちです。しかし、職場の雰囲気をつくるのは、毎日の小さな行動でもあります。名前を呼ぶことなら、大きな費用も特別な道具も必要ありません。
現場で名前を呼ばれると、少しうれしい。その小さな感覚が、「ここで働いている」という実感や、周囲への安心感につながることがあります。
新人にもベテランにも、まず名前を呼んで声をかける。そんな当たり前を丁寧に続けることが、話しかけやすく、教え合える現場づくりにつながるのではないでしょうか。
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