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国土交通省は、港湾施設の維持管理について、港湾関係者が今後5年間(令和8年度~12年度)を目安に取り組むべき事項をまとめた新たな対応方針を策定する方針です。現在の方針は平成26年5月に策定された「今後の港湾施設の維持管理等の課題に対する対応方針」で、策定から10年以上が経過しています。
結論から言うと、今回の見直しでは新技術を使った点検診断の積算基準や導入マニュアルの検討、国管理施設での新技術活用の原則化の検討などが論点に挙がっており、港湾の点検・補修に関わる建設会社や調査会社にとって、仕事の進め方が変わる可能性がある動きです。
きっかけの一つは、令和7年1月に埼玉県八潮市で発生した、下水道管路の破損に起因する道路陥没事故です。国土交通省はこの事故を受け、すべてのインフラで戦略的なインフラマネジメントへの転換が求められているとし、港湾施設でもこれまで以上に計画的かつ効果的な維持管理が必要だと位置付けています。
あわせて、港湾施設を管理する港湾管理者(港湾管理者とは:港湾を開発・保全・管理する地方自治体などの主体)は、人員・技術・財政面で課題を抱えている状況が続いています。人口減少が進む中でも、維持管理を将来にわたって持続的に行える仕組みづくりが急務となっています。
検討の場は「港湾施設の持続可能な維持管理に向けた検討会」です。令和8年11月5日に第8回を開き、平成26年方針のフォローアップと新たな課題・取組の方向性を議論しました。新たな対応方針は、令和9年1~2月に予定される第9回で策定する計画です。
フォローアップでは、各取組を「十分に達成」「おおむね達成」「引続き対応が必要」の3段階で評価しています。たとえば維持管理情報データベースは全港湾管理者がアカウントを保有し、CSVによる点検診断結果の一括読込みも可能になりました。一方、国による財政的支援や国と港湾管理者の密接な連携は未実施とされ、引続き対応が必要と整理されています。

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_mn5_000037.html)
資料では、新技術は人材不足などへの対応策として期待される一方、実際の現場での活用は限定的だと指摘しています。これまでもSIPやSBIR制度(SBIR制度とは:中小企業などの研究開発を国が支援する制度)、NETIS(NETISとは:国土交通省の新技術情報提供システム)を活用し、ROV・AUV・ドローン等を使った点検技術の開発・実証が進められてきました。
新たな取組(案)としては、次のような項目が示されています。
・新技術を活用した点検診断にかかる積算基準や導入マニュアル等の検討
・「港湾の施設の新しい点検技術カタログ」の拡充と活用推進
・国管理施設の点検診断における新技術活用の原則化の検討
・「維持管理計画書策定に係る現地調査積算基準」「維持管理計画書策定積算基準」の、実態を踏まえた改定
積算基準(積算基準とは:工事や業務の費用を算出する際の標準的なルール)が整えば、新技術を使った点検が発注の段階から評価されやすくなることが期待されます。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_mn5_000037.html)
人材面では、維持管理の知識・技術を体系的に習得できるよう研修や講習会を強化することや、国と港湾管理者の枠組みを超えた維持管理体制の構築を引き続き進めることが挙げられています。
また、予防保全計画(予防保全とは:損傷が軽微な段階で小規模な対策を行い、施設を長持ちさせる考え方)では、修繕・更新の優先順位を適切に設定し、必要に応じて施設の集約・統廃合も検討する必要があるとしています。各施設の重要度・優先度を定量化し、港湾全体で戦略的にマネジメントする考え方も検討される予定です。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_mn5_000037.html)
平成26年方針のフォローアップでは、維持管理計画に定める事項は専門的知識と技術・技能を有する者の下で行なうことが標準化されたことも確認されています。
港湾の点検・補修に関わる会社にとっては、技術者の育成や資格の活用、新技術カタログに載る点検技術の情報収集を進めておくことが、今後の発注動向への備えになります。
港湾施設の維持管理は、新技術の活用や積算基準の見直しを軸に、次の5年に向けて方針が刷新されようとしています。第9回検討会でまとまる新たな対応方針の内容に注目しておきましょう。
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出典:港湾施設の計画的かつ効果的な維持管理に向け、対応方針の見直しへ~「港湾施設の持続可能な維持管理に向けた検討会(第8回)」を開催します~(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/report/press/port05_hh_000464.html)、港湾施設の持続可能な維持管理に向けた検討会(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_mn5_000037.html)をもとに作成
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